新しいコーポレートロゴは、和牛生産者の思いを伝え、幅広い客層に愛されることを、牛になぞらえて表現している

高級な焼肉店をチェーン展開している株式会社平城苑(本社/東京都足立区、代表取締役社長/鏑木順之)ではこの度リブランディング(=ブランド再構築)を行い、その象徴として7月15日に新たに旗艦店となる「東京焼肉 平城苑 浅草総本店」をオープンした。同店はこれまで「焼肉 平城苑 本館 浅草雷門店」として二十数年間営業していたもので、この度大がかりにリニューアルを行った。

 

また、同社のミッションを「和牛のオールラウンドカンパニーを目指す」、ビジョンを「和牛の素晴らしさを世界中の人々に伝え続ける」、ブランドコンセプトを「和牛を極める。美味しさをつなぐ」と設定。これらに基づいてビジュアルアイデンティティ(企業ロゴおよびブランドロゴ)を刷新した。

これらの指揮を執っているのは同社専務取締役経営企画室長の近藤昭人氏(冒頭写真)である。近藤氏は1971年10月生まれ。経歴としては、1995年9月に株式会社プロントコーポレーションに入社、営業部門で手腕を発揮。2014年1月に株式会社串カツ田中(現・串カツ田中ホールディングス)に入社、同社の店舗拡大とIPOに貢献。そして2020年6月に株式会社平城苑に入社した。

 

近藤氏が、平城苑がリブランディングを行った背景について語ってくれた。

浅草雷門近く、印象深い外観は「平城苑」のシンボルとなった

「当社がこの度の構想を計画したのは2019年のことです。この時は、翌年の2020年が創業50周年であり、オリンピックイヤーでありました。『このオリンピックイヤーをスタートラインとして、次の平城苑を、今の従業員で次の世代に残していかないといけない。100年企業となるためにはどうしたらよいか。』と当時の経営陣が、お世話になっているブランディングデザイナーの西澤明洋様と意見交換を重ねていきました。ここでは平城苑のブランドの発信力を一度見つめ直していくようにして、どのように発信したらよいかということをプロジェクト化したのが2020年の1月からです。そこでリブランディングによって従業員が一丸となるように、ミッション、ビジョンを策定し、インナーブランディングにも取り掛かり、同時に2030年までの中長期経営計画を作成しました」

 

和牛一頭買いにこだわり地域の人に愛される

平城苑の創業は1970年。「和牛文化」に着眼し、焼肉のおいしさを追求して全国の有力な産地から品質と等級にこだわった和牛一頭買いを継続している。現在、A5和牛を年間約500頭分仕入れている。同社ではミートセンターを擁し、熟成・加工・自社物流のすべてを一元管理している。和牛食材は同業他社にも供給している。同社の店舗は現在7業態で関東・関西に34店舗、海外に2店舗を擁している(7月末現在、FC店を含む)。2030年までの中長期計画では100店舗、年商200億円を目標に掲げている。

 

今後は「外食という枠に限らず中食分野にも進んでいく」という。同社が取り扱っているメニューをメーカーとタイアップして冷凍食品をEC(通信販売)で展開したり、焼肉弁当を専門に販売する小売店舗を駅ナカ、駅前、商業施設などで展開することも画策している。こうして平城苑ブランド認知を加速させていくという。

 

同社では創業の地である東京都足立区に「本店」が存在するが、リブランディングの「総本店」を浅草としたのはなぜか。

「『浅草』は日本ブランドの象徴であり、世界に発信する観光地としては十分なブランドです。そこで浅草にある店舗を総本店という立ち位置にすることによって、リブランディングは十分な効果を得られることでしょう」(近藤氏)

 

リニューアル前の浅草雷門店は5~6年前より始まったインバウンドの活況に伴って、昼時に団体バスが停車する光景が定着するという観光コースの定番となっていたが、それ以前から既に地元の人々から愛されるハレの日需要の店であった。店内は祭りが連想される浅草らしい庶民的で開放的な雰囲気が漂っていた。

