西早稲田と高田馬場にジンギスカン専門店「羊のロッヂ」「隣のロッヂ」を展開する株式会社Catch Ball(本社/東京都新宿区、代表/越坂部忠生)は、飲食チェーン店店長職等を経験した越坂部忠生氏が2017年2月に創業した会社である。その1号店となる「羊のロッヂ」は、飲食店を立ち上げる真の苦しさを体験した。2店舗となった現在は、店舗でラム料理を提供することに加え、今後は通販等でもラム料理を広めることで、ラムの普及をし、日本の食文化が多様化することを夢に描いて新たな活動を見据えている。

ジンギスカン専門店勤務をきっかけにジンギスカンと出合う

 

――現在、ラム専門店を2店舗運営していますが、飲食に携わることとなったきっかけはどのようなことですか?

 

大学卒業後、ジンギスカンのお店で4年間働いたのが始まりです。それが、ジンギスカンという料理に惚れたきっかけでもあります。そして漠然と、「いつかジンギスカンのお店を出したい」と思うようになり、世間をもっと知ろうと考えたことから、飲食事業や小売事業を行う株式会社スマイルズに入社しました。同社では、「Soup Stock Tokyo」の店舗で9年間勤務いたしました。店長職としてチームビルディングや人材採用等の業務も経験しました。

 

――その9年間も、ジンギスカン専門店出店のために準備なさっていたのですか。

 

都内の他にも、地方や海外旅行に行った際にも積極的にラム料理を食べていました。海外にはラム料理が一般的になっている国は多く、さまざまな種類があり、とても勉強になりました。中でも、ラムしゃぶしゃぶのおいしさに感銘を受け、現在、当店の看板商品であるジンギスカン&しゃぶしゃぶ鍋を生み出しました。

 

20代の頃、ラムの食べ歩きは日々継続していて、現在店舗で使用しているオーストラリア産のラムにその当時出合いました。私自身にとって「これだ!」という発見があり、次に出店する時にはこれを使いたいとずっと考えていました。

2つの主役を同時に味わえると話題のジンギスカン&ラムしゃぶしゃぶ鍋

 

夢を叶えるために試行錯誤で独立を準備する

 

――独立することを強く意識したのはいつ頃ですか。

 

独立の2年程前です。前職である程度いろいろな経験をしたという判断もありました。また、何より「今やらなければ一生やらないのでは」と感じました。そこから、物件選びの感覚を養うためにも、不動産関係の友人と一緒に物件を見に行くことから始めました。また、友人が経営しているバーを一日借りて、友人知人を集めて試作品を食べてもらって、改善を重ねました。やはり自分では良いと思っていても、実際にお客様に食べていただくのとは異なります。そうすることによって自信がつきました。

 

――開業資金や設備などの準備をどのように進めましたか。

 

独立のために本格的に始動したのは、独立の半年程前からでした。資金的には前職の社長が社員の独立を盛んに応援してくれる方だったこともあり、その会社から借り入れすることができました。

 

ただ、開業費用は極力抑える必要があったため、壁の内側の塗装やカウンターの板張り等自分でできる部分は業者に頼まないで自身で行いました。それで計20万円程削減できました。その結果、出店コストは内装約600万円、物件取得費約150万円、計750万円程度に抑えることができました。

株式会社Catch Ball代表の越坂部忠生氏

 

たくさんの未経験のことに挑戦する中で学んだこと

 

――飲食店で店長をしていた当時と独立してからでは、どのようなことが違いますか。

 

店長として勤務している時は自身で決定できることは僅かでしたが、独立すると全てを自分で行う必要がありました。もちろん物件決め等も初めての経験でしたし、経験したことの無いことばかりです。

 

物件を見つけるということは最も難しい部分の一つでした。私は大田区に住んでおり、そこで友人も多くいる山手線西側に相当する目黒から池袋あたりで物件を探しました。また、出店するエリアのイメージとしてビジネス街よりも庶民的なエリアをのぞんでいて、そこで見つけたのが1号店「羊のロッヂ」のある西早稲田の物件でした。周辺のどの駅からも近くないということから、家族や友人たちから心配されました。

