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  3. 「理念経営」を浸透させ家族的な組織の広がりを目指す

株式会社絶好調(本社/東京都新宿区、代表/吉田将紀)は2007年11月東京・新宿の歌舞伎町に「絶好調てっぺん」をオープンして以来飲食事業を展開、また、飲食事業の他に、介護事業、保育事業も擁している。
同社ではさる6月7日、東京・神楽坂にカジュアルイタリアンの「PePe」(27坪56席)をオープン。これによって飲食事業の業容は12店舗(うち業務委託3店舗)、社員45人、アルバイト約120人となった。

同社ではこれまで西新宿にドミナント出店を行い、食の街としてにぎわうこのエリアの先駆的な存在として注目されている。そこで、西新宿では飲食街の「開拓者」であるが、神楽坂の場合は「新規参入」という位置づけとなるわけだが、このような路線を選んだのは何故だろうか。それについて同社社長の吉田将紀氏はこう語る。

左より、代表取締役の吉田将紀氏、店長の奥脇瑠氏、料理長の屋比久勝之氏

「当社は新宿の歌舞伎町で起業し、『新宿をおいしい街にする』ということを旗印にして、西新宿へ広げていきました。そして、神楽坂は新宿区の中でも『おいしい街』の象徴であり、この街に深く入っていくことによって当社の可能性はさらに広がると考えました」
実際に「PePe」の斜め向かいにはミシュラン三ツ星の和食店「神楽坂石かわ」が存在する。これまで展開してきたエリアとは異なり、誇らしさと同時に向上心が掻き立てられることであろう。

有名店がひしめくエリアの路面に出店した

「食の街」神楽坂に1年間で2店舗出店

同社が神楽坂に出店するのは今年2月にオープンしたフレンチの「神楽坂chouchou」(25坪39席)に続いて2店目。同店は神楽坂のランドマークである善國寺の裏にあり、分かりやすい立地である。今回の「PePe」は「神楽坂chouchou」に近接し目抜き通りの神楽坂に近いことから、「物件情報が上がってから、すぐに取りに行った」(吉田氏)という。

「神楽坂chouchou」の客単価は絶好調の中でも最も高い1万円となっている。西新宿で展開する店は客単価が一様に5000円あたりで、プレスティージのある「燗アガリ」が5500円、昨年9月歌舞伎町にオープンした「火鉢」は9000円で、新規に出店する店の客単価はアッパーになっていく傾向がみられた。
しかしながら、最新店の「PePe」は4000円を想定している。これは、神楽坂のリサーチを重ねていく中で、この客単価で臨んだ方が絶好調の持ちうる能力を柔軟に生かすことができると考えたからだ。吉田氏はこう語る。

「神楽坂と言えばかつて花街で、政治家が接待で利用し、休日にはデートとか、『大人の街』というイメージがありました。実際にこの街で飲食店を営業していると、多種多様な飲食のお客さまを受け入れる懐の深さが存在することに改めて気づきます。それが神楽坂を成熟した飲食店街にしている要因なのでしょう」

このような神楽坂にあって、「PePe」を「専門店の雰囲気がありながら、お手軽でコスパが高い」というポジションに定着させたいと考えている。神楽坂の主流となる客単価は6000円~8000円であり、フレンチ、イタリアンにしても専門店が多い。このような環境の中でも居酒屋のような利用動機を提案したかったという。

そもそも神楽坂の客層は30代以上が主流で、20代はほとんどいない。これが神楽坂を「大人の街」のイメージにしているゆえんでもある。しかし、神楽坂で飲食を楽しみたいという20代のお客様は潜在している。このような客層に気軽に来店していただくことも念頭にあった。

最新店で取り組んだ「法令順守」の店づくりとは

また、「PePe」は、これからの労働環境の在り方に配慮して業態を設計したという。いわば「法令順守」が浸透した店づくりということだ。吉田氏はこう語る。

「従業員は、なるべく早く店に出勤して店の準備をしたい。しかしながら、今日会社にはそれをさせないことが求められる。そのような要素も含めて、調理をはじめとした店全体のオペレーションを考えて設計しました。そのような仕組みを持った店でもチェーンレストランとは一線を画す、法令順守というと方ぐるしいイメージがありますが、お客さまはこれまで以上にわくわくして従業員も成長していくということをこの店に託しています」

「PePe」のメニューは、同社各店舗のAランク商品の中から、仕込み時間を短縮することができて味にブレがない、というものをピックアップして、つくり込んでいった。さらに、従業員の全員が試食に参加して、皆が「おいしい」と称賛する場面を大切にした。これが従業員と同世代である20代のお客様に共感を持って受け入れられる要因となる。

