東京・新宿の歌舞伎町は世界一の歓楽街と言われ、日中よりも真夜中に活況を呈する“眠らない街”だ。通称「ゴジラビル」の新宿東宝ビルができてからは健全な雰囲気が漂うようになり、外国人観光客が増えてきた。
同時にさまざまな業種の飲食店が出店するようになった。中でも、歌舞伎町のランドマークとなったロボットレストランのすぐ近くにある「SHOGUN BUERGER」というグルメバーの店が異彩を放っている。このタイプの店はこれまでの歌舞伎町にはあり得なかった。

店名、ロゴ共に外国人に親しみやすい

新しい業種への挑戦が縁と可能性を引き寄せる

同店を経営するのは株式会社ガネーシャで本社は富山市にある。代表取締役の本田大輝氏は1987年5月生まれ、富山市出身。焼肉店を営む家庭に育ち、東京の大学に進学したことから東京との縁ができた。将来飲食業で起業することを志し、大学3年の時から飲食業でアルバイトをして、卒業後は東京の飲食企業に入った。

株式会社ガネーシャ代表取締役の本田大輝氏

 

東京で起業しようと考えていたが、2013年26歳の時に富山の家業を継いだ。家業の焼肉店「大将軍」は和牛を使用した高級店で3店舗となっていた。
本田氏は焼肉店を営む傍ら「これまで富山にない飲食店」を展開するようになった。「誰も手掛けていない業種を先行して営業しているところは強い」という信念があったからだ。そして会員制焼肉店「大将軍」、サムギョプサル「BUTAMAJIN」、グルメバーガー「SHOGUN BURGER」をオープンした。このような挑戦が、さまざまな縁と可能性を引き寄せた。

まず、「BUTAMAJIN」を出店したところ、本田氏の前職の先輩と再会することになり、東京・池袋に先輩と共同で「BUTAMAJIN」を2016年8月にオープンした。同店は、その後先輩に事業譲渡した。

さらに、別の先輩から「焼肉店を経営したい」と相談を受けて、2017年11月歌舞伎町に「ショーグンホルモン」をプロデュースした。

このような形で本田氏は店舗展開を進めていき、現在13店舗を擁している中で5店舗は事業譲渡ないしFC店舗となっている。

「歌舞伎町が変化している」と感じグルメバーガーを出店

本田氏がショーグンホルモンの経営を手伝っている時に、「歌舞伎町という街が変化していることをひしひしと感じるようになった」という。特に外国人が増えてきていることに大きな可能性を感じた。
そこで思い浮かんだ業種がグルメバーガーであった。
「歌舞伎町にハンバーガーを日常的に食べる外国人や日本人のハンバーガーファンもやって来る、さらに深夜、グルメバーガーのデリバリー需要もあるはず」と考え、歌舞伎町の中にグルメバーガーの店が存在していないという事実が出店することを決定づけた。

さて、同社ではグルメバーガーの「SHOGUN BURGER」を2017年4月に富山市内にオープンしていた。この店名は、創業の店名にある「将軍」と「バーガー」をつなげただけだが、「これは外国人に受ける店名だ」とひらめいた。実際にオープンしたところ、外国人に喜ばれる店となった。富山市内に外国人観光客が少ないながらも、富山市内を訪れたら必ず立ち寄る店となった。

そして、2018年10月歌舞伎町に「SHOGUN BURGER」をオープンした。
物件は20坪、元無料案内所で飲食店にするためには予想以上のコストを要した。物件取得費は1200万円、さらに改修費として2000万円近くを投じた。

商品のメインは、和牛を使用したパティのチーズハンバーガー。パティは歯ごたえを感じさせ、ボリュームは120ℊと食べ応えがある。和牛の産地とパティのスペックは業者に委ねている。
これらでスタンダードのハンバーガーは900円、ダブル1400円など。また、ディナーメニューとして、1ポンド(450g)3800円、1/2ポンド(225g)2000円のステーキをラインアップしている。

