日本各地で新型コロナウイルスの1日の感染者数が過去最多を記録するなど、まさに第3波の流行真っただ中という現状です。東京都、大阪市、札幌市などの一部地域では住民に対して外出自粛を、お酒を提供する飲食店等に対して営業時間短縮や休業を次々と要請しています。具体的には、東京都が11月28日から22時まで、大阪市が11月27日から21時までで、最も早く第3波が流行しはじめた札幌市では22時までの時短営業を11月27日までの予定で求めていましたが、12月11日までの延長が決定すると同時に、接待を伴う飲食店に関しては休業要請に変更されています。
※2020年12月1日時点

 

例年であれば年末にかけて、忘年会で飲食店はとりわけ賑やかとなる季節です。しかし、通常通りとはいかない新型コロナ禍において、各飲食店ではさまざまな工夫を凝らしこの難局を乗り切ろうとしています。今回は、そんな飲食店の新たな取り組みをご紹介します。

最初に紹介するのは、冬の宴会の定番でもある鍋。2020年は大勢で鍋をつつくのではなく、各自に一人用の鍋「こなべ」が提供されるスタイルが飲食店の間で広がっているようです。例えば、熟成肉と釜飯をメイン料理とする居酒屋「氷温熟成鶏と釜飯 かまどか」(運営:株式会社レインズインターナショナル、代表取締役社長 根本寿一氏)では、11月17日から「こなべ」メニューの提供を開始しています。

 

新型コロナウイルス感染という不安要素を可能な限り排除する取り組みで、お客様の「小規模でも気のおけない仲間と忘年会を行いたい」というニーズに合致したサービスと言えそうです。鍋は定番のチゲ、水炊き、もつ鍋の他、海鮮のうま味が濃厚な「味噌ちゃんこ鍋」、鴨肉を甘辛いタレで煮詰める「鴨すき」、ブリを出汁にくぐらせて食べる「鰤しゃぶ」の6種類が用意されています。さらなる安心要素として、つまみも個々に提供されるコース料理があり、食事中の会話に注意は必要ですが、食事を行うことでの感染を気にする必要はなさそうです。

 

鳥取県の名峰・大山のふもとで飼育された大山どりなど、ジューシーで豊かなうま味の焼鳥が人気の「やきとり家すみれ」(運営:株式会社すみれ、代表取締役 湯澤忠則氏)では、個食スタイルだけでなく、食事時間を短く設定したショートステイプランの提供を開始しています。


これまで同店ではコースを120分に設定していましたが、人と会っての食事時間をなるべく短くするために、滞在時間90分というプランをスタートしました。「もう少しゆっくり食事を楽しみたいけれど、感染は不安」という方向けに、従来通り120分の滞在時間で全ての料理を個別に提供する【個食のグルメ】コースもあります。
さらに、複数人でも安心して鍋料理を囲めると話題なのが「トマトチーズ串鍋」です。こちらは具材が串になっているので、箸による感染リスクがありません。大山どり、トマト肉巻、もちもちベーコン、ブロッコリー、ほうれん草など、串に刺されたバラエティー豊かな具材を、徐々にチーズが溶け出す濃厚トマトチーズスープにディップしていただきます。大阪の串カツのように2度づけ禁止にすれば、一つの鍋でも安心して食べられます。最初はさっぱり、煮詰まるにつれ濃厚なチーズとトマトのうま味を楽しめます。

 

さらなる画期的な取り組みとしてご紹介したいのが、「恵比寿イーストギャラリー」(運営:株式会社シュッティヤナセ、代表取締役 柳瀬貢一氏)です。同店は企業の忘年会・新年会といった団体での利用や貸し切りパーティーなどを行っていますが、3密を避けられることが求められているニューノーマルの新たなプランとして「食べない忘年会・新年会プラン」を提供しています。「食べない忘年会・新年会」と言われてもピンときませんが、要は企業の忘年会などで行われる代表者、役職者のあいさつ、催し物などのイベント要素は同店で実施し、食事は自宅などに持ち帰って安心してゆっくり楽しむというスタイルです。

1年の締めくくりという忘年会の意義を果たしつつ、安全な食事を両立しています。新型コロナ前の日常からは考えにくい「食べない忘年会・新年会」、今後、忘年会・新年会の新たな選択肢の一つになるかもしれませんね。

 

完全な個食スタイル、短時間滞在、食事は安心の自宅でと、忘年会シーズンに次々と新たな取り組みが誕生しています。
新型コロナの第1波以降、飲食店はテイクアウトやデリバリーに活路を見出してきましたが、1年で最も繁盛するといっても過言ではない忘年会シーズンに第3波が直撃し、自治体から時短や休業要請が出るという厳しい事態に。イギリス政府がアメリカの製薬大手ファイザーのワクチンを承認し、12月7日から接種が開始される見込みなどの明るいニュースもありますが、新型コロナ以前の日常が戻るかは分かりません。飲食店にはWithコロナの時代にあわせたさらなる取り組みを試み、変化し続けることが求められていそうです。

 

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