1. ホーム
  2. インタビュー一覧
  3. 地域密着を心掛け「香り豚」の専門店で事業領域を拓く

都営三田線本蓮沼駅を出たところにある大通りは、江戸時代の五街道の一つ、江戸と京都を結んだ中仙道である。現在は国道17号線として東京と新潟を結んでいる。
この駅近くに当時の旅籠のような風情で提灯の灯りが印象的な「中仙酒場串屋さぶろく」という店がある。外観からして、一見のお客様も「入ってみたい」という衝動に駆られる。それが「旅籠」の持ち味なのであろう。

同店を経営するのは株式会社AIYOクリエーション(本社/東京・板橋区、代表取締役社長/長岡雅也)。同社はこのほか同店の筋向いに豚ホルモン焼き専門店「ごぞうろっぷ」、本蓮沼駅から二駅離れた板橋区役所前駅近くに「鶏と酒 かんろく」を経営。このようにドミナントで地域密着にこだわっている。

代表取締役社長の長岡雅也氏は、1975年7月生まれ、東京育ち。板橋区の隣りの北区に長く住んでいて、本蓮沼駅を使用していたことから、このエリアについては明るかった。

株式会社AIYOクリエーション代表取締役社長の長岡雅也氏

寿司店で修業、宅配チェーンでマネジメントを学ぶ

長岡氏は幼い頃のたまの外食で心に響くものがあった。そこにいる人々が皆笑顔でいることから「飲食店はお客さんを楽しくさせる世界」と感じ取り、飲食業に進もうと思い描いていた。高校卒業後寿司店に入り約8年間修業していたが、だんだんとその店の環境になじむことができなくなったという。

このタイミングで先輩の紹介により給食事業の会社に就いた。寿司店から給食事業に転じた理由は、二人目の子供が生まれて、家族と過ごす時間が持てて安定した仕事に就きたいと思ったからだ。そして、その願い通りになった。しかしながら、倦怠感を強烈に感じるようになった。

そこで同社を辞めて宅配寿司のチェーン店に入った。ここに転職した理由は本格的に飲食業で独立することを意識していたからである。そのために「自分に不足しているものは何か」を考えて自分自身の棚卸をした。そして、このような結論を出した。

「自分は料理をつくることができるが、マネジメントというものができない。それを習熟するためには『店長』を経験することが近道だ」
そこで店長になることができるところを探したところ、入社することになる宅配チェーンと巡り合ったという。

宅配寿司であれば自分の調理技術が活かせると考え入社したところ、想定通りに入社3カ月で店長に就任し、ここから1年半の間、同チェーンでマネジメントを学んだ。

真に思い入れを持てる物件に巡り合う

いざ独立となった時に、店舗設計およびコンサルティングの会社の会員となり、同社の会員社の焼鳥店で3カ月間弱の間修業をする機会を得た。

なぜ焼鳥店で修業をすることになったか。それは、この会社の会員になる時に「寿司店を開業したい」と申し出たのであるが、同社の代表から「寿司は難しいから焼鳥がいい」という鶴の一声で決まった。
同社の代表がなぜ「寿司は難しいから焼鳥がいい」と言ったのか。長岡氏は当時を振り返り「寿司店は原価率が高く、属人性の高い商売だからではないか。焼鳥は原価率が低く、ビジネスとして成り立ちやすい。そして大衆性があるから差別化がしやすい、ということではないか」と考えている。

修業をしている間に独立開業の物件は決まっていなかったが、同社の代表と相談しつつ、時には一緒に物件を見に行ってそこの可能性について話し合うことを繰り替えして行った。
そこで偶然、「さぶろく」の物件に遭遇することになる。

独立開業に当たり、埼玉県の南エリアなど物件を当たっていたが、母方の墓地が国道17号線を上った文京区内にあり、その墓参りでこの道路を走っている時に、たまたま以前からよく知る家電販売店が「テナント募集」になっていた。そこのオーナーを良く知っていたことから、すぐに不動産業者に翌月曜日に交渉に出向いた。

そこで自分の独立開業に対する思いを書いて不動産業者に熱く語ったところ、「あんたは面白い人だな」と言われた。その姿勢にオーナーの心は動かされたのであろう、その物件を借りることができた。

