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  3. 焼肉店をタンに特化させて利益体質を強くする

JR武蔵浦和駅の下に「タン・シャリ・焼肉 たんたたん」(以下、たんたたん)という焼肉店がある。店頭に実物大の牛のオブジェがあり、それがよく目立つ。店名にあるようにメニューは焼肉の中でもタンが強調されていて人気を博し、週末のディナータイムにはなかなか予約が取れない店となっている。

JR武蔵浦和駅の下にある「たんたたん」。左側にある実物大の牛のオブジェはアルバイトの教育にも活用される

同店を経営するのは株式会社DCT.campany(本社/さいたま市、代表/高山嬢次)で、浦和・与野エリアの駅近くに業務委託を含めて6店舗を展開している。ちなみに、たんたたんは昨年の第13回居酒屋甲子園の北関東地区大会で優勝している。このように評価されたポイントについては、同チームの発表内容が居酒屋甲子園のホームページにYoutubeで掲載されているので、この記事と併せてご覧いただきたい。

商品開発でタンのあらゆる部分をメニュー化

同店は「感動させる日本一のタン」「毎日タンのことばかり考えています」という文言でアピールしているように、タンのメニューに並々ならぬこだわりを持っている。

一般的に焼肉店で使用するタンの部位は、タン中とタン元と言われるタンの中央部の上の部分から元の部分にかけてで、タン先やタン下は煮込みなどに回されている。歩留まりが5割に満たないという店もある。

たんたたんのタンメニューは「極上タン」2600円、「上タン塩」2200円という一般的なものに加えて、「たっぷりねぎ塩タン」1300円、「たんたタン」1100円、「タンホルモン」750円と馴染みやすい価格のメニューがラインアップされている。

「たんたタン」は同店の看板メニューで、大きなタンのタン中からタン元を薄切りにしたものを四角い皿に丁寧に敷き詰めたもの。「両面5秒ずつサッと焼いてください」としゃぶしゃぶの感覚。「タンホルモン」はタン下に深くナイフを幾つも入れて食べやすくしたもので「ちょっと焼きすぎかなってくらいしっかり焼いてください」という言葉と共に提供され、こりこりした食感を楽しむ。

ネーミングも絶妙な「タンホルモン」750円。こりこりとした食感が魅力

 

メニューは統一せずに各店でオリジナリティを発揮

JR浦和駅西口にある姉妹店「ねぎたん塩・ホルモン 嬢々苑」(以下、嬢々苑)を訪ねたら「壺漬けにんにく塩トロたん」700円というメニューがあった。メニュー名の通りにニンニクと塩でもんだ薄切りのタンが壺漬けになっているものだが、このタンはタン下の部分を薄切りにしたもので、焼くと1枚の中に柔らかみとこりこり感が交互に体験できるユニークな食感であった。

「嬢々苑」の看板メニュー「壺漬けにんにく塩トロたん」700円

また、塩トロたんと同様に“名物”として「ねぎたん塩」1450円がある。これはスライサーにかけたタンに九条ネギを載せて提供されるが、焼いたタンを焼いてから九条ネギを包んで食べるという趣向。月に500食前後を提供している。

Youtubeのたんたたんチームの発表によると、かつて「たんたタン」のみを看板メニューとして打ち出していた当時、この商品の原価率は87%であり、売れば売るほど儲からない状態であったという。それが、商品開発によって生まれた「たっぷりねぎ塩タン」「タンホルモン」も看板メニューに加えることによって、店舗段階の原価率が52%から37%へと抑えられて安定するようになったという。

こちらも「嬢々苑」の看板メニュー「ねぎたん塩」1450円。焼いてから九条ネギを巻いて食べる

焼鳥店チェーンの加盟店から飲食業をスタート

DCT.campanyの代表取締役、高山嬢次氏は1979年4月生まれ、新潟県長岡市の出身。高校中退後、東京で建築業を営んでいる兄を頼りに上京した。高山氏の父は事業家で、高山氏自身も兄と同様に事業を起こすものと考えていた。一時期トラックドライバーをしていたが、この仕事の途中に立ち寄ったドライブインでの体験に印象深いことが多く、飲食業を起こすイメージが醸成されていった。

DCT.campany代表取締役の高山嬢次氏

2003年、高山氏が24歳の時、焼鳥のFCチェーンに加盟することを決断し、物件が出てきた浦和に出店。両親を呼び寄せて両親と共に焼鳥店を営むことになった。30坪弱の店舗で客単価は2500~3000円程度。これがきっかけとなり浦和エリアに縁ができた。

