京浜急行電鉄金沢八景駅より幹線道路を横須賀方向へ徒歩10分の場所に、「麵屋庄太」六浦本店というラーメン店がある。スタンダードな商品は「らぁ麺」(並800円、大880円)、豚の骨の髄でとろとろになった豚骨スープを麺と一緒に食べるような感覚で味わうものだ。自然とスープも完食してしまい空になった丼を見ると、ラーメン一食としての充実したストーリーを感じさせる。他に「魚介らぁ麺」「中華そば」(六浦本店限定)とバラエティがあるが、いずれにしろ豚骨スープは同店の最大の特徴であり人気商品である。

六浦本店の外観。アピールはシンプルだが、固定ファンを蓄積している

スープに特徴があることをアピールするラーメン店では、「スープがなくなり次第営業終了」を宣言しているところが多い。しかしながら、同店は11時オープンから22時ラストオーダーまで、カウンターの内側で四六時中スープを炊いている。ラーメン職人が時には鍋にかかりつけになっているが、その熱心な姿勢は豚骨スープのクオリティの高さを納得させる。顧客にとってはスープが「売り切りご免」となることを心配することなく、自分の都合のいい時間に店に来ることができる。

スープの窯は寸胴ではなく羽釜である。これは熱伝導が高いことから一気にスープが炊き上がり、濃い旨味も一定する。このように「麵屋庄太」は「羽釜」による豚骨スープのクオリティの高さでラーメンファンの間でつとに有名だ。

実績を積んできたラーメン事業者の視点で高評価する

同店を経営しているは株式会社サンライズキッチン(本社/横浜市港北区、会長/花澤昭彦)である。ラーメン事業には1997年6月より取り組んでいて、現在はラーメン直営店の経営の他、FCや開業支援を行っている。

花澤氏は1965年7月生まれ、川崎市高津区の出身。高校卒業後トラック運転手をしていたが、29歳の時に独立し横浜市西区でビデオ販売を手掛け、株式会社サンライズキッチンの前身である有限会社アクトを1995年7月に設立した。

株式会社サンライズキッチン会長の花澤昭彦氏。ラーメン事業家として長年の経験から繁盛店づくりの哲学を持つ

1998年8月より、当時ブレークしていたラーメンチェーンに加盟して創業の店を業態変更した。しかしながら、このブームは長く続かず、2000年6月に同店を自社ブランドの「日の出らーめん」に切り替えた。
同店はラーメンプロデューサーに店づくりを依頼したものだが、しばらくの間大層苦戦する。オープン5年を経て同ブランドの看板商品となる「魚介豚骨・極太つけ麺」を生み出し、テレビ取材を受けるなどして人気がブレークした
2010年6月「日の出ラーメン」大船店、2011年7月「日の出ラーメン」平塚店をオープンした。

その後“家系ラーメン”“二郎インスパイア”といったスープに挑戦してラーメン店のスクラップアンドビルドを展開してきた。それぞれ大きくチェーン化することはなかったが、同社会長である花澤昭彦氏にとって、ラーメンの味づくりの経験値を高めて、繁盛店づくりのノウハウを多様で深くすることとなった。

花澤氏がラーメンの商品開発で重視していることは「食べた瞬間に脳が反応する」ということだ。後からじわじわとやって来るものではなく、スープを一口飲んだ瞬間に「うまい!」と感じさせることが重要だという、
さらに、「食べ物は視覚が重要」ということから、見た目のインパクトを考えて、そこに先に述べた味を付け加えていく。

こうして、同社は直営でラーメン事業を展開する傍ら、ラーメン店向け食材の供給と販促、人材教育、商品開発等のコンサルティングを行うようになった。

丁寧に豚骨スープを炊く姿勢が店の空気に浸透

このような中で花澤氏が「麵屋庄太」に着眼したのは食材問屋からの紹介がきっかけであった。2018年10月、「いいラーメン店があるよ」ということで、初めて食べに行った。同店はラーメン通の間ではラーメンのクオリティもさることながら接客等お客様をもてなす空気感が素晴らしいしことでよく知られた店であった。

