目標の達成期限まで10年を切り、これまで以上によく耳にするようになったSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsとは、貧困やジェンダー問題、環境問題など国際的に取り組む必要がある課題について定められた国際目標です。

そんなSDGsの考え方を大きく取り入れた飲食店が新宿にあります。「世界のみんなと、ごいっしょに」をテーマとして運営する「新宿ダイアログ」は、日中はビーガンやオーガニック料理を提供するカフェ、夜はLGBTQ(※1)のTにあたるトランスジェンダー・MtF 当事者の店長、FtM 当事者のシェフがお酒や心温まる料理を提供するバルを運営する二毛作店舗となっています。

 

(※1)LGBTQはLesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)、Q(クエスチョニング)のイニシャルをとった単語。セクシュアルマイノリティの総称の1つ。

 

今回はカフェの店長野村良子氏、バーの店長ダイアログ瞬氏、バーのシェフまいける氏の3名に同店が行うSDGsの取り組みについてお伺いしました。

写真左からバー店長 ダイアログ瞬氏、バーシェフまいける氏、カフェ店長野村良子氏

―どうしてSDGsの考え方を大きく取り入れた「新宿ダイアログ」を出店されたのですか?

野村氏:私は地球にも体にも優しい料理を目指す中でSDGsを知り、意識するようになりました。オープン前の2018年頃はSDGsの認知度は10%程度と言われていたので、もっと多くの方に広い視野を持っていただきたい、飲食店からもSDGsを広めていきたいと思うようになりました。飲食店だからこそ発信できることがある、環境問題などに触れるきっかけになりうると考えたのです。

 

瞬氏:私は以前からLGBTQを広める社会活動をしており、どんな人にとっても安心できる場所をつくりたいと考えていました。野村とはそれまで軽い面識はあったものの改めて交流するようになったところ、二人ともSDGsに対する思いが同じだったことなどから、一緒に出店することになりました。


―昼・夜の二部体制にされたのはどうしてですか?

野村氏:働き方を意識したのが一つの理由です。飲食店は、昼から深夜までの長時間開いているお店が少なくありません。ですが、スタッフの働き方もサステナブル(持続可能)でなければならないと思うのです。新しい試みとして、私がカフェタイム(11~17時)、瞬がバータイム(18~24時)を担当することで昼夜にわたる長時間労働をしなくて済むようにしました。

 

働き方に関して詳しくはこちら→SDGs目標達成にむけて飲食業界ができること-目標8.働きがいも経済成長もー

 

―実際に二部制にされていかがですか?

まいける氏:カフェを気に入ってくれたお客様がバーを、バーを気に入ってくれたお客様がカフェを利用するようになることがよくあります。

カフェタイムはビーガンなど、健康やオーガニックに興味のあるお客様が多く、バータイムはLGBTQに関心のあるお客様が多かったのですが、どんどんボーダーがなくなっている印象です。実は私も最初はカフェタイムに客として来ていました。バータイムのコンセプトを知り、自身もLGBTQのTにあたるトランスジェンダー当事者であったことからバーを利用するようになりました。何度か来店したら、瞬が料理人を探しているとのことだったのでシェフとして働き始めました。

 

―カフェについて伺います。どのようなSDGsに関する取り組みを行っていますか?

野村氏:日本産のおいしくて健康にいい食材を使って、ビーガン、オーガニックメニューを提供しています。国産の食材を用いるのはフードマイレージ(※2)を減らし、二酸化炭素排出量の削減を意識してのことです。
何より、日本にはすてきな食材がたくさんあるのです。私は10年以上飲食業界で勤務しており、飲食店の経営もしてきましたが、その中で生産者さんの顔が見える、安心できる食材を用いることの重要性を感じるようになりました。

 

(※2)フードマイレージは、 食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標。この数値が高くなるほど食料の生産地から食卓までの距離が長いことを意味し、輸送にかかる燃料や二酸化炭素の排出量が多く、環境への負荷が大きいことが分かる。

フードマイレージに関して詳しくはこちら→SDGs達成に向けて飲食業界ができることー目標13.気候変動に具体的な対策をー

 