 

店舗のリニューアルを担当した建築デザイナーの道下浩樹氏は、リニューアルのために同店をはじめて見た時に「店が完成しているから、これ以上触る必要はないのではないか」と感想を述べたという。しかしながら、それを「令和版につくり替える」という趣旨で詰めていった。そこで木材をふんだんに使った今回のデザインとなった。

 

照明はすべて間接照明で温もりを感じられる。要所に狛犬や鬼瓦のオブジェが置かれて空間を引き締めるとともに「ジャパン」のイメージを印象付けている。

リニューアルした店内は、木材をふんだんに使用し、狛犬などのオブジェで空間を引き締めている

和牛焼肉にこだわる総本店ならではのメニュー

浅草総本店のオープンにあわせてオリジナルメニューを開発した。その代表的なものは「和牛一頭コース」8000円(税込、以下同)。これは、頭、うで・かた、アキレス腱、腹、内臓、筋、もも・尻、脚、背ロース、テールと、頭からしっぽまで牛一頭を巡っていくようにコースが組み立てられている。ほかに、9つの部位を1枚ずつ味わう盛り合わせの「味九らべ」3800円、希少部位の赤身の肉に、うに、いくら、まんげつたまごをトッピングするにくすきの「うにくらん」2200円。「和牛特選グリル」4000円~というメニューも特徴的で、150ℊの塊肉を顧客の前で焼き目をつけて、キッチンで最適に火入れ、オークチップで香り付けを行い、エシレバター・こだわり醤油で仕上げたソースで提供するというもの。これらは、和牛一頭買いにこだわり続けている食肉の目利きと、おいしい和牛の食べ方について日々研鑽を積んでいることの賜物であろう。

「和牛一頭コース」のイメージ。牛の頭からしっぽまでを一枚ずつ味わう、和牛のすべてを知り尽くした同社ならではのメニュー

「平城苑は7業態」と前述したが、これらの中には焼肉以外の業態もある。ステーキハウスの「BLT STEAK」、高級ハンバーガーの「Wagyu Burger」がそれだ。BLT STEAKは、東京と大阪にそれぞれ1店舗の計2店舗。客単価1万2000~1万5000円。プレミアムな業態であることから、「ディベロッパーが考えるニーズとウォンツが合致していれば、われわれとしても出店したい」(近藤氏)という。Wagyu Burgerは、東京・日本橋室町に1店舗だが、今後多店化を狙う業態だ。現状、新しい商業施設から出店オファーをいただいている。パティの食材は和牛一頭を使い切るときに焼肉には不向きで残りがちなすね肉や肩肉を使用、店内で注文を受けてから焼成する。スタンダードの「THE・和牛バーガー」は1430円で、高級バーガーとしての食味の豊かさと実質感は圧倒的だ。

「Wagyu Burger」は和牛一頭買いの同社だからこそ可能となったグルメバーガーショップ。これから店舗展開を想定している

業態の多様性によってリクルーティングにつなげる

同社が焼肉以外の「洋」の分野の業態を擁していることについて、近藤氏はこのように語る。

「これによって、平城苑という会社が持つ能力の多様性が伝わることでしょう。これは特にリクルーティングに効果を発揮します。焼肉だけでは振り向かなかった人材が『このような業態にも取り組んでいる』ということに興味を持ってもらえる。『平城苑』をうたっていませんが、それに気付くことによって平城苑に対するイメージは大きく変わります」

 

同社のリブランディングに伴ったインナーブランディングは緒についたばかりとのことだが、「和牛のオールラウンドカンパニーを目指す」というミッションと、「和牛の素晴らしさを世界中の人々に伝え続ける」というビジョンを浸透させる活動は熱く展開されている。100年企業となるための全社的な活動が近藤氏のもとで動き出している。

 

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店舗情報

店舗名 平城苑 浅草総本店
エリア 浅草
URL https://heijoen.co.jp/

運営企業情報

企業名 株式会社平城苑
URL https://heijoen.co.jp/

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