このチェーンでの加盟は1年で止めて、独自の店舗につくり変えた。こうして同社の本店となる「つくねと焼き鶏 髙山商店 浦和本店」が誕生した。同店は現在、以前店長を務めた人物に社内独立として業務委託をしている。

店舗展開はその後、2006年、新所沢の駅前で立ち飲み居酒屋を出店。しかしながら、浦和と距離が離れていたことから非効率を感じていたが、その後、与野に物件が出てきたことから、浦和エリアに営業を集中させることにして、新所沢から撤退した。ここでは当初、浜焼の業態で出店したが、半年後には「串焼き 髙山商店 与野店」に変えた。

京浜東北線・埼京線の浦和・与野エリアにドミナント形成

与野の物件の後に「嬢々苑」の物件が出てきた。同店は2009年7月にオープン。髙山氏はトラックドライバーをしていた当時にドライブインで食べたホルモンや餃子を懐かしく思い入れがあり、ここではそのような店を再現した。
オープンしてすぐ売上は跳ねたが、3カ月ほどして低迷するようになり、5年ほど損益分岐点すれすれの状態で2度ほど撤退することを考えたが、3年前から売上が上昇するようになり経営は安定してきた。23坪で月商500万円をクリアするようになった。

2012年6月、埼京線の南与野に「串焼だいにんぐ酒場 三代目トリキン」をスーパーマーケットの一角に19坪でオープン、同店はその後増床して38坪となっている。

2016年3月「たんたたん」を武蔵浦和にオープン。

2018年1月、「ねぎたん塩・焼肉・お食事 ジャン高山」を南与野の三代目トリキンの至近距離にオープン。同店は他の姉妹店とは異なり、土・日・祝日に12時から営業を行い、ランチ需要を吸収している。

このようにDCT.campanyでは出店を重ねる過程で、居酒屋から焼肉店にシフトするようになり、タンに特化した店づくりをするようになった。そして、各店のメニューを統一することなく、それぞれが商品開発を行い看板メニューを創出している。

同社の店舗展開は居酒屋よりも焼肉店にシフトしてきているが、焼肉店のお客様は食事メインとなり、営業終了時間を前に倒すことができることだ。これからの店舗展開は、このようなスタンスで考えていきたいと言う。

ホルモン焼きからタンに特化した焼肉店に移行

焼肉店をタンに特化させたきっかけは、現在の「たんたたん」となる武蔵浦和の物件を取得してからのこと。焼肉店の開業を志すことになるが、焼肉店のトレンドとしてカルビにこだわる店が増えている中で、同じような路線で営業しては勝つことができないのではないかと考えるようになった。
そこで、既存の焼肉店には見られないタンに特化することを思いついた。

髙山氏はじめ従業員ともどもタンに対する知識を特別に持ち合わせていたわけでなかったことからメニューづくりに苦労したとのことだが、これらは従業員たちとの商品開発によって、前述のように魅力的な商品が出来上がり利益体質をつくっていった。

「嬢々苑」は当初、ホルモン焼きの店であったが、「たんたたん」のタンのメニューが人気を博して業績が好調なことから、その手法を取り入れるようになった。ちなみに同社で使用しているタンは全てUS産を使用、複数の業者から仕入れている。

「たんたたん」の営業中、活気のある掛け声が飛び交う。店内に「居酒屋甲子園、北関東大会優勝のボードがかけられている

たんたたん、嬢々苑とも、フロアスタッフは20歳前後で目元がぱっちりとした女性たちである。店に入ると満面の笑顔で「こんばんわ」と語りかける。緩くて学園祭の模擬店のような雰囲気がある。

フロアスタッフには「これ絶対!ロープレシート!」というものがあり、接客のシーンを「お出迎え」から「バッシング・セッティング」まで11のシーンに分けてスタッフ同士で仕込み時間を活用して教え合うのだという。また、肉の部位や焼き方のテストがあり、たんたたんではスタッフを店頭の牛のオブジェに触らせて、肉の部位を確認させている。

営業時間中はキッチンの男性スタッフ、女性のフロアスタッフともに、お客様からのオーダーを受けるたびにハキハキと言葉を交わしていた。

これもYoutubeでの発表シーンにあったことだが、たんたたんでは新規オープンの時以外、求人媒体を使用したことがないという。アルバイトがアルバイトを連れて来るということだ。
たんたたんをはじめ同社には「商売を工夫する」という環境があり、スタッフの全員に「自分たちで売上と利益をつくっている」という自覚があるのだろう。訪ねる度に若々しく活気があり、すがすがしい気分にさせてくれる店である。

店舗情報

店舗名 タン・シャリ・焼肉 たんたたん
エリア 武蔵浦和

運営企業情報

URL http://0721-dct.com/

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