このことを長岡氏が代表に相談したところ、代表から「ここの物件のことを語っている長岡さんにロマンを感じる」と言われて、それが出店を決断することにつながった。長岡氏はこの物件に相当の思い入れを傾けていたのであろう。この時長岡氏は35歳であった。

こうして「さぶろく」は2010年11月に30坪でオープンした。2013年7月に増床し36坪72席。現在、客単価3800円で月商600万円程度となっている。

「串屋さぶろく」は地元密着のスタンスでメニューの豊富さで引き付ける

「香り豚」の専門店で生産性の高い仕組みをつくる

「さぶろく」は大衆居酒屋を心掛けており、「一本一本店内仕込みを行う」「備長炭を使用し、シズル感をしっかりと出すこと」を基本としている。また、地域に根差した経営を目指して、メニューアイテムを増やして、お客様にとって常に新鮮な感動があることを心掛けている。

2015年9月「さぶろく」の筋向いに「中仙酒場ちびろく」(現・ごぞうろっぷ)をオープン。2017年3月に板橋区役所前に3号店となる「鶏と酒かんろく」をオープンした。「さぶろく」を立ち上げた当時からの従業員が育ち、その人物を同店の店長に据えた。「さぶろくのスピンアウト」といった位置づけで「さぶろく」の主力商品である焼鳥をメインにしている。

さて、「ちびろく」は2017年8月に「ごぞうろっぷ」に業態転換する。きっかけは、埼玉県加須市の松村牧場が飼育する「香り豚」に巡り合い、その食味に感動したことから、この食材に興味を抱くようになった。これは飼料に良質のとうもろこしを使用し、きびしい防疫体制を敷いたクリーンな環境下で育ったSPFポークである。

長岡氏は香り豚を使い続けたいと松村牧場に申し出たところ、香り豚のホルモンを仕入れることができるようになった。業態転換した店名は「埼玉県加須市松村牧場直送 香り豚一頭買い 豚ホルモン焼き専門店 ごぞうろっぷ」とした。店名の長さに長岡氏のこだわりが感じられる。

「串屋さぶろく」の筋向いの店を「香り豚専門店」にリニューアルした

 

「香り豚」を広げるためにFCで展開

現在、「ごぞうろっぷ」では、月に香り豚10頭分のホルモンを使用している。同店は8坪20席、客単価2900円で、月商170万~180万円がベースとなっている。オペレーションは「さぶろく」の衛星店舗という位置づけで、1、2人で行っていることから利益率は高い。

メニュー構成は食べ放題に似た仕組みで、「お任せセット」(1800円/ホルモンん7種盛り350g、赤身4種盛り200g)を注文すると、ドリンクが全て100円となる。お任せセットはカット済みのホルモンを盛り付けるのみであるからここで利益が確保され、ドリンクを100円で提供しても原価率は28%を切っている。

「ホルモン7種盛り」は350gで1800円とお値打ち

「さぶろく」と「ごぞうろっぷ」は至近距離にあることからこのような運営が可能になっており、似たような店舗展開で、本店の近くに狭小の物件を確保した場合など有効な売り方と言えるだろう。

この香り豚の業態はFCで展開することになった。「香り豚を広げたい」という志を持つ人が現れ、その人物に香り豚を供給する。このような形で、同じ志を持つ人にこの業態を広げていきたいとしている。

これから社内独立制度などを手掛けていく方針で、店舗展開は板橋を中心に、赤羽ないし池袋までを想定している。地域密着と目が行き届く経営を心掛けている。

長岡氏は今期より居酒屋甲子園の理事となり、関東第1地区の副支部長として活動している。これまで実行委員として手伝いをしていたが、新しい理事長に山崎聡氏が就任し、山崎氏の壮大な展望に引かれて理事となった。ここでの学びはAIYOクリエーションの経営にとって大いに生かされることであろう。

店舗情報

店舗名 中仙酒場串屋さぶろく
エリア 本蓮沼
URL aiyo39.com

運営企業情報

企業名 株式会社AIYOクリエーション
URL aiyo39.com

e店舗動画一覧

業態別 カテゴリー

おすすめキーワード

メインメニュー