6月1日より全店営業再開

新型コロナウイルス禍によって居酒屋業態は大きなダメージを受けている。その要因は、営業時間が5時から20時までと時間短縮が要請されたこと。これで休業するところもあった。さらに市民へ外出の自粛が要請されたことだ。「仕事を終えた夜に仲間と集まって食事をして語り合う」といった居酒屋の本領が阻害された。

株式会社エー・ピーカンパニー(本社/東京都豊島区、代表/米山久、以下AP)もその例に漏れない。

同社では主力ブランドの「塚田農場」をはじめ30を超えるブランドによって国内外に200店舗を擁しているが、これまで既存店業績の低迷が長らく続いていた。2019年に入りそれが収まる傾向がみられ、同年12月と翌2020年1月には既存店の客数、売上ともに100%を超えた。しかしながら、3月は客数57.9%、売上58.8%となり同社の2020年3月期を終えた。それでも同期の累計では客単価98.7%。客数95.6%、売上高94.5%となり営業利益においては2年ぶりの黒字化もかなった。

エー・ピーカンパニー代表取締役の米山久氏

 

しかしながら、2021年3月期は4月2日から「全店舗休業」でスタートを切った。営業再開日を2度延期し6月1日から営業を開始した。

 

APは2001年に創業、2006年に「生販直結」という現在の事業モデルを構築し、これまでの大衆居酒屋チェーンとは一線を画す、客単価3000円台後半「高品質・中価格」の路線を邁進してきた。しかしながら、今期はいきなり「売上2カ月間ほぼゼロ」である。同社代表の米山久氏はコロナ禍をどのように捉えているのであろうか。

 

「生販直結モデル」を独自につくり上げる

APのことを語る場合はまず、同社の「生販直結モデル」を説明しておく必要がある

同社の成長を牽引したブランドは「塚田農場」である。これは2003年の当時米山氏が「ありきたりじゃない新・外食」を追求している過程で、宮崎県日南市の地鶏「みやざき地頭鶏(じとっこ)」と巡り合ったことに端を発する。

宮崎県日南市の「みやざき地頭鶏(じとっこ)」と巡り合いことで、会社の方向性が定まっていった

この地鶏は増体率が高く、食味に適度な歯ごたえがあって旨味があることが大きな特徴だ。これを主要食材に育てていくために、現地の生産者と協調して生産拠点をつくり、この鶏肉を東京はじめとした居酒屋「塚田農場」に届けるという仕組みをつくった。このモデルは鮮魚分野でも開拓した。

 

APでは「食のあるべき姿を追求する」というミッションを打ち立て、食品の生産(一次産業)から流通(二次産業)、販売(三次産業)に至るまでの全てを一貫して手がける独自の六次産業化ビジネスモデルを展開するようになった。これが「生販直結モデル」である。全国各地の生産者や産地の行政と直接提携・取引関係を構築することで、より安全・安心な食を世の中に提供していくとともに、地方の第一次産業や地域活性化にも尽力し、食産業における生産者・販売者・消費者のALL-WINの達成を目指している。

「生販直結モデル」の概念図

 

このようにAPの最大の特徴は「クオリティの高い食材」である。これを当初からぶれずに行ってきたことによって、「塚田農場」や「四十八漁場」をはじめとしたブランドには根強いファンが存在している。

 

さて、筆者は6月の営業再開の直前、米山氏にインタビューをする機会を得て、コロナ禍にあってどのような対策をとってきたのか、これからのAPCの姿をどのように描いているのかをうかがった。

 

「コストの圧縮」と「雇用の継続」

コロナ禍について米山氏が「これは大ごとだ」と感じたのは3月25日、小池百合子都知事の記者会見、「いまが新型コロナウイルスの感染爆発の重大局面であることを皆様方と共有したい」という内容からであった。

APでは2021年3月期の売上高を250億円としていたが、スタートする4月5月は売上が前年同月比10%ぐらいになるのではないかと想定し、さまざま施策を打ち立てた。

 

それはまず、「コストの圧縮」。この一番のポイントは月間2億円弱となる本部コストを圧縮することだ。一部の本部スタッフの働き方を、現場と本部のハイブリッド型にした。またマーケティング費用をはじめコストも圧縮。本部のオフィスも、東京・芝大門から、西池袋にある大箱の店舗に移した。「ここで何もしていなかったら、4月5月の2カ月間で20億円前後の赤字になったのでは。ここでのコスト圧縮で赤字は5億円程度で済みそうだ」(米山氏)という。

そして、「雇用の継続」。社員には休業補償と副業解禁で収入の安定に報いた。副業解禁では同社の社員を短期アルバイトとして受け入れてくれる企業と連携し勤務先を紹介。併せて食材費を浮かせることができるようにと、会社が仕入れている食材を支給した。

このような施策によって、社員の収入はコロナ禍以前とさほど変わらず、会社としても少ない出費で推移している。

*記事は、「後編」につづく

生産者を守るためにも数々の施策を行った

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