株式会社NATOMICS(本社/東京都、代表/関斉寛)は現在都内で日本食料理店を6店舗(自由が丘3店舗、二子玉川、等々力、上野毛に各1店舗)運営する飲食店企業である。それぞれ客単価5000円あたりから10000円程である。

同社代表取締役の関斉寛氏は現在も現場に入る傍ら、YouTubeでの動画配信を行っている。主に日本食の作り方を配信している関氏のYouTubeチャンネルには、開始から約1年半で登録者が3万7000人存在し、中には280万回以上も再生されている動画もある。

関氏はさらにコンサルティング業務を行うなど多才である。このような関氏に飲食店経営のポイントや今後のビジョンについて伺った。

お客さまからの「ありがとう」をきっかけに、料理人の道へ

――和食の料理人を志すきっかけとなったのはどのようなことですか。

調理師学校に入った時に、最初はフレンチのシェフになることを考えていたのですが、当時の先生が「男は黙って和食だ」と言っていました。当時、和食に進むことは全く考えていませんでしたが、その先生の言うことがとてもかっこ良く感じられて、和食を選択しました。

 

そもそも料理人を目指すようになったのは、アルバイトをしていた当時のあることがきっかけでした。私の母が調理師免許を持っていて、家庭でも手づくり料理が多く、私も料理をつくることの楽しさは知っていました。ある日飲食店で私がチャーハンをつくって、お客さまに提供したところ、そのお客さまからお会計の際に「今日のチャーハン美味しかったよ!」と、お釣りの400円程をチップとしていただきました。その時、「“お金”も“ありがとう”もいただけるなんて!」と感動しました。

 

――当時から独立を意識していたのですか。

10代の頃から、20代のうちに独立しようと決めていました。20代前半に複数の飲食店で修業を重ね、28歳で独立しました。さらに「33歳までに5店舗出店する」という目標を掲げて、そのためには年に1店舗のペースで出店する必要がありました。

 

そこで、まず初期投資を抑えることを考えました。2階建て計22坪程の物件で、初期投資400万円でした。費用を抑えられる1つの理由として、自分で店舗デザインを行うことが挙げられます。デザイナーに依頼すると、デザイン費が坪80万円程かかってしまうこともあります。そうなると、初期投資の中でもかなり大きな割合を占めることとなります。こうして1店舗目はオープンから8カ月で投資回収しました。

 

初期投資に加えて家賃比率も抑えています。「世田谷区のローカルエリアの2等立地で地域NO.1店を目指す」ということで、等々力に出店しました。1等立地に出店すると家賃比率が10%を超えます。それが、ローカルエリアの2等立地だと5%程度に抑えることができる。その分、人件費やフードコストをかけることができ、お客さまにより良いものを提供できます。このようなことを心掛けて、33歳までに6店舗出店することができました。これらのノウハウを活かし、現在コンサルティング業務も行っています。

株式会社NATOMICSの代表取締役関斉寛氏

 

料理人に求められる「人間力」を指導する

――コンサルティング活動はどのような内容ですか。

先ほど述べたように、店舗デザインから、メニュー作成、私が現場に入ってオペレーションを指導などさまざまです。一般的にコンサルタントいうと、数字を分析し、報告書をつくり、改善案を提出するということを想像するかもしれませんが、当社の場合は実務をあるべき姿に整えていくといったコンサルティングを行います。私も、当社の社員も他店舗の現場に入ると、その店舗の改善するべき点が見えてきます。そこでわれわれが現場に入って、あるべきオペレーションを行うことによって店舗を改善していくのです。

私は日常的にいろいろな店舗を視察するようにしていて、そこで学んだことを引き出しとして蓄えていて、コンサルティングをする時の改善のパターンとして活用しています。

飲食店を経営するためには、「人間力」が必要です。それらを改善するためにも、われわれが現場に入ることに意義があるのです。

 

