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  3. 連載「コロナ後、飲食業はこう変わる」第8回/最終回ーー7つの事例でひもとく新時代の必須条件

本連載は5月11日より始まった。取材先を求めて街に出ると、キーンと耳鳴りがするほど人通りがなく静かだった。しかし、飲食業は動いていた。それは「テイクアウト」「デリバリー」、そして「野菜販売」「鮮魚販売」、「EC」に取り組むところも数多く見られた。飲食業のたくましさは、コロナ禍の中で売り方を変えて活発に表現されていた。

ここで、具体的な取り組み事例の7つを、掲載順にまとめておこう。

 

(1)営業自粛店舗でパンの販売に着手しノウハウを学ぶ(5月11日)

パンは1日に3便、ベーカリー機能を持たず販売に徹する

 

埼玉県南部で飲食店を約30店舗展開しているロットでは4月8日より全店営業自粛を行っていたが、同社の親会社、アロットクリエイトが2つの休業店舗で「パンの販売」を行った。ロットの立ち上げメンバーであり、現在アロットクリエイトの代表を務める田子英城氏は、「これからの居酒屋はクローズタイムに中食に取り組んでよいのではないか」と語っていた。飲食店の「箱」をフル活用する考え方だ。

 

(2)特徴のある地元生産者の産品でつくった弁当が大ヒット(5月14日)

「生産者応援弁当」は2200円(税込)、さいたまヨーロッパ野菜研究会の野菜が2つついてくる

 

これを手掛けた会社は、さいたま市浦和区に本拠を置くノースコーポレーション。筆者は同社代表の北康信氏が、「さいたまヨーロッパ野菜研究会」を推進していることに感銘を受けて、2016年に4回連載で取材をさせていただいた。それ以来、同社及び、同社と志を同じくしている人々の活動に触れるたびに、地域社会で連帯する意義の高さを学んだ。「生産者応援弁当」と名付けられた商品は、出荷がすくなくなったために生産を諦めかけていた生産者を応援するために考えだされたもので、関係者たちは連帯感を一層強くした。

 

(3)居酒屋が「野菜販売」を手掛けて新しい顧客に巡り合う(5月18日)

「串カツ田中」の店舗では「もったいない野菜セット」をうたった1500円のパッケージを販売

都心にあって背景に住宅街が控える路面店の居酒屋では、日中野菜を販売する事例が数多く見られた。これによって赤字が膨らむことを抑えるようにした。このような販売形態を支援したのが「フードサプライ」である。生産者と消費者をつなぐことで生産者を応援するこのベンチャー企業は野菜販売のチャネルを開拓した。それを象徴するものは「ドライブスルー八百屋」である。この仕組みは「ドライブスルー魚屋」「ドライブスルー弁当屋」といった形態を生み出した。

 

(4)タクシーがデリバリーを行う街ぐるみの事業構想(5月21日)

 

タクシーは注文した人の家の近くまで行き、取りに来てもらう仕組み

仙台市を中心に19店舗を展開するハミングバード・インターナショナルが4月15日より指揮を執っている活動。同社では昨年10月の消費増税のタイミングで、「これからテレワークが増える」と考えデリバリー事業に参入。その後「タクシー業者がお客が少なくて困っている」という話を聞きつけて仙台中央タクシーと提携してタクシーを利用したデリバリーサービスを開始。ハミングバード・インターナショナル代表の青木聡志氏は「飲食店もタクシー業者も賛同者を迎えて、街ぐるみの事業に育てていきたい」と展望を語っていた。

 

(5)野菜販売で新規顧客の手応えをつかみ、多様なECサイトも展開(5月25日)

「EC(通信販売)」によって、ゴールデンマジックのファンとのつながりを深める

 

DDホールディングスのゴールデンマジックが手掛けた事例。筆者は4月26日に同社の「酒場フタマタ」西池袋店が野菜販売を手掛けたことを知り、同店の様子を視察。また、5月12日に「熱中屋」五反田店ではじめた「熱中八百屋」を視察した。この日店頭で販売の先頭にいた代表に山本勇太氏によると、「日中、地元の中高年女性のお客さまが多い。今後このお客さまを顧客してメニュー開発も検討していきたい」という。また、同社の業態の看板メニュー「博多もつ鍋」「高知餃子」「博多かわ串」「牛鍋」の通信販売を開始した。

 

(6)イートイン休業期間に販売チャネルの開拓などを推進(5月29日)

通信販売の「芋煮セット」は料理済みで温めるだけ

 

三軒茶屋で7店舗ドミナント展開をしている和音人(わいんびと)では、4月10日より6店舗でイートイン営業を休止し、「テイクアウト」「デリバリー」を開始。また、同社のコンセプトである「山形」を打ち出した「通信販売」に着手。さらに「オンライン飲み会」でコミュニティを育て、代表の狩野高光氏が企業研修を無償で行う「社長貸します」を展開した。「オンライン飲み会」と「社長貸します」は、アフターコロナ、withコロナに備える上で存在感を強くした。

 

(7)SNS、プレスリリースサイトで矢継ぎ早に情報発信する(6月1日)

ファンの多い「ロウリーズ」では、2店舗が発売3日間で牛肉を200㎏扱ったということが大きな話題

 

国内49店舗、海外75店舗を展開するワンダーテーブルが行った事例。同社では、2月中旬から「いつロックダウンしてもおかしくない」と警戒し、これに備えたメニュー開発や、「テイクアウト」「デリバリー」の販売方法を模索した。秀逸なのはPR TIMESで矢継ぎ早にニュースリリースを発信し、これらの動向を各店舗がSNSでフォローしたということだ。

同社としては、これらの取組みを今後の収益につなげていきたいという。

 

これらのキーワードを挙げるとこうなる。「地域社会」「物販」「新顧客」「テイクアウト」「デリバリー」「EC(通信販売)」「SNS」……。より地域のお客さまを大切に、店のファンを醸成する、「待つ」のではなく「届ける」、「発信」ということでまとまるだろう。

 

さて、この連載はここで終了するが、次回は「特別インタビュー」として株式会社エー・ピーカンパニー代表の米山久氏の談話をベースにした記事を紹介する。米山氏が掲げていることは「APマーケティング構想」である。本連載で取材をした7つの事例のエッセンスが凝集されているので請うご期待である。

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