アイキャッチの人物はフルーツサンド「京都古都果」を展開する株式会社hope代表の山本員輝(かずき)氏である。本部を京都府亀岡市に置き、今全国を忙しく飛び回っている。

 

フルーツサンドはコロナ禍でブームを巻き起こした商品の一つ。その特徴は、カットした断面を“映える”ようにデザインしたことである。これを“萌え断”と称するようになり、この間、新規参入者が続々と増えた。「京都古都果」もその一つである。

 

京野菜を生産する“おばあちゃん”たちとの出会い

山本氏は1978年6月生まれ。フルーツサンドの世界に入ったのは「農業」がきっかけであった。小学生から野球をはじめ、ノンプロに進む。野球選手を引退してからは起業家を目指した。京都・亀岡市にある実家が兼業農家をしていて、それを手伝う中で、周りの生産者のほとんどが高齢の女性“おばあちゃん”という実態を知る。生産量こそ少ないが丁寧に育てていることに感銘を受けた。山本氏が“おばあちゃん”たちに「野菜づくりを続けている理由はなぜ」と尋ねると、皆「子どもや孫に、昔ながらのちゃんとした野菜を食べさせたい」という。

 

そこで「自分がこの野菜を消費者に届ける橋渡しを務めよう」と株式会社山本屋を立ち上げた。2005年、27歳であった。地元の農家に声を掛けて野菜を集荷、大病院などに飛び込みで営業するなど販売先を開拓していった。そして野菜の世界に基盤をつくるために「野菜ソムリエジュニア・ベジタブル&フルーツマイスター」の資格を取得した。さらに業容を拡大しようと画策した。

 

その過程でフルーツサンドに巡り合った。色とりどりの華やかでかわいらしい商品に衝撃を受けた。中でも話題を集めていた愛知県の販売業者が、Jリーグの京都での試合会場で販売している様子を見にいったところ6時間で500個を完売したことに感銘を受けた。山本氏は「お宅のフルーツサンドを売らせてほしい」と願い出た。しかしながら、その販売業者は「直営でやる」という。

 

フルーツサンドはますます脚光を浴びるようになった。そこで、山本氏は自分自身でフルーツサンドの商機をつくっていこうと考えた。

 

「自分の強みはフルーツへの愛と知識があること」「フルーツのビジネスを広げていく過程で、フルーツサンドはその表現の一つ」――山本氏はこのような確信を抱くようになり、商品開発を行った。差別化のポイントと考えたのは生クリームの高いクオリティ。これを実現するために、先輩の子息である和菓子職人をアドバイザーとして招聘(しょうへい)し、この試作を繰り返した。そして、特長がはっきりとした生クリームをつくりだした。

 

2019年11月、フルーツサンドを事業とする株式会社hopeを設立。ブランド名は「京都古都果」とした。自分たちが長い歴史を持つ京都をバックボーンとしていることから、自然とこの名称が出てきた。使用する原材料もこのブランド名を基軸にした。ここでは大福も販売し、この餡子には「丹波大納言」を使用するようにした。

「京都古都果」のフルーツサンドの特長の一つに“映える”見せ方が挙げられる

 

催事で人気が高いことから実店舗の手応えをつかむ

販売する場所は、駐車場の一角から始まった。そして、商業施設で催事を行った。催事販売で気付いたことは、期間中にリピーターとなるお客が増えたこと。その購入のパターンは、最初自分用に目に留まった商品を1~2個購入、日にちを空けずに来店したお客はまとめ買いをする。どうやら友人にプレゼントしているようだ。こうして、ブームの渦中にあっても、特長がはっきりとしていれば選ばれる商品になることを確信した。「京都古都果は生クリームがおいしい」――このような手応えをつかんだ。

 

2020年、地元の京都府亀岡市と京都駅の駅前地下街Portaに直営店を構えた。ここから全国展開に向けて、FCの仕組みづくりを行った。

 

