2月16日に東京・渋谷と五反田に「レモホル酒場」という焼肉店が同時オープンした。経営するのは有限会社GC(本社/東京都港区、代表/石原義明・冒頭写真)。「レモホル酒場」の店名は、「レモンサワー」と「ホルモン焼き」をつなげて短くしたもので語感が親しみやすい。

2月16日、11時50分ごろの行列の風景、人々の表情から期待感の高まりが感じられた。

「レモホル酒場」の仕組みは、テーブルにレモンサワーを自分で注ぐことができるタップが付いていて、60分間500円(税込)で注ぎ放題、延長する場合は30分500円がプラスとなる。

ホルモン焼きは牛の生ホルモンが1480円で食べ放題、新鮮で臭いがまったくない。さらに480円でサイドメニューが食べ放題となり、これを注文すると30分延長が可能となる。サイドメニューの内容は、ホルモン焼きうどん、ホルモンカレー、ホルモン煮込み、韓国風のクリスピーチキンなど。この他、単品でドリンクなどがラインアップされている。

テーブルに注ぎ放題のタップがついた業態は2019年の半ば以降に立ち上がり、2020年に出店事例が増えていった。初期投資がかさむことから一気に広まるという動きはないが、実際の店舗は予約が取りづらいほどの繁盛店となっている。

各テーブルにレモンサワーのタップがついていて顧客は注ぎ放題で楽しむことができる

渋谷には同店から100mほどの至近距離に同類のブランド「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」が繁盛店として定着していて、さらに「レモホル酒場」は渋谷の東急ハンズ近くにも出店を予定していていることから、渋谷は「レモンサワー注ぎ放題&ホルモン焼きの名所」といった様相を呈することになりそうだ。

 

K1選手から事業家に転身、K1時代の人脈を生かす

GC代表の石原氏は1982年11月生まれ、長崎出身。空手に打ち込みK1の選手に憧れ、26歳でK1にスカウトされ、大阪に移った。K1の活動を続けながら28歳の時に飲食業の会社を設立、7店舗まで拡大した。2015年に長崎の父の事業を引き継ぐことになり、展開していた飲食店をすべて当時の店長に譲渡。自身は長崎に戻り、飲食事業にテコ入れすることから事業の改革を行った。そこでヒットしたのが「焼鍋肉たむら」である。

これは、吉本興業所属の芸人たむらけんじ氏が代表を務める株式会社田村道場のブランドで、石原氏が大阪在住の当時にたむら氏と交流を重ねていたことが縁となり、FCで出店できることになった。

この長崎の「焼鍋肉たむら」の物件はそれ以前も焼肉店を営んでいたが、以前の月商が200万円だったことに対して、ブランドを転換してから1200万円になった。ヒットした要因は、まず石鍋で焼肉をいただき、そこで出た汁を生かした上に特製の出汁を注いで野菜・肉・ホルモンを煮込むという同ブランド特有の食事の楽しみ方が浸透したこと。これにたむら氏の知名度が加わった。こうして予約が取れるのが3カ月先の状態となった。

同店はその後FCからライセンス契約に移行して、現在ではGCが所有するブランドとして展開している。

新鮮な牛の生のホルモンが食べ放題。

GCでは2018年にネットショップの「ホルモン鍋たむら」を開設。2019年には不動産事業、飲食店サポート事業を開始。2020年には資本金を1億円に増資し事業基盤を整え、イベント事業、化粧品事業も開始した。

現在、飲食業で展開しているブランドは「焼鍋肉たむら」「炭火焼肉たむら」、ラーメンの「石田一龍」、韓国屋台の「Mr.チ―ジュ」など多岐に及んでいる。

店内料理を増やして業態展開の可能性を見出す

石原氏にとって「レモホル酒場」には格別の想いがある。

きっかけとなったのは新型コロナ禍である。これは昨年の3月から始まったことだが、リアル店舗での客数が低迷する一方で、ECの「ホルモン鍋たむら」の需要が増えた。そして、新型コロナウイルス感染症特別貸付を得た。

それ以来、ポスト・コロナを見据えてビールメーカーと一緒に「これからはやる業態は何?」ということを考え、練り込んでいった。フードメニューの品ぞろえについては、OEM(製造メーカーが他社ブランドの製品を製造すること)のメーカーとパートナーシップを結ぶことができた。新鮮な牛の生ホルモンを調達する仕組みも生まれた。レモンサワーの注ぎ放題と牛の生ホルモン食べ放題によって、店内オペレーションのロボット化も可能になる。

ホルモンは大振りでハサミで適宜カットしながら食べる

こうして満を持して、昨年11月に大阪の香里園(寝屋川市)と天四店(大阪市北区)にオープン、さらに、福岡、熊本と出店し、渋谷・五反田の同時オープンに至る。3月には東京・大門にも出店、そして前述の渋谷の東急ハンズ近くと続いていく。昨年11月に誕生して以来、間もなく7店舗となる。

これまで店舗展開を重ねてきた過程で、メニューやオペレーションの仕組みを変更してきた。メニューでは牛の生ホルモン食べ放題に前述の480円のサイドメニュー食べ放題を加えて、これを注文すると30分延長できるようにした。さらにセルフレジを入れて、非接触とオペレーションの省力化を行った。これらを行う以前の原価率は50%を超えていたが、現在では40%あたりで維持できるようになった。

惣菜食べ放題は以前店内調理ゼロで提供していたが、その後、クリスピーチキン、ホルモン焼きうどん、ポテトフライなど、店内調理を増やしていった。これらによってテイクアウトや、1店舗で複数ブランドを展開したり、ゴーストレストランにもチャレンジする意向だ。

「10年先の飲食業のありようが今やってきている」

東京での出店ペースが速いが、それはM&Aをした会社が営業していた店舗を「レモホル酒場」に転換する形で可能にしている。

渋谷店はスクランブル交差点近くの1、2階という絶好の立地であるが、同時に家賃が高い。そこで、同店は「広告塔的な役割」として位置付け、今後FCなどで出店を加速していくためのショールームとしていく方針だ。2階は20坪で32席、1階はキッチンが大半を占めるが、顧客には立って食事をしてもらう形態にチャレンジする意向だ。

また5月に「焼鍋肉たむら」の関東1号店を東京・竹芝に出店する予定。このようにGCでは東京および関東圏での出店ペースを上げていく意向だ。

石原氏は社員に向けて常々「コロナというフレーズを出すな」と伝えているという。その一方で「10年先の飲食業のありようが今やってきている」ということを声高に述べている。

石原氏の発想や俊敏な行動に潔さを感じるが、それはこれまで築き上げてきた人間関係や事業の種まきが今日開花して結び付くようになったからだろう。

テーブル上のタップ、ダクトと重装備であるが、この組み合わせが今日的な繁盛店の組み合わせでもある

【関連記事】

シンプルでかつ個性的なラーメンと高度なQSCで引き付ける
新型コロナ禍で挑戦をし続けたことで出来上がった「筋肉質の経営体質」

店舗情報

店舗名 レモホル酒場
エリア 渋谷
URL https://retty.me/area/PRE13/ARE8/SUB806/100001567311/

運営企業情報

企業名 ㈲GC
URL https://gc-ltd.jp/