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  3. 店内手づくりにこだわり顧客との信頼感を育む

「ハンバーグ」は人気定番となっているメニューだが、今日のような存在感をつくったのは1970年代に立ち上がり、80年代に隆盛したファミリーレストランである。ここではハンバーグの付け合わせにバラエティをつけて人気を不動のものにしていった。

 

1990年代半ばごろからファミリーレストランの総合型メニューから人気メニューを抽出した「専門店」が立ち上がるようになった。2005年6月東京・恵比寿にオープンした「俺のハンバーグ山本」もハンバーグ専門店としてにわかに注目される存在となった。

 

その人気のポイントは、店内手づくりによって生み出される「ふんわりとした食感」と「ご馳走感」である。その後、渋谷、赤坂、高田馬場、吉祥寺、自由が丘と展開、2016年に屋号の「俺のハンバーグ山本」は「山本のハンバーグ」に改名するが、高いクオリティはそのままだ。

 

同店を経営するのはORES COMPANY inc.(本社/東京都渋谷区、代表/山本昇平)。同社代表の山本昇平氏は1981年9月生まれ。飲食業に就いたきっかけは、大学を卒業して独立支援制度を持つ株式会社ムジャキフーズに入社したことだ。学生時代から漠然と「将来店を持ちたい」という夢を描き、その過程で同社のことを知った。

ORES COMPANY inc.代表の山本昇平氏

 

学生時代に「カフェブーム」があった。将来、カフェを開業することを想定するようになり、自分なりに「カフェがはやっている理由は、お客さまの多様な目的に対応しているから」と考えていた。

それに対してで、飲食店を経営している先輩からこのように指摘された。

 

「飲食店はお客さまが店に期待している内容をそれ以上の形で返して上げることが必要だ。そして、もう一度来店するということが積み重なることが重要だ」

 

「お客さまが店に期待していることはさまざまだ。そこでお客さまのニーズをきちんとキャッチして、店の売りモノをしっかりとつくり上げ、お客さまの来店動機をはっきりとさせることが重要だ」

 

こうして飲食店が繁盛するポイントは、お客さまの焦点を定めることだと山本氏は気付き、「専門店で起業しよう」と考えた。

 

メジャーなフードでご馳走感のある「専門店」を目指す

「では、どのような専門店にしようか」

山本氏は「専門店」とは言え、さまざまな人に来店していただくことを考え、ニッチではない、お腹がすいた時に「あれが食べたい」と思い浮かぶメジャーなフードを考えた。

このような食生活の記憶の中にある人気メニューとは「ハンバーグ」であった。子供の頃を振り返ると、ハンバーグはごちそうだった。母親がハンバーグを食卓に出してくれた時はとてもハッピーな気分になった。お客さまに楽しく食事をしていただくフードこそハンバーグだと確信するようになり、ハンバーグの専門店を考えるようになった。

 

レシピを磨いていくためにリサーチよりも試作を繰り返した。ムジャキフーズで知り合い一緒に独立するシェフと話し合いながら、ジューシーさ、味付けなど、そのシェフの技術の下でつくり上げた。

 

ムジャキフーズの独立制度の仕組みは「選挙」であった。ムジャキフーズの卒業生で既に独立している人たちの前でプレゼンをして、「よい」と思われたら投票してもらう。ここで過半数を獲得すると独立が認められた。

選挙で合格してから開業届を出して、ムジャキフーズが出店資金を出して業務委託の形で運営する。この形態は2016年5月に満了し、「俺のハンバーグ山本」の全店は「山本のハンバーグ」に改称した。

 

牛肉を外国産から国産に切り替え価格を2割アップ

「山本のハンバーグ」のメニューは内税にしている。現在は、スタンダードの「自家製ハンバーグ」1280円、「名物」を冠にした「山本のハンバーグ」1850円ほか、付け合わせをアレンジしたメニューを数種類ラインアップしている。

価格設定はファミリーレストランよりも若干高いが、その契機となったのは2010年の当時、ハンバーグの肉を外国産から国産に切り替えたこと。山本氏は、同社のハンバーグを「安い」とか「高級」というアピールではなく、お客さまと永続的な関係を維持するために「安心して食事ができる」というが重要だと考えてこの施策を行った。すると牛肉の仕入れ価格が倍近くになった。そこで価格を2割引き上げて現在に至っている。山本氏はこう語る。

象徴的なメニュー「名物 山本のハンバーグ」1850円(税込)

 

「2割引き上げることに葛藤がありましたが、値段が上がればお客さまの期待値は上がることになり、その期待値に応えられるように従業員が頑張ることによって、店としても成長できることになる。このような考え方をしました」

 