私は、ラム専門店はお客様がわざわざ来てくれる目的来店の店だと考えていたので、自分で「ここでいける」と信じて、ここに決めました。ただ、物件とは、正解がないものだと思います。現在のお客様はラムを目的に遠方からいらっしゃる人もいますが、大多数が地元です。

 

――初めて尽くしの中で、どのようなことに遭遇しましたか。

 

例えば、営業電話への対応や近隣住民とのコミュニケーション等も自身で行う必要がありました。近隣の方には臭い問題等も懸念され、当初8割方の人には良い感情は持たれません。そこで、何か問題が発生したらすぐに対処し、報告に伺う等、最初の2カ月間はこのような細かいことにかなりの時間を費やしました。

 

店のネーミングも初めてのことだったので戸惑いました。コンセプトは、「会社の社長も学生も全員がフラットに一緒にラムを食べる空間」ということ。でも、それをどう店名に落とし込めば良いかが難しかったです。

 

また、空調は8坪の店内を大きな家庭用エアコン2台で対応できると考えていたのですが、メインがジンギスカン鍋となるとそうはいきません。そこで2店舗目の「隣のロッヂ」では、より馬力の強いエアコンを導入しました。最初の店では電気容量を大きくしていなかったために、営業中にブレーカーが落ちたこともありました。

「皆がフラットに一緒にラムを食べることが出来る」山小屋(ろっぢ)のような雰囲気づくりを目指した店内

 

――その点、2店目は1店目の経験を生かすことができたのでしょうか。

 

よりスムーズにできたと思います。例えば、お店の内装や運営に必要な諸設備等が全て整うまでに1店目は3カ月ほどかかったのに対し、2店目は1カ月ほどで整いました。

このような経験をしてきたことから、今後はこれから新規開業をする方たちのサポートができればと考え知り合いの税理士さんとタッグを組んで行う予定です。開業時に必要な要素をパッケージ化することで、店に従事する人たちが本業に集中できる環境を提供したい。それをビジネスとして行うか否かははっきりしていませんが、これから事例をつくろうと考えています。

 

ラムによって日本の食文化を多様化させる

 

――店舗展開のビジョンをどのように描いていますか。

 

今は店舗を増やすつもりはありません。

飲食業界の流れを見ていて、出店ありきで、そのために人を集めなければなない、という構造はこれから望まれることではないのではないか。出店にはコストもリスクも存在します。維持していくことも容易なことではありません。

店が走り出してから「やりたい!」という人が現れると店は持続する可能性はありますが、そうでない場合、困難なことでしょう。そこで当社では、「羊のロッヂ」をやりたいという人が出て来たら、その段階で出店を検討することになるでしょう。

 

――越坂部氏のこれからの目標を教えてください。

 

それはまず、ラムを日本に普及させること、それによって日本の食文化の多様化に一役担うことが出来ればと思っています。私がラムと出合ったのは15年前ですが、その当時と比べて、ラムへの抵抗感を持っている人は格段に減っていると思います。当時は「固い」「臭い」というイメージを持つ人が多かったようですが、今はそのような人が減りました。またここ2年程で、都内でラムを扱うお店が増えてきていて、スーパーマーケットでラムの売り場が増えてきました。このようにラムを食べる環境は広がってきていると感じています。

 

一方、家庭でラムを食べるというイメージはいまだ描きにくい。そこで、よりラム料理の普及を進めていきたいと考えています。飲食店でのラム料理を提供する機会をふやしていくことはもちろんのこと、今後はラム料理を一つのキットにして通販を行うことも想定しています。

そこで、今は飲食店という形にこだわらず、「ラムを普及させる」「食文化を多様化させる」ということを目標としています。

店舗情報

店舗名 羊のロッヂ
エリア 西早稲田

運営企業情報

企業名 株式会社CatchBall
URL https://www.hitsujinolodge.com/

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