「PePe」を洋食にしたのは、「chouchou」との相乗効果を図ることがポイントであった。似た業種が近接していることで食材を補い合うことができるし、人材も有効に行き来ができる。お客様にとっても、不意に来店して入れなかったとしても、神楽坂にあるもう1店も洋食だと案内されると「いってみようか」という意識になることであろう。これが和食など別な業種であるとそのような動機につながりにくい。

今絶好調の総料理長は洋食部門と和食部門にそれぞれ一人、計二人。彼らを含めて料理長が9人いる。新規出店の度に店のコンセプトを練り込んでいくことによって、新規出店の業種のアイデアは豊富になっているようだ。吉田氏は今後の展望についてこう語る。

「今後は、子会社の設立を推進していきたい。それを客単価の違いで分けるのか、現状の焼き鳥、炉端、肉バル、海鮮料理といった業種で分けていくのかはまだ決めてはいませんが、業態は幅広くしていきたい。社内からは『大衆系を出店してほしい』『海外出店もしてほしい』という声があり、これを実現していくことが絶好調の骨格を一層強くしていくことになります」

看板メニューに仕立てた「とっろーりチーズの焼きたてオムレツ」580円
カジュアルな中に専門性を感じさせる「カルトッチョ」1280円。白身魚と貝を紙で包んで焼いたイタリアの家庭料理

「大家族経営」と「竹林組織」

絶好調は「理念経営」を標榜している。吉田氏は立ち上げ当初から理念経営の重要性を認識し、そこで創業当初から「理念書」をまとめることを念頭に日々活動をしてきた。そこで毎週日曜日の仕込み前の2時間、それをつくるための時間に当てていたという。

まず、吉田氏が「食を通じてお客様を元気にし、夢とありがとうが溢れる世の中をつくろう」という文言を創り出し、創業メンバー一人一人の言葉を集めるためにいろいろとディスカションして、吉田氏が再構築していった。

そこで生まれたものが「絶好調が目指す経営」と「絶好調が目指す組織」である。絶好調が目指す経営とは「大家族経営」だ。吉田氏はこう語る。

「大家族経営とは、会社全体を家族ととらえ、社員は家族の一員と考えるというもの。つまり、絶好調に入社した者とは、親子や兄弟のように生涯の関わりを持ち、仕事だけではなく、プライベートなことも共有します。これからも更に事業所や店舗が増えても、メンバー間の絆で結ばれた関係を深め、自分の居場所がある第二の家のように感じる組織運営をしていく」

一方、絶好調が目指す組織は「竹林組織」である。
・竹は真っすぐで成長が早い(日に1m以上伸びることも)
・竹は一本一本根っこで繋がっている(仲間が増えていく)
・竹はしなやか(柔軟性があり、折れにくい)
・竹には節がある(節目節目を大切にする)
・竹の中は空洞(「空」である)――他、省略

これらの発想をベースに、メンバーからさまざまな文言が集まっていき、それらは『経営方針書』としてまとまっていった。
「当社に入社した一人一人が自分らしさを表現できるような環境にする。そのようになれる仲間がいる環境にする。極力ストレスフリーな環境にする。このような価値観をそろえるための文言集が『経営方針書』です」

このように絶好調の理念経営は、年月とともに磨き込まれている。

社員独立支援で「業務委託」を行い学びを共有する

絶好調の組織の特徴に「業務委託」がある。これは一般的な「社員独立支援」と同類のもので、絶好調の社員として実績を積んだ人物に絶好調の店を業務委託するというものだ。この制度を活用している会社として株式会社foryoucompany(本社/東京都豊島区、代表/松本人志)と株式会社國屋(本社/東京都新宿区、代表/國利翔)などがある。業務委託している店舗の運営は運営する会社の方針を尊重し、社員研修などの行事は絶好調主催のものに参加して学びを共有化するとともに結束を深めている。前述した「子会社の設立を推進する」とは、このような事例を増やしていくということだ。

切磋琢磨することで技術が高く磨かれていく

前述の「理念経営」はアルバイトスタッフのポジティブな姿にも表れる。新しいアルバイトは既存のアルバイトの紹介で入ってくることが通例となっているという。それは、アルバイトが絶好調の店で働く過程で、絶好調の従業員としてふさわしい人材の選別眼が出来上がり、それが連鎖するような形で新しいアルバイトが入ってくる。これらが定着するにしたがってアルバイトから社員になるという事例も増えている。

同社では新卒採用を始めて、2019年4月入社では8人を採用した。今後も人材不足が懸念されることから、中途採用だけでは計画的な出店ができないと判断したからだ。新卒採用によって新人時代から理念経営が浸透して、ブレのない組織を強く作り上げていくとであろう。

店舗情報

店舗名 PePe
エリア 神楽坂
URL http://www.z-no1.jp

運営企業情報

企業名 株式会社絶好調
URL http://www.z-no1.jp

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