2017年に神保町に日本酒バル「Mr.Happy」を出店し、それ以降現在都内に日本酒専門店を3店舗経営する中田匠氏は、2018年11月にH VIEW株式会社(本社/東京都千代田区、代表取締役/中田匠)を、今後の活動を見据えて法人化を果たした。1店舗目の出店から2年半、成長を続けている。

日本の飲食業界の今後を見据え、現在の飲食店の形のみならず、同業他社、他の飲食企業へのノウハウの販売等も視野に入れて運営を進めている。そのために目指すのは「日本で一番人が集まる外食企業、日本で一番人が辞めない外食企業」というものだ。同社代表の中田匠氏に同社の展望について伺った。

現在の飲食業界への違和感から独立を意識

――飲食業界に携わることとなったきっかけはどのようなことですか?

最初に就職したのが、外食向けに集客に関するコンサルティングをする仕事でした。学生時代に飲食店でのアルバイトの経験もありましたが、その会社には、学生の頃の知り合いのご縁で就職しました。その後、大学時代の友人4人と飲食企業を創業することになり、最初の会社の創業に携わりました。そこでは、チェーン店理論や繁盛店の作り方等、経営において必要となるようなありとあらゆることを学ぶことができました。

――独立しようと思ったきっかけはどのようなことからですか?

前職で当時100店舗の出店を目標としていた中で、「せっかくならその100人の人間を幸せに出来るような会社にしたい」と考えたことがきっかけでした。

当時、これからの日本経済を見通す上で、人口減少が起こり、外食産業も衰退する一方ではないかということも認識しました。そこで、「このまま店舗を増やし続けるということは正しくないのではないか。だから違うことをしてみよう」と考えました。そして、「日本で一番人が集まる外食企業となり、日本で一番人が辞めない外食企業を作ろう」と独立することしました。

 

「日本で一番人が集まる外食企業、日本で一番人が辞めない外食企業」を目指して

――そのような日本一の会社となるために、どのようなことを心がけていきましたか?

「利益の出る楽しい会社」です。例えば、公園等で、自分で作った趣味のアクセサリーを売る。それは、きっと楽しいことでしょうけれど利益は出ないので、単なるファンタジーに過ぎません。一方で、儲かることを優先するあまりに詐欺まがいのことも横行していることも事実です。だから、相手がハッピー、そして自分たちもハッピー、それで利益がでたらもっとハッピーなはずです。そのような仕事をしたいです。

ただ、「利益」と「楽しさ」を両立させることは簡単なことではないでしょう。飲食業界は生産性の高いビジネスとは言えませんが、その生産性を最大限に上げていくことがその「利益が出る楽しい会社」をつくるための方法だと考えています。このような仕組みを、BtoBtoCを生み出すことで実現したいと思っています。

――「BtoBtoCを生み出す」とは具体的にどのようなことですか?

つまり、当社のミッションである「日本で一番人が集まる企業であり、日本で一番人が辞めない企業」の作り方を販売するのです。当社の店舗数が10店舗程度で少ないとみられても、当社のミッションが実現できていて、他社からそれが認められるのあれば、そのノウハウを同業他社で実践することもできるはずです。こういう会社が存在しているのだということ、この会社はこのようにしてつくられているのだ、ということを、その仕組みを定性的や肌感覚ではなく定量化、可視化して伝えていきたいです。

――その第一歩として日本酒専門店を選択したのはどうしてですか?

日本酒好きが高じて、日本酒専門店を出店した」という訳ではありません。飲食店の出店には大きなコストがかかります。一般的に、「出店」とは自分のお金を投資して行うものですが、私は自分のお金で店舗展開をしないことを目標としました。そこで、着眼したのが助成金、特に地方創生名目でのものでした。地方創生は国策にもなっています。日本酒は日本独特のもので、引いては世界にもアプローチできるものでもあります。そのため、その観点から日本酒を選択しました。

「ほいさっさ蒲田店」店内には日本酒がディスプレイされている

 

それぞれの社員の居場所づくりによって実現する「離職ゼロ」

――現在、御社のミッションである「日本で一番人が集まる外食企業、日本で一番人が辞めない企業」はどのように進んでいますか?

開業して2年半が経過しましたが、これまで離職した人はいません。現在スタッフは全て社員で計21人いますが、求人広告を打ち出したこともありません。また、入社希望の方も3人います。

採用方法としては、シリコンバレーのリクルーティング手法である「リファラル」と「ダイレクト」の2軸で行っています。簡単に言えば、「リファラル」とは「紹介」で、「ダイレクト」とは「引き抜き」のようなものです。現在、これらが半々程度の割合で採用をしています。今この規模だからこそ、このやり方ができていますが、これが大きな規模になっても実現するためにはどうすればよいかと思案しています。

社員と行った酒蔵見学での様子 

 

――なぜ、「離職率ゼロ」「求人広告なしでの採用」を行うことができていると考えていますか?

それは、「スタッフそれぞれの居場所を用意できているから」だと考えています。ビジネスマンであれば、「新しい事業のマネージャーにならないか」と言われれば興味が湧くことでしょう。このようなことが現在、社員全員に行うことができているのだと思います。

それぞれの居場所をつくるために、働き方もそれぞれが選べるようにしています。例えば、出勤日数や働く時間帯も選ぶことができるとか、社員の数と変わらないくらいの制度があります。新しい社員が入社すれば、同時に制度づくりを始めます。このような制度づくりを今は先読みしながら行っているため、対応しきれているようです。

それが、従業員の満足度にもつながり、離職しない。満足度が高いからこそ知人への紹介も盛んに行われ、求人広告を出していなくても人が集まる状況をつくることができているのだと感じます。これらのデータの積み重ねも将来このような会社をつくるためのノウハウの可視化のための一部になっていると感じています。

「日本一の外食企業」から外食業界の未来を考える

――今後はどのように事業を展開していく予定ですか?

 日本酒事業の目標としては、酒蔵を買収し、その酒蔵に直結したお洒落なレストランをつくり、日本酒の物販を行いたいです。と考えています。それを、助成金を用いて行おうと考えています。それにより、現状以上に社員へさまざまな働き方を提供できるとも考えています。例えば、日本酒を米づくりから行うことを考えているため、「米づくり×外食」「酒蔵×外食」といったクロスイノベーションを行います。それにより、社員にも飲食店での勤務以上に働く時間の選択肢の提供や、東京のみならず米づくりを行う地方での勤務の提案も行うことが出来ると考えています。

また、このような活動を行うことによって、日本酒がたくさんの若者に飲んでもらえるようにと期待しています。

日本酒の試飲会に参加した際のH VIEW株式会社代表取締役の中田匠氏

――これからの具体的な目標を教えてください。

日本酒事業だけではなく、これからはレストラン事業、クラフトビール事業の三軸で会社を運営していくことを考えています。

日本酒以外の二事業は助成金を用いて事業を行うモデルとはまた異なる手法で展開していく予定です。日本酒事業の活性化も含め、これらを実現するためにも、年商10億円を目標にはしています。これらを実現することにより、さらにさまざまな人に、さまざまな価値を提供していきたいです。

そしてその情報やデータを集め、「日本で一番人が集まる外食企業であり、日本で一番人が辞めない外食企業」のつくり方を可視化し、販売していきます。そして、飲食業の生産性をより高く、誰もが楽しく働き、尊敬される業界にしていきたいです。

 

店舗情報

店舗名 ほいさっさ
エリア 蒲田

運営企業情報

企業名 H VIEW 株式会社
URL https://hview.co.jp/

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