株式会社テイクユー(本社/東京都港区、代表/大澤武・冒頭写真)は東京都内にラーメン店15店舗、居酒屋5店舗を展開しているほか、ステルスFCによって全国に約100店舗のラーメン店を展開している。

 

ステルスFCとは、決められた屋号ではなくオーナーが自由に店名を決めることができ、原材料の仕入れを本部から行うといった仕組みのFCである。 同社ではこのコロナ禍で、ランチタイムを有効活用するためのランチラーメンをプロデュースする依頼が増えるようになり、この仕組みを応用してこれまで十数店舗の実績をつくった。

 

現在の顧客の中には、立ち飲み居酒屋がランチラーメンを行いたいと考えていてテイクユーの仕組みを採用、また、路面にある小さな物件で居酒屋を営んでいるがラーメン店としての可能性をテストするため、という事例もある。

昨年3月、直営で貝出汁の「貝出汁らぁ麺 虎武」をオープンし「ランチラーメン」のバラエティを充実させた

 

加盟店が増えるに従いラーメンの種類も増加  

同社がラーメン事業を手掛けたのは2012年7月のこと。鶏白湯(ぱいたん)ラーメンの「麵屋武一」新橋本店をオープンした。このラーメンは人気を博して加盟店が増えていった。

 

しかしながら、このラーメンだけでは加盟店同士がバッティングする兆しが見られ、2015年頃から煮干しラーメンを始めた。これもあっさり系の煮干し、濃厚な煮干し、つけ麺とタイプを増やした。

 

その後、ある加盟店から「鶏白湯をやっている。煮干しもやっている。この他に何かが欲しい」と依頼され、新しいラーメンを開発するようになった。そこでこれまでのラーメンとは全く別のタイプで濁らせないスープの清湯(ちんたん)ラーメンを想定するようになり、2020年3月22日、コロナ禍にありながら直営で貝出汁ラーメンの「貝出汁らぁ麺 虎武」を東京・虎ノ門にオープンした。

 

コロナ禍が飲食業界にもたらしたことは、ランチタイムを生かすことであった。時短営業要請で居酒屋にとっては稼ぎ時の夜の営業ができない。そこでこれまでクローズしていたランチタイムに店内営業で稼ぐ方法を考える。また、ランチ営業をしていたとしても、作業の負荷を少なく、強化を図る。このようなテコ入れのために、テイクユーが営んでいたステルスFCの仕組みによるランチラーメンが居酒屋で導入されるようになっていった。

 

さらに、これまでの商品である「鶏白湯」「煮干し」「貝出汁」に加えて、「担々麺」「二郎系」「濃厚豚骨」「博多豚骨」という具合に多様なスープのレシピをストックするようになった。

夜、立ち飲み居酒屋の「魚匠」では1月よりステルスFCでランチラーメンを行い、地元神楽坂のお客との結びつきを強くした

「設備投資不要」「職人不要」を解決する

同社がランチラーメンのプロデュースを初めて手掛けたのは5年程前、ランチ営業をしたいという居酒屋から相談を受けたことがきっかけであった。条件は「設備投資がない」ことだった。そこから、現在の「設備投資不要」「職人不要」というラーメンプロデュースの仕組みが整っていった。

 

テイクユーは、自社工場を持たず、ラーメン作りに必要な、麺、スープ、かえし、油などの生産、保管をメーカーに委託。店舗へのデリバリーまでをワンストップで対応する。

 

居酒屋がランチラーメンを手掛けるためのポイントについて大澤氏はこう語る。

「本来の居酒屋営業とのストーリー性が重要です。鮮魚でメニューを構成している立ち飲み居酒屋に貝出汁を提案しました。この場合は『魚介類』を扱うということでつながっています。また、夜の時間帯に小籠包を提供している店のランチラーメンとして担々麺を提案しました。ここにもストーリーとして一貫しています。煮干しであれば大衆食堂にふさわしいでしょう」