―安心できる食材とは、具体的にどういうことか教えてください。

野村氏:来店してくれるお客様には健康でいてもらいたいので、基本的に無農薬食材を使用しています。現在は、自分で作った野菜を提供してもいます。また、食品ロス削減の観点から、収穫が間に合わず、熟して木から落ちてしまった梅をジャムにするなどの取り組みも行っています。提供する料理は、人間にも地球にも優しいものであることを心掛けています。

 

食品ロスに関して詳しくはこちら→SDGs達成に向けて飲食業界ができること -目標2.飢餓をゼロに-」

カフェでは、季節の食材を使用した料理を提供。写真は、2~3月が旬の菜の花・八朔・カブを具材とした「旬のサンドイッチ」

 

―バーでは、どのような取り組みを行っていますか?

瞬氏:私がトランスジェンダー・MtF 当事者であることから、同じLGBTQの方を含めて誰にとっても安心できる場所になるように努めています。そのためにまずは、私たち自身が自分たちらしく働ける環境が必要だと思っています。実際にLGBTQではない野村と2年以上共に運営してきましたが、LGBTQというフィルターを介すことなく、一人の人間として自然に働くことができています

この空気間がお客様にも広がっていて、誰にとっても安心できる場所、ダイアログ(対話)ができる場所になれているのかな、と感じます。昼夜ともにお客様同士で自然と会話が生まれることもよくあります。

LGBTQについての理解を深められるように、各回異なるテーマで、私やその他ゲストの方がトークするイベント「瞬熟ダイアログ」も新型コロナ流行前は月に1回行っておりました。毎回多くの方にご参加いただき、人気イベントとなっています。

 

―LGBTQ関連以外でもイベントを開催されているのでしょうか?

野村氏:新型コロナの流行前は月に10回ほど、イベントを開催していました。例えば、私たちが店舗で行っているコンポスト(生ごみなどを微生物の力で発酵させて肥料にすること)の先生による講座や、千葉で台風被害があった際は応援の意味も込めて、被災地の落花生を利用してピーナツバターを作るイベントなどを実施しました。

 

他にも、縄文時代の生活について研究されている先生をお呼びしたイベントなどを行いました。縄文時代は、日本の歴史のうち実は9割を占めています。それだけ長く続くほど持続可能な生活だったと最近注目されているからです。先ほどお話したLGBTQのイベントをはじめとして、どちらかの時間帯に大きく関連するテーマでも両時間帯のお客様に多くご参加いただいています。

 

―日々、運営する中でどのようなことを意識されていますか?

野村氏:SDGsを難しく扱い過ぎないようにしています。気楽に軽やかに、お客様がSDGsに触れるきっかけになれればと思っています。例えば、当店ではカフェ、バル共にドリンク1杯ごとに50円の募金を行っています。ドリンクを注文したお客様にはその瓶の蓋をお渡しし、SDGsの17ある目標の中から募金したいものを選んでいただきます。観覧車のオブジェのゴンドラ部分に各目標を記入しているので、お好きな所に蓋を入れてもらうシステムです。その数を集計して、それぞれの目標に関連した活動を行う団体に同額を寄付しています。

 

各目標をご覧いただくこと自体がSDGsに触れることになると思い、オープン当初から行っています。飲食店だからこそ、SDGsに関心がなく、食事を目的にご来店いただく方もいらっしゃいます。そういう方にとってもドリンクの募金、提供するフードやドリンクの特徴、店内でのダイアログ(対話)などからSDGsについて知ってもらうきっかけになると思うのです。今後はどんどんSDGsの発信基地になっていきたいです。

観覧車のインテリアの各ゴンドラには、SDGsの目標が一つずつ配されていて、客はその中から募金先を自由に選ぶ

【関連記事】

SDGs目標達成にむけて飲食業界ができること-目標8.働きがいも経済成長もー
SDGs達成に向けて飲食業界ができることー目標13.気候変動に具体的な対策をー

店舗情報

店舗名 新宿ダイアログ
エリア 新宿
URL https://www.facebook.com/shinjukudialogue/

運営企業情報

企業名 新宿ダイアログ
URL https://www.facebook.com/shinjukudialogue/

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