アイキャッチの人物はRHグループCEOの竹松弘光氏である。1973年8月生まれ、東京・三鷹出身。これまで数々の飲食業経営者を輩出している楽コーポレーション(代表/宇野隆史)の卒業生の店で勤務するなど、飲食業の道を歩んできた。2002年10月東京・三鷹に「心(しん)」という創作居酒屋で創業。当時“創作居酒屋”のブームであったことも追い風となり大層人気を博し、その後居酒屋を展開していく。

 

同時に飲食店の建築や内装の分野にも興味を抱くようになり、建築分野の事業へも参入する。その後、飲食店の展開や人材派遣業、厨房機器・陶器販売業、不動産業、宅地建物取引業、キャリア相談、書籍出版等、飲食業を軸に多種多様な事業を手掛ける会社を次々と立ち上げ、グループとして事業拡大を続けている。

 

“ミドルブランド”の牛肉を付加価値高めて提供

RHグループでは、この1月20日「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」(以下、神楽坂 肉よろず)を東京・神楽坂にオープン。これでグループの飲食店は、東京6店舗、沖縄・石垣島1店舗と計7店舗となった。

 

グループの中には株式会社アドリープという精肉販売業の会社が存在する。このアドリープとグループの飲食業が協業してこの度肉事業を展開することとなり、精肉販売・飲食店運営・通信販売を総合的に展開する肉のセレクトショップブランド「肉よろず™」を立ち上げた。そのフラッグシップショップの1号店となる店が前述した「神楽坂 肉よろず」である。

店内は囲炉裏を囲むような形でカウンター席を配置している

「肉よろず™」ブランドの路線は、神戸牛・但馬牛といった“ハイブランド”の牛肉を扱うのではなく“ミドルブランド”の牛肉を付加価値を高くして提供すること。沖縄・石垣島に飲食店を構えたのはその路線を整えることが目的であった。同店は石垣島産の「美崎牛」を扱う焼き肉店で、これによってグループで美崎牛を扱うことができるようになった。美崎牛の特徴は脂の融点が人間の体温36度とほぼ同等で、胃もたれしにくいということ。

 

「“ミドルブランド”の牛肉」というコンセプトで牛肉を探している時に「オリーブ牛」に巡り合った。オリーブ牛は黒毛和種の讃岐牛を品種改良したもので、産地は小豆島(香川県)。オリーブオイルを絞った後のオリーブの果実を餌として育ったもの。試食して発見したことはこの肉を食べ続けていても胃もたれしないということ。竹松氏は「肉よろず」ブランドにふさわしい牛肉だと考えた。

 

これまで展開してきた居酒屋で牛肉を“遠火で強火”の炭火で焼き上げる「原始炭火焼®」の技術を確立し、それを商標登録している。オリーブ牛はこの焼き方に適していると実感した。また、美崎牛、オリーブ牛ともに個体数が少ないことから屠畜できる量が限られている。その点、牛肉のミドルブランドであっても希少価値が高いと考えた。現状、同グループでは、美崎牛とオリーブ牛を枝で仕入れて業者に管理してもらい、同グループ内で精肉を手掛けることで生産性の高い商品として店舗に届く仕組みになっている。

RHグループがつくり上げた「原始炭火焼」の技術を取り入れている

牛肉販売のオンラインストアを立ち上げる

RHグループの肉事業展開は3つのフェーズに分かれている。

 

フェーズ1は「神楽坂 肉よろず」のオープン。

同店は神楽坂の路地裏にあり25坪33席の規模。中央に大きく囲炉裏をレイアウトしてそれを取り囲むように客席を構成している。囲炉裏では「原始炭火焼®」で牛肉が焼成されていく様子を見ることができる。

 

アラカルトでも注文できるが、メインとなるのは「肉よろずコース」6000円(税込、以下同)と「焼きすきコース」8000円の2本。肉よろずコースの内容は、本日の牛刺しor前菜、純生赤身の牛たたき、本日のサラダ、雲丹肉の手巻き、リブとろ椀しゃぶ、原始よろず焼き、牛舌白味噌煮、本日の土鍋ご飯、本日の甘味となっている。同店ではお客にこちらを推していて、ドリンクを含めて客単価は8000円程度となっている。類似の業態と比べると客単価を抑えられているのは、同グループが精肉を営んでいるからだ。

 

神楽坂のメイン通りは週末や休日となるとシャンソンが流れている。日中からの食べ歩き飲み歩きが楽しい。同店も土日祝日が最も忙しく、客層にはカップルも多く見られる。

 

フェーズ2は、オンラインストア「NIKUYOROZU™」のオープン。これは2月9日にローンチした。

同グループでは、これまでの協力工場を通じてEC(通信販売)を事業化していた。それを「肉よろず™」ブランドを立ち上げたことで、オンラインストア「NIKUYOROZU™」での拡販を目指している。

 

「NIKUYOROZU™」の商品はずばりギフト用である。肉を入れる箱をはじめ細かな装飾まで女性目線のスタイリッシュなデザインにこだわっている。

 

商品のボリュームは、主に400gと600gに分けられる。例を挙げると、「特選オリーブ牛スライス【肩・サーロイン】」400g 1万2800円、「オリーブ牛 焼肉セット【霜降り】」600g 2万2800円となっている。

牛肉をさまざまな調理方法で楽しむことができるコース料理を推奨している。精肉事業を営んでいるので思いのほかリーズナブルだ

ノウハウの全てを結集し新しいスタートに備える

竹松氏はこう語る。

「当社は競合他社との差別化のために、ギフトにより特化した商品展開を考えました。開ける前から顧客体験を高められるように、パッケージの包装など細部のデザインに至るまで、こだわり抜きました。味・見た目のどちらも妥協せず、あらゆる面で質の高い商品の提供を目指しています。『NIKUYOROZU™』 を通じて“大人のギフトの新常識”としてワンランク上のお肉を贈ることを推奨していきたいですね」

この分野の新規参入ならでは、新しい需要発掘に期待が寄せられる。

 

フェーズ3は、精肉店併設レストラン 「かまど焼 NIKUYOROZU」のオープン。

この店は創業2店目の店舗跡地で、そちらは昨年12月末に閉店し、現在工事が進められている。JR三鷹駅南口から徒歩3分の場所にある50坪の物件。肉料理レストラン40坪程度、精肉店10坪程度を構成する。

 

肉料理レストランでは、専用のかまどを設置して、ここで焼き上げたものや生肉料理などを提供する。ボトルワインを中心に肉とのマリアージュを利用客に提案。接待やデート向けの落ち着いた雰囲気。そして、キッチンスペースを大型にしてセントラルキッチンとして運用する。

 

精肉店では、国産ブランド牛の量り売りをメインにセントラルキッチンで調理したハンバーグなどの総菜やSNSで映えるワンハンドフードを販売。少人数の席を設けて土日祝日のイートイン需要を獲得する狙いだ。オリジナルグッズも販売する。

 

現在。これらの構想の中心となっているのが「神楽坂 肉よろず」である。RHグループが培ってきた飲食業、肉を扱うノウハウの全てを今ここに結集して、外食を楽しむ顧客の動向を察知しながら、5月初旬の三鷹でのスタートに備えている。

店舗情報

店舗名 神楽坂 囲炉裏 肉よろず
エリア 神楽坂
URL https://nikuyorozu-kagurazaka.owst.jp/

運営企業情報

企業名 RHグループ
URL https://rh-group.co/company-information/

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