学芸大学と目黒に2店舗を構える「茶割」は、10種類のお茶×10種類のお酒でつくる「100種類のお茶割り」や10種類の部位×10種類の味付けから選ぶ「100種類の唐揚げ」が人気となり、特に女性の間でSNSを中心に話題となっている。

この「茶割」を運営するのは、2013年に設立された株式会社サンメレ(本社/東京都杉並区、代表/多治見智高)である。現在、「daikanyama O’KOK」を含めた計4店舗を都内で展開している。飲食業界未経験でスタートをした同社代表多治見氏だが、今後は東京に限らず地方での展開等も見据えて事業を進めている。

馴染みの店からの誘いで始めた飲食店経営

――飲食業界に携わることとなったきっかけはどのようなことですか?

バイオリニストとして月に1回程演奏していた飲食店が2013年に閉店することとなり、そこで飲食店をやらないかと提案を受けたことがきっかけです。それまで飲食店での勤務経験はアルバイトを含めて全くありませんでした。ただご飯を食べることは大好きだったため、「人生のうちのどこかで飲食業界に携わるだろう」とは考えていました。

その2年程前に、私がよく通っていたバーが閉店する際にも「店をやってみないか」と お声がけをいただいたのですが、その際は私が悩んでいるうちに閉店してしまいました。そのため、二度目はすぐに、出店を決断しました。また、学生のときに通っていた飲食店の料理長だった方が次の勤務先を考えている最中で、その彼も一緒にやってくれることになり、出店を決めました。

 

――飲食店未経験ということでしたが、どのように出店の準備を進めたのですか?

料理長が前の職場で立ち上げから経験していたため、彼と協力しながら行いました。2013年11月に出店を決めて、翌年1月に物件契約、そして彼の前職での勤務期間との兼ね合いで、3カ月後の4月にオープンという流れでした。

元はカフェでしたが、イタリアンで出店しました。私は、前職はメディア系やIT系企業で勤務しており、飲食経験は無かったため、分からないことも多々ありました。造作設備等はその前の方から買い取りましたが、半分程は新しく揃えました。メニューや価格設定等、その都度料理長と話し合って決めていきました。

株式会社サンメレ代表取締役の多治見智高氏

 

100種類のお茶割りや唐揚げを提供するきっかけ

――その後、100種類のお茶割りを提供する「茶割」を出店したのはどのような経緯だったのですか?

1店舗目を出店した2年後の2016年の当時、新宿のゴールデン街に頻繁に通っていたのですが、そこで私がお茶割りをよく飲んでいました。一緒に行く友人が複数の店舗にボトルを入れていたことや、幼い頃からお茶を飲む家庭で育ち、お茶が好きだったこともあって、よくお茶割りを飲むようになりました。

また、かつてハイボールやレモンサワーは一般的なものではなかったものの、だんだんと人気の飲み物となっていたことから、お茶割りにも可能性を感じ、お茶割りがメインの業態を考えるようになりました。

こうして「これまで酒場に入りにくかった人たち」をターゲットにしました。その結果、今は20代後半から30代前半の女性のお客さまが多くなっています。学芸大学店は深夜営業もしているため、男性の比率が高くなるのですが、目黒店では女性のお客さまが6割弱を占めています。

 

――お茶割りを100種類そろえることになったのはなぜですか?

レモンサワーはレモン、炭酸、お酒が入ったものという比較的限定された概念である一方、お茶割りはほうじ茶、緑茶、ウーロン茶、紅茶、さらに、コーン茶やそば茶等種類はさまざまです。また、私は「ウイスキー専門店」のような1つの名称のモノが何種類もあるという概念が好きで、「お茶割りはそういう概念との相性は良いだろう」と感じたことから、「お茶割りをいっぱい出す店」にしました。

「いっぱい」とは人によって感じ方が異なります。10で「いっぱい」だと思う人もいれば、1000でやっと「いっぱい」だと思う人もいることでしょう。そこで、100であれば大抵の人が「いっぱい」だと認識してくれると考えました。そのため、10種類のお茶と10種類のお酒で100種類のお茶割りを出すことにしました。そのお茶を選ぶ時には、お茶の専門家に相談をして、「お茶割り」に最適なお茶にするために茶葉の比率等の調整もしてもらいました。

 

店名「茶割」のロゴ入りグラスに入ったお茶割りはSNS映えすると話題に(撮影:Shohki Eno)

 

――「茶割」では、「唐揚げ」がとても人気のようですが、これはどうしてラインアップすることになったのですか?

 100種類のお茶割りをメニューにすると決めた時点で、フードメニューも100種類にしようとまず決めました。そのため、100種類用意できる食べ物を考えました。

そして、今後大きく店舗展開していく上で料理人を確保することが難しいであろうと予測しました。そのため、料理人があまりいない状態でも調理可能な「温度と時間を守ればおいしいものがつくれる」業態であることも条件の一つとしました。別の案として、餃子やシュウマイ等が挙げられましたが、総じて好きな人が多いであろうと感じた唐揚げに決めました。

料理人を多く必要としない業態だからこそ、料理人には常に新店のメニュー開発を任せることもできています。2年半に1度は新店を出し、設立当時からの料理長にはその都度メニュー開発をしてもらっています。

唐揚げの味付けには、抹茶塩も(撮影:Shohki Eno)

パッケージ化しやすい「茶割」で全国展開を視野に入れる

――これからの店舗展開はどのような予定ですか。

次は、中目黒で既成のジャンルにこだわらないイノベーティブ・フュージョンのような業態の「OND」で、10月からソフトオープン、年明け1月に本オープンを予定しています。メニューはお任せコース1本にして、コースの中にはイタリアンやフレンチ、出汁を用いた料理等を組み込みます。現在、東京にあるイノベーティブ・フュージョン業態は敷居の高いイメージのある店舗が多い傾向にあります。そこで、この「OND」ではグルメな一部な人のみならず、「ふつうのひと」もカジュアルにおいしいコース料理を楽しむことができるような店舗にしたいです。

 

――今後のビジョンをどのように描いていますか。

お茶割りの知名度がレモンサワーと同等になり、「茶割」はそのパイオニアだと呼ばれるようになりたい。そこで、店舗展開は東京以外の地方も含めて検討していきたい。まだ決定している訳ではありませんが、インスタグラムを通じて良い出会いもあったことから、大阪や神戸等の関西地方での出店を手掛かりにしていくつもりです。パッケージ化しやすく、再現性の高い「茶割」で全国に広めていきたいです。

店舗情報

店舗名 茶割
エリア 目黒

運営企業情報

企業名 株式会社サンメレ
URL https://sang-mele.co.jp/

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