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  3. 連載「コロナ後、飲食業はこう変わる」第1回――営業自粛店舗でパンの販売に着手しノウハウを学ぶ

『e店舗media』で執筆している千葉哲幸が、コロナ禍の中で新しい試みを行っている飲食業の事例を見てきている。テイクアウト・デリバリーだけではなく異業種を手掛けたことで、中小も大手も事業領域を豊かにしている。そこで連載の形で、「コロナ禍での新しい取り組みによって、飲食業はどう変わるか」ということを述べていく。

 

親会社が営業自粛中の飲食店スペースで営業

埼玉県南部で飲食店を約30店舗展開している(株)ロット(本社/埼玉県戸田市、代表/山崎将志)という飲食企業がある。店は埼京線と武蔵野線の沿線のみにある。ブランド名が似た店もあるが、それぞれの店舗が出店する地域に必要とされる店を目指し一店一店がオリジナリティを発揮している。

その同社では4月8日より全店一斉に営業を自粛し、5月6日にこれを延長することを公表した。埼玉県では飲食店営業に関して酒類提供に時間制限を設けながらも営業を認めているが、ロットとしては安全面への配慮と感染拡大の防止に寄与することを優先してこのような判断に至った。

さて、同社の親会社であるアロットクリエイト(株)(本社/埼玉県戸田市、代表/田子英城)では、子会社であるロットの店舗「RISA!RISA!」(以下、リサリサ)の1階スペースを活用し、4月30日より期間限定でパンの販売店を開業している。これは、埼玉県本庄市に本店を構える「Bakerys Kitchen ohana」(以下、オハナ)をパートナーとして迎え、同社のパンを販売する「ohana×RISA!RISA!」という店名としている。店内に調理機能を持たずパンの販売店に徹している。

ちなみに、アロットクリエイトの田子英城氏は、2001年に立ち上げたロットの創業メンバーの一人で代表取締役を務めた。親会社の代表に就任してからは、ロットを含めて子会社5社の会社支援を行っている。

「オハナ」は(株)グリーンルーム(本社/埼玉県本庄市、代表/久保田浩司)の経営で創業の店をJR上越新幹線の本庄早稲田駅より徒歩5分の場所に2014年5月にオープン。「オハナ独自のセレクションで世界のパンをお客さまにお届けする」ことをコンセプトに、ベーカリーレストランのセレクトショップとして誕生した。日本独自の菓子パンをはじめ、調理パンのほか、ハード系からデニッシュ系など150種類以上のパンを販売してきた。

JR戸田公園駅前のバルがパンを販売することを告知したチラシ。この試みが大ヒットを生み出した

 

パンの販売のみで1日40万円を売り上げる

そこで、親会社アロットクリエイトでは、営業自粛をしている子会社ロットの店舗の一つ「リサリサ」で「オハナ」のパンを販売することを考えた。

「リサリサ」はJR戸田公園駅西口ロータリーに面した絶好のロケーションにあり、営業自粛をする以前は客単価3000円のワイン&ピッツァ業態であった。今回1階の17坪をベーカリーショップに切り替えてから地元の人々から大きな反響を得た。

パンの供給は、本店から1日に1便、草加のFC店から2便の計3便で50種類のパンをラインアップ。営業時間は11時~18時、1日300~400人が訪れていて、開店から5日間のデータでは連日40万円を売り上げた。

ソーシャルディスタンスのほかに、お客さまが入店する際に除菌スプレーも欠かさない

アロットクリエイト社長の田子英城氏は、今回の試みをこう語る。

「リサリサを愛してくれている地域の人々に感謝し、ロットのスタッフの働く場として、またロットが新しい業態のノウハウを得る機会として、大きな役割を果たしている」

また、同店がヒットしている背景として、「ライフスタイルとして中食やテイクアウトが注目されている中で『パン』という商品の可能性に大きな手応えを感じている」という。

この販売形態は営業自粛中のほかの店舗でも想定できることで、ここで学んだ営業ノウハウを営業再開後に活かされることであろう。

それは例えば、ロットが得意としている居酒屋営業をそのままの形で再生するのではなく、本来であればクローズタイムに中食を販売したり、営業中にもお客さまから持ち帰りを歓迎される商品構成にするなど、一店舗一業態専業ではなく、重層的な営業を行う形で再生されるのではないだろうか。

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