紹介してくれた人が勧める同店のポイントは、まず「他店に例のないすごくおいしいラーメン」であること、そして「冷凍スープのPB化ができている」ということだ。そこで、同店をFC展開することで冷凍スープの拡販もできないかという趣旨の相談を受けた。

スタンダードな「らぁ麺」(並800円)は赤坂店も同様。完食することでラーメンの完成度の高さを改めて認識する

花澤氏が初めて同店を訪ねた時すぐに、「FC展開の可能性を十分に感じた」という。それは、ラーメン事業を手掛けてきた花澤氏にとって「創業者であるラーメン職人下里庄太氏のラーメンに対する熱い気持ち」が店の隅々に浸透していることを身に染みて感じたという。

この時、「麵屋庄太」は横須賀市の津久井浜と金沢六浦の2店舗あったが、先に津久井浜は別のオーナーに譲渡され、本店に位置付けられる金沢六浦の店を花澤氏が譲受した。

「麵屋庄太」六浦本店では朝8時からスープを炊き始めて、以来一日中炊いている。朝から炊いているスープはランチのピークに合せている。夜閉店する時にスープが残ると、それに翌朝から骨を加えて炊いている。このような継ぎ足しによってスープのコクが増している。
豚骨は拳骨、背ガラがメイン。1日100㎏ぐらいほどの骨を使用するが、炊き上がると5分の1ほどになる。これほど豚骨がエキスとして溶け込んでいるということだ。「麺屋庄太」六浦本店は社員3人、アルバイト10人で運営。12坪18席 営業時間は11時から22時まで、客単価900円で月商650万円となっている。

店のオープンから一日中豚骨スープを炊いている

創業者のマインドが浸透した店をFC展開する決意

さて、「麺屋庄太」はFC化に向けて動き出した。先の津久井浜店がFC店として営業をしており、6月17日東京・赤坂に直営店(14坪16席)をオープンした。同店は今後ショールームの役割を果たしていく。『食べログ』を見ても六浦本店の評判は高く、その新しい拠点となる店が赤坂にオープンしたことには多くの人が称賛している。特に「羽釜」でスープを炊いていることは店内にそれを図式化したものを掲げてスープづくりのこだわりを示している。

「麵屋庄太」のFCの概要はこうだ。
1社あたり、加盟金5店舗までは1店舗当たり加盟金が100万円、ロイヤリティ2%、建築から食材に至るまで本部指定で行う。開業する人は調理技術を持っていなくても1日10時間程度、1カ月の研修で開業できる。この研修では主に創業者である下里氏の「庄太イズム」を浸透させることに費やすという。

同店の新しいオーナーとなったラーメン事業に詳しい花澤氏が「麵屋庄太」に大いなる可能性を見出していることは、このいわば精神論にある。世に一般的にいうところの「お客様第一主義」というものの“麵屋庄太・下里流”を徹底していく。これらの講師は、下里氏の下でその哲学とスープづくりの技術を体得した泉屋将道氏が担当する。
これからは1年目に5店舗程度を展開し、将来的には100店舗体制を想定している。

泉屋将道氏によるラーメンづくりの指導は厳しくも〝ラーメン愛″に満ちている

そのために赤坂店をベースにして、今後プロモーションを活発に行っていくという。ラーメンフリークを集めたイベントを行うことは元より、ラーメン専門の媒体だけではなく経営専門誌へのアピールも行っていく方針だ。

想定するFC加盟希望者は法人がメインで、サンライズキッチンとしては今後FCチェーン向けのサプライヤーとして店舗展開を支えていく意向で、「麵屋庄太」の加盟店開発や本部機能を担う企業を待望している。

店舗情報

店舗名 麵屋庄太
エリア 赤坂
URL http://iekei-ramen.com

運営企業情報

企業名 株式会社サンライズキッチン
URL http://iekei-ramen.com

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