近接出店することを歓迎しブランディングを図る

本田氏の飲食業でのキャリアはホール担当を磨いてきて、接客の在り方に見識を備えてきた。富山の既存店では接客レベルの高さについて定評がある。歌舞伎町の店でも、一般的なファストフードにはないホスピタリティがある。

営業は12時オープンで翌5時クローズ。オープンして4カ月近く経過したが、一般的な飲食店との大きな違いは18時から21時の間がアイドルタイムとなることだ。この時間帯の集客のためにプロモーションを検討中だ。

21時から深夜帯の客層は、歌舞伎町の人間模様そのままだ。外国人、ホスト、キャバクラ嬢、キャッチの人等々。また、デリバリーにも力を入れていて、カラオケバー、ホストクラブ、キャバクラなどからの需要を得ている。デリバリーでは注文単価が5000円あたりと大きいことから、これからメニューチラシなどをラッシュアップしていく意向だ。

売上は初月の11月480万円、12月580万円、1月は650万円という具合に順調に伸びてきている。近いうちに800万円を越えて、1000万円への到達を目指している。

現在、ガネーシャには加盟店を希望する問合せが増えてきている。そこで「SHOGUN BURGER」と「ショーグンホルモン」はFC展開を行っていく意向だ。その過程で同じ店が近接出店しても自社競合するとは考えずに、むしろ「近い場所にたくさんあることがメリットをもたらす」(本田氏)と考えている。

効率を高めたグループ経営を展望する

ガネーシャの経営理念は「食肉の文化を通じて、関わる人々を幸せにする」というもの。以前は「焼肉の文化を通じて……」というものだったが、「焼肉」だけでなく、「食肉」の領域でハッピーな存在であり続けようと考えている。
現在は「SHOGUN BURGER」と「ショーグンホルモン」をブラッシュアップすることに意欲を傾けているが、今後は「鶏肉」「羊肉」を使用した業態開発もしていきたいと考えている。

このように店舗展開の構想は広がっているが、ガネーシャとしての直営店舗は3店舗程度維持することに留めて、他は従業員への事業譲渡やFCで展開していきたいとしている。
本部は商品開発、FC展開、教育等の専門家など5~6人程度の少数精鋭で、「それぞれの働き方に任せて、重要な場面にはすぐ集まる組織」にしたいという。

本田氏はこう語る。
「私はこれまでの飲食業の在り方を変えたい。飲食業で働く人は、お客様に関わることが楽しいわけで、その他の仕込みとか後片付けは楽しくありません。飲食業が会社組織になって、従業員に楽しくない作業を強いると人材は集まらない。そこで当社はこれまで仕込み作業を絞り込んだオペレーションをつくり上げてきて、これからさらに効率化を図っていきたい」

こういう世界を事業譲渡やFCで広がるガネーシャグループの中で活かしていきたいとしている。

地方都市・大都市の二拠点からビジネスを磨く

同社の拠点は現在富山と東京の二つとなっているが、本田氏は月~木が、金~日が富山というサイクルで仕事をしている。地方都市と大都市での営業の在り方を比べて、本田氏はこう語る。

「富山、東京ともによい部分とよくない部分があります。マーケットとしては東京の方が圧倒的に大きいですが一見さんも多い。富山はリピーターによって成立していることで、店を磨き込んでよくしていく必要があります。東京も当然ですが。東京ではよい店や斬新な店は次から次と現れてきます。富山ではクーポンやポイントカード、ダイレクトメールの効果が高いですが、東京ではその効果が全くありません」

歌舞伎町の「SHOGUN BURGER」の業績が安定するようになった段階で、「ニューヨークに出店したい」という。それは、「ニューヨークで日本人向けに商売をするのではなく、現地の人が日常的に食べている商品で勝負するべきだ」と考えているからだ。

「CHEESE BURGER」900円
「BACON CHEESE EGG ONION BURGER」1300円

これまでの展開は本田氏流のひらめきによって進められてきたが、これらには時代性を捉えたセンスの良さと飲食業への愛に満ちた野望が感じられる。

店舗情報

店舗名 SHOGUN BUERGER
エリア 新宿

運営企業情報

企業名 株式会社GANESHA
URL https://ganesha-inc.net/business/restaurant/

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