新型コロナに始まり未だ収束が見えない2020年も年の瀬となりました。飲食・観光・エンタメ業界などでは緊急事態宣言や自治体による休業・時短営業・外出自粛要請により売り上げは激減。国による「Go To事業」で経済回復の兆しも見えましたが、第3波の訪れでそれも一時停止に追い込まれています。

厳しい状況の自助として、各飲食店ではテイクアウトやデリバリー、ECサイト(通販)に活路を見出しています。中にはサブスクリプション・自社アプリの導入といったサービスを行い、ユーザーの心をつかもうと試みているところもあります。
何とか苦境を乗り越えようと努力し続ける飲食店に対し、ファンや常連客に限らず、さまざまな人が「応援消費」としてサポートするという新たな循環も生まれました。しかし資金不足というジレンマから、なかなか次の一歩を踏み出せないという店舗も。そんなときの光明となるのがクラウドファンディングです。資金調達のために利用するというシーンが見られました。
※以前、サブスクリプションや自社アプリを導入した店舗を当サイトでご紹介しました。各事例はこちらです。
・サブスクリプションの事例→新型コロナ禍で挑戦をし続けたことで出来上がった「筋肉質の経営体質」
例えば、常に40種類以上のホルモンが楽しめると人気のホルモン焼肉専門店「昭和大衆ホルモン」を運営する株式会社DREAM REALITY(代表:小倉諄大氏)では、ECサイト設立を目標にクラウドファンディングに挑戦しました。これは、Withコロナの到来により、なかなか来店できなくなったファンの「自宅でも“昭和大衆ホルモン”の味を堪能したい」という要望に応えたものです。同社は要望に応えて商品開発やECサイトの設立を行うために、資金調達の秘策として利用したようです。
支援者には、同店で提供しているホルモンをお届けする他、来店時に利用できる割引チケットの配布などのプランが用意されていました。

プロジェクトの開始から18時間で目標の100%を達成したとのことで、ファンを含め切望していた人が多かったことが伺えます。お客様と対面でのつながりを持つ機会は少なくなりましたが、オンライン上で絆を強めるのは可能と言えそうですね。

 

また、多数のオリジナルクラフトビールを提供するビアバー「VECTOR BEER」などを運営するライナ株式会社(以下、ライナ。代表取締役:小川 雅弘氏)では、クラウドファンディングのプラットフォームを手掛ける株式会社ふぁんドリ(代表:星 匠氏)とパートーナーを組み、クラフトビール醸造を新たに行う飲食店のサポートを開始します。ライナはビールの醸造所を所有しており、これまでも自社で多数のクラフトビールを醸造してきました。そのノウハウを生かし、既存の飲食店が新たな付加価値を生み出すための一手として、オリジナルドリンクの醸造のサポートを行います。

※以前、ライナの小川雅弘氏のインタビューさせていただきました。インタビュー記事はこちら→「飲食の川上から川下まで一貫して行う企業を目指す」

 

通常であれば大きな投資となるオリジナルドリンクの開発ですが、成功ノウハウとクラウドファンディングの利用という一石二鳥のサポート体制です。短期間でオリジナルドリンクを開発でき、開発費の調達と自店の客層に合っているか、ニーズがあるかなどを調べることができます。

クラウドファンディングに挑戦するのは飲食店にとって、さまざまなメリットを享受できます。現状、店を維持するのだけで精一杯でWithコロナに合わせた新たな取り組みを行いたくとも資金不足が心配、資金を投入するからには失敗できないなどの不安要素が尽きない店舗も多いと思います。その不安を一気に解決する可能性をクラウドファンディングは秘めているのです。資金の調達はもちろんですが、100%を達成すれば一定のニーズがあるという判断にもつながり、新しいことに挑戦する際のハードルをだいぶ下げることができます。お客様と対面での交流が難しい今だからこそ、飲食店にはオンラインという武器を使ってユーザーとの距離を縮める方策が求められていそうです。

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