――料理人に必要な「人間力」について具体的に教えてください。

料理人は料理を上手につくることは当然のことで、さらにお客さまへの対応がきちんとできないといけません。

料理人の中には調理のスキルはあっても、それをお金に換えて利益にする能力が乏しい場合が多いです。しかし、このような状態であると、店舗を任された時、そして独立した時に経営は成り立ちません。それを回避して、鍛えていくのがわれわれの役目なのです。

そして現在は、リアルなコンサルティングに加えて、これらのノウハウをYouTubeでの動画配信によって、より多くの人に「和食店経営のあるべき姿」を発信しています。

カウンター席をメインとした店舗づくりで、料理人の「人間力」を育てる

 

YouTube動画配信で、和食の基礎を伝える

――YouTube配信を始めたきっかけはどのようなことですか。

以前、中国・蘇州の調理師学校を訪問した際に、学生たちは動画によって学習していました。それを見て、和食を伝えるツールとして動画配信を活用することを意識するようになりました。お料理教室の要望も頻繁にいただくのですが、これまでのやり方では一度に10人程にしかお伝えすることができません。それは、受講される人の時間や、教える場所の空間に制限があるからです。

それが動画を用いることで、私は自分の都合のよい時間に作成し、結果多くの人に観ていただくことが可能となります。このような方法で「確かな和食」を国内外に広げていきたい。

 

海外には「おいしい和食がない」と嘆く人がいます。私自身もそれを感じたことがありました。その原因は、調理人が「確かな和食」の修業をしたことがないからです。味の組み立て方をきちんと学んでいない。YouTubeでの動画配信はこのような基本を海外の料理人が自分の都合のよい時に、繰り返して学ぶことができるツールです。さまざまな国の人が学べるように、英語字幕もつけています。

 

――YouTube動画配信の先にどのようなことに取り組んでいきますか。

今後は海外の調理学校にアプローチしていきます。われわれが実際に現地に赴いて、その場で和食をリアルに教える。当社の料理人は、当社でしっかり料理を学び、「人間力」を身に着け、海外に行ってこれらのノウハウを教える機会がある。現地では「勉強になりました」「ありがとう」と言われます。指導の対価としてお金をいただきます。そして、「確かな和食」も伝わる。このような形で、当社は「良いことの連鎖」をつくっていきます。

 

新法人も設立。確かな日本食を世界へ

――飲食店の店舗展開はどのように進めていきますか。

店舗展開は料理人のステップアップのために行うことだと考えています。そこで、店舗を任せることができる料理人が育った段階で出店します。「そろそろ店を任せないと料理人としてのレベルが上がらない」と感じた際に、その人物を引き上げてから出店します。先ほど言った通り「人間力」も重要です。店を任せる前に、それぞれの成長度合いを見ながら、適切なポジションを与えていきます。

 

将来的には、グループ会社のような形で「社長」を育てることを視野に入れています。当社には独立希望の料理人もいますが、失敗をしてほしくない。独立もグループ会社の方であれば仲間意識や共に成長する環境も維持することができます。そこで、業務委託や店舗譲渡のような形で社長をつくっていきたい。

 

――今後のビジョンをどのように描いていますか。

今後は食に関わるさまざまなことに挑戦していきます。N.food adventureという法人をつくりました。これからは、飲食店経営はこれまで通りNATOMICSで、YouTube配信やコンサルティング業務、イベント運営などをこのN.food adventureで行っていきます。

 

現在YouTubeでの動画配信を行っていますが、将来的にオンラインサロンを設立することも検討しています。そこで、飲食店経営の在り方について、さまざまな質問を受け付け、われわれがこれらに答える形で、「確かな和食」と飲食店経営の本質について伝えていきたい。このような活動を重ねることによって、コンサルタント業務の入口になればと考えています。

今後は飲食店経営だけでなく、食の中心である会社になることを目指しています。

店舗情報

店舗名 せき亭
エリア 二子玉川

運営企業情報

企業名 株式会社NATOMICS
URL http://www.natomics2010.com/

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