「京都古都果」のFCは、加盟金が1店舗あたり200万円、この他を含めて1店舗あたり投資額は500万円となる。商品の製造はFCオーナーが行い、店舗が工場併設の場合はロイヤリティが1店舗分、販売店舗と工場が分かれて店舗展開している場合は販売店舗ごとにロイヤリティが発生する。販売店舗の規模は5~10坪となっている。

 

「京都古都果」で販売するフルーツサンドはFCオーナーが製造する。そのための研修は本部(京都府亀岡市)で5日間行われる。終了すると自店で練習を繰り返す。これはおおむね25日間行われるが、この間に本部が習熟の状況をチェックしてオープン日を決定する。「京都古都果」の特長である生クリームはメーカーから紙パックの状態(液状)で配送され、各店舗でミキサーを使用して製造する。フルーツはFC各オーナーが現地で調達を行うが、本部からのアドバイスがある。このようにして安定したクオリティを保っている。

 

FC展開は2021年2月に始まり、2022年3月末の段階で全国23 店舗となっている。各店舗の状況は、フルーツサンドの1個あたり平均価格750円、販売数量はフルーツサンドが100個程度、大福20~30個、月商200万円あたりで落ち着いてきている。

 

東京直営店をきっかけにクオリティを一段アップ

さて「京都古都果」ではこの2月15日、東京・日本橋のコレド室町2に直営店「スイーツカフェ京都古都果ふぇ」を構えた。場所は2階にある「@Kitchen NIHONBASHI」(以下@Kitchen)というシェアキッチン。約70席のスペースをハンバーグや和食の専門店などとともに営業スペースを共有している。

東京・日本橋のコレド室町2の2階にあるシェアキッチン「@Kichen」に出店。ほかの専門店とキッチンや客席を共有している

 

同ブランドでは使用する食パンを「一本堂」に製造委託するようになった。一本堂は2013年に創業した高級食パンの元祖。2017年に大手製粉メーカーと提携するようになってから商品が高度に安定するようになり、商品のバラエティが広がっている。現在、全国にFCチェーンを約140店舗擁している。

「京都古都果」が食パンのOEMを委託する「一本堂」は、2013年創業で高級食パンの草分け的存在だ

 

「京都古都果」にとって東京・日本橋に直営店を構えることは今後の飛躍に大いに役立つことだ。それは、これから業務内容を深めていく取引先との信用力をもたらすことであり、FC加盟店対策も同様である。

 

そこで、「京都古都果」のブランド力を一段アップさせようと考え、これを機にフルーツサンドのクオリティアップを行うことにした。「そのポイントが食パンだ」と考え、定評のある一本堂に製造委託をお願いした。商品は「古都果の豆乳食パン」。これを@Kitchenで販売するフルーツパンに使用するほかに、1斤550円(税込)で1日限定10斤を販売している。近いうちに全国の加盟店でこの食パンを使用した「フルーツサンド」が販売できるような仕組みづくりが進められている。

 

今後の新しい業態づくりに向けて商品の試作に取り組んでいる

また、同店では「カップでクリーム」490円(税込)という商品も販売している。これは「京都古都果」が誇る生クリームとフルーツがカップに入れられ、それをスプーンですくっていただくというもの。この商品に「京都古都果」の展望が託されている。

 

山本氏は「京都古都果」のフルーツサンド販売店の展開は100店舗で終了と考えている。その先は「フルーツサンドバイキング」の展開を想定している。一本堂ではさまざまな素材を使用したものや、低糖質など機能性食パンといった食パンのバラエティが豊富で、それに加えて「京都古都果」の生クリームの種類を豊富にする。顧客はフルーツとともにこれらのバラエティある組み合わせを楽しむという趣向だ。

 

山本氏のこれまでの足跡には、常に高いクオリティを目指そうという志が存在していた。その中での出会いによって、ビジネスはこれからも切り拓かれていくことであろう。

店舗情報

店舗名 京都古都果
エリア 日本橋
URL https://kotoka.co.jp/

運営企業情報

企業名 株式会社hope
URL https://kotoka.co.jp/