値上げをしてから、来店したお客さまにその理由の説明をするのだが、リピーターは「いいよ、大丈夫」と快諾してくれたという。客数は若干減ったが売上は少し増えた。同社の商品づくりに対する真摯な姿勢をリピーターはきちんと認めていているということだ。

今回の消費増税に際しては、引き上げ幅が2%ということでメニューを大きく変更していない。

 

居酒屋の聖地・新橋で二毛作店舗を出店

さて、同社では今年の5月東京・新橋に「新橋食堂」をオープンした。同店は店内17坪とテラス席で34席、エントランスを眺めると、町屋が連なる京都の路地裏の風情がある。店内はスクエアでオープンキッチンを広くレイアウトしていることから、キッチンの中で仕事をしている様子を見渡すことができて従業員との距離が近く感じられる。

 

新橋は大衆的な飲食店街が集まり「居酒屋の聖地」に例えられる。ランチタイムもさることながら仕事を終えた勤め人たちが労をねぎらう夕方から本領を発揮する。そこで山本氏は「それぞれの時間帯で地域に必要な存在になること」を考え、新橋の店を二毛作店舗にすることにした。

ランチタイムの「新橋食堂」は「山本のハンバーグ」をアピール

 

ランチタイムは「山本のハンバーグ」、ディナータイムは「つくね山本」となる。「山本のハンバーグ」は他の店舗と比べるとシンプルにメニューを絞った定食スタイル、「つくね山本」は「つくね」「餃子」「おでん」の三本柱で構成している。ここのプロデュースはDREAM ON代表の赤塚元気氏に依頼した。客単価はランチタイム1400~1500円、ディナータイムで3500〜4500円となっている。

 

ディナータイムの品揃えは競合店となる新橋の飲食店を意識しないで、お客さまにとっての納得感を重視しながら組み立てた。「つくね」と「餃子」を取り入れたのは、ランチタイムはハンバーグ専門店であることから、その肉を練る技術をもってこの二つをメニュー化したというストーリーである。実際に、鶏のひき肉と餃子の餡は店内で練っている。

 

「つくね」は「塩つくね」160円(税別、以下同)を基本に、うめ大葉、明太マヨ、醤油漬けにんにくなどでバリエーションをつくり11品目、「餃子」は、軽い口当たりで「何個でも食べられる」ということをうたって「呑める餃子」としてアピールし「12個(1~2人前)」790円、「16個(2~3人前)」980円をラインアップ、「おでん」は「渋谷の名店、割烹ひでの親方直伝の塩おでん」をうたい、「たまご」「生きくらげ」180円、「絹ごし」260円、「大根」290円などおなじみのおでん種を10品目ラインアップ、ほかに「あて」「さらだ」「揚げもの」という構成だ。メニューの仕込みを丁寧に行っていることからFLコストは60%を超えているという。

ディナータイム「つくね山本」は暖簾で居酒屋の雰囲気を醸し出している

店の持ち味で新橋に新しい客層を発掘する

山本氏は、商品の安定化や労働環境を整えていく上でOEM化を検討しているというが、手づくりによって学ぶことができることがたくさんあるとして、現状のオペレーションは継続していくという。

「現場でのオペレーションレベルを簡略化してしまうと、つくり手のモチベーションが簡素なものとなり、飲食を楽しむ職場ではなくなります。お客さまにとっても店の味わいが乏しくなる。価格を訴求するのではなく、食べ物屋さんとしての持ち味を保ちながら、地域の中でお客さまからの信頼を築いていくというのが当社の方針です」

 

オープン当初、ディナータイムの客層は男性客が主流となることを予想していたが、営業を重ねるうちに虎ノ門や内幸町から新橋に向かう若い女性が増えてきた。山本氏は「当社にとって新橋はアウェイな立地だと思っていた」というが、ディナータイムに取り組んだメニューによって従来の新橋にはない新しい客層を発掘している。

 

これまで直営店を1〜2年に1店舗のペースで出店してきた。現在8店舗だが、直営店での「山本のハンバーグ」というブランドは10店舗までと想定している。FCは公募していないが現在6店舗(福岡2、台北1、阿佐ヶ谷、東京ドーム、赤坂、松戸、各1店)、来年5月に札幌1店がオープンする予定で、近いうちに8店舗になる。

このように出店ペースを決して急ぐことなく、働く人もお客さまも飲食店の楽しさを享受していく姿勢を貫いていきたいとしている。

「つくね山本」は新橋の従来のお客さまではない新しい客層を発掘した

 

 

 

店舗情報

店舗名 新橋食堂/つくね山本
エリア 新橋
URL http://www.yamahan.tokyo>shoplist>shinbashi

運営企業情報

企業名 ORES COMPANY inc.
URL www.ore-company.com

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