 

ランチラーメンの魅力は「提供時間が短い、回転率が速い、老若男女とターゲットが広い、客単価が950円前後と比較的に高い」ことが挙げられるが、これまで「ゆで麺機などの設備投資が必要」「スープを仕込むことに時間がかかる」「売るためのノウハウを持っていない」「ラーメン専門店に勝つ自信がない」ということが課題となっていた。 テイクユーではこれらの要素を一つ一つ解決していくことによって、自店の売上オンや業態転換の可能性を模索する経営者から注目されるようになった。

シンプルなラーメンは850円(税込)、これで原価率は30%となっている

ランチラーメンの提案で築き上げたノウハウ

その後、ランチラーメンを提案してきた過程で分かったことは次のようなことだ。

まず、ゆで麺機を入れるといった大掛かりの設備投資ができないので、半寸胴を入れて麺をゆでるようにした。コンロは二つあれば十分。売れたら、設備を増やしていけばいい。売上げは3~4万円を確保できれば成果として大きいが、中にはランチだけで7万円を売る店も現れている。

 

また、例えば夜まぐろをメインで提供している飲食店が、ランチラーメンをはじめる場合、その時間帯でまぐろ定食を出してはいけない。理由は、まぐろ定食、ラーメンともにオペレーションが崩れ、さらにお客にとってもつかみどころが伝わらない店になってしまうからだ。まぐろの食材を生かすのであれば、ミニまぐろ丼といったサイドメニューであればむしろやった方がいい。ラーメンを主にして、本来の商売を従にするということだ。

 

スープは自店で炊かない方がいい。夜営業の仕込みの妨げになるだけでなく、ラーメン未経験スタッフでも競争力のある味を“ブレなく安定して”作り続ける必要があるからだ。そのために、テイクユーは店炊きとまったく同じやり方で、職人が長時間炊いたスープをそのまま冷凍で提供する仕組みを確立した。

 

オペレーションやストックスペースを考え、スープは1種類から始めるべきだが、例えばカエシを塩、しょう油、みそ、辛みそにするだけで4種類になるし、さらに「つけ麺」や「まぜそば」などを加えればラーメン屋として成り立つメニュー構成は可能だ。

 

つまり、ラーメンの内容は夜の本来の業態とのストーリーに一貫性を持たせつつ、ラーメン専門店に負けないクオリティと演出にこだわり、夜営業の妨げは最小限に抑えられるシンプルなオペレーションを実現することが成功のポイントと、ノウハウの蓄積から考えるようになった。

「コロナ禍の飲食業支援」で存在感を増す

コロナ禍は飲食業界に大変な災難をもたらしているが、その渦中で闘う飲食店の個々は新しい売り方を模索し、新ビジネスの可能性を見出した。

 

その一つの潮流は「ゴーストレストラン」「バーチャルレストラン」と言えるだろう。リアル店舗のメニューの中で得意とするジャンルを、専門店としてブランドにすると店の中にもう一つのレストランができる。ここには新しい人件費は発生しない。

 

この仕組みでFCを手掛けているところは「コロナ禍の飲食業支援」を旗印として掲げている。そして導入している店舗ではリアル店舗以外のキャッシュポイントをつくり上げた。

 

コロナ禍を嘆くだけではなく、新しいビジネスを探し当てて、業界全体で支え合うことを考えることが重要なのである。 このような飲食業界の在り方をランチラーメンで切り開いているテイクユーは、コロナ禍の飲食業に売上のつくり方と店の存在感を気付かせてくれている。

「貝汁」は〆のラーメンとしても人気が高く、飲食店街での需要に期待が寄せられている

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店舗情報

店舗名 貝出汁らぁ麺 虎武
エリア 虎ノ門
URL https://ramen-lunch.com/

運営企業情報

企業名 株式会社テイクユー
URL https://ramen-lunch.com/