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  3. 「からあげグランプリ」金賞の商品で新ビジネスを推進

から揚げを扱う飲食店では日本唐揚協会主催の「からあげグランプリ」で金賞を受賞していることを誇りとしている。これはネット上の人気投票によって選出されるものだが、投票されるところはそれだけのファンが存在するということだ。

東京・新小岩のからあげバル「ハイカラ」はまさにその金賞受賞の常連で、2014年に初めて受賞して以来、2018年を除いて5回金賞を受賞している。運営は株式会社ハイカラ(本社/東京都葛飾区、代表/大野太陽)である。

その商品「ハイカラ名物 半身揚げ」880円(税別)は、その名の通り鶏の半身を揚げたもので、皮と肉が柔らかくふっくらとしてカレー粉の風味が食欲をそそる。この形状や味付けは「ハイカラ」の店主であり代表の大野太陽氏の故郷、新潟のソウルフードということだが、肉には同店オリジナルの下処理をして、衣となるシーズニングに味付けをしている。

「ハイカラ名物 半身揚げ」ははさみでカットして食べる。一人でも完食できる

 

大野氏によると、肉に味付けをしているのが「から揚げ」でシーズニングに味付けをしているのが「フライドチキン」なのだという。その定義に基づくと、ハイカラの半身揚げはハイブリッドである。KFCに象徴されるフライドチキンはワールドワイドの商品で、ハイカラの半身揚げも海外展開を見据えてフライドチキンの要素を取り入れた。後述するが、大野氏はこの商品を基軸とした大きな展望を描いている。

 

多業態の経営を整理して、一居酒屋経営者として再スタート

大野氏は1977年3月新潟生まれ、小学校3年生の時に家族で東京にやってきて、「ハイカラ」のある新小岩で育った。「ハイカラ」をオープンしたのは2014年8月。大野氏はそれまで多業態を束ねる飲食企業の経営者であったが、事業を整理してこの店より再スタートを切った。

株式会社ハイカラ、代表取締役社長の大野太陽氏

 

大野氏は経営者を志して一浪の後に明治大学経営学部に進んだが、しばらくして大学で学ぶ意義を見出せず中退した。浪人生当時から有楽町のドイツ料理店でアルバイトをしていて、自由度が高い職場でさまざまな業務を任された。こうして将来は飲食業で独立しようと考えるようになった。その後、弁当の宅配、ホストクラブをはじめさまざまな飲食業をフリーターとして経験し23歳で独立した。

 

この時友人が立ち上げた弁当店に副社長として就任した。場所は渋谷区神宮前二丁目、千駄ヶ谷寄りでアパレル関連の事業所が多く、これらで働く人たちの社員食堂のような役割を果たしていた。

 

24歳となり一人で新しい会社を興し、カフェを始めた。店は2階の10坪16席、この営業を補うためにパスタ専門のデリバリーを行った。これが月商200万円を稼ぎだし、店の売上と合わせて450万円を売り上げていた。

 

その後、さまざまな業種、業態に挑戦していった。麻布十番にダイニングバーを出店、代官山にパスタのデリバリー専門店、目黒にラム酒の専門店、西麻布に「日本初であろうと思う」(大野氏)ガストロパブをオープン。ピーク時には7店舗を擁していた。

このように出店が相次いだ理由は、まず「人ありき」、社員の中でスキルを持った人材に合わせて店をつくった。また「物件ありき」、縁があって物件を紹介されて出店を重ねた。

 

この多岐に及んだ事業を整理して、新橋のパスタ専門店と2011年に西新宿7丁目で立ち飲み業態でオープンした「ハイカラ」の2本柱で再スタートを図ったが新橋の店が再開発によって撤退することを強いられた。社員を抱えていたことから手を尽くしたものの、ここで会社を整理することを決断。2014年8月に縁の深い新小岩に「ハイカラ」をオープンし一居酒屋経営者として再スタートを切った。

 

一店に集中し、すみずみまで心配りを行う

大野氏は毎日店に立ち、お客さまもさることながら従業員に丁寧に目配りをしている。大切に育てている様子が見て取れる。そのことを大野氏に伝えるとこのように語った。

「店舗展開をしていた当時は従業員と一線を画していたという感じがあります。そうしているうちに従業員の心の中を見ることができなっていきました。ですから、ここでは一店に集中してすみずみまで心配りをして仕事をしようと取り組んでいます」

 

新小岩は南口に大きなアーケードのルミエール商店街が特徴的で、ここに飲食店をはじめたくさんの商店が集まっている。「ハイカラ」はその反対の北口にあり、南口ほどの賑わいはない。そして、さらに幹線道路を超えた場所にあり、14坪2フロア48席で住宅街の入り口に相当する。この立地が「ハイカラ」に多様な顧客を呼び寄せている。

 

南口にはチェーン店が数多く存在するが、北口では個人店が多く、閉店するのが22時、23時がほとんど。ハイカラは17時営業を開始して、同業の人にも来店してもらえるようにラストオーダーを平日2時、週末3時にしていて、お客さまが帰るまで営業している。

そこで店を開けてから早い時間は地元のお客さま、時間を経るにつれて自宅に帰る途中の勤め人、そして同業者となっている。大野氏は店の空気感を「スナックみたい」と述べるが、「スナックに行ってきてからうちで飲むという人もいる」という。こうして週末は3回転している。

元号が平成から「令和」に変わる前夜に書初め大会を行った

 

 

 

「ハイカラ」の客単価は3200円、新小岩の大衆居酒屋としては少し高めだ。客層は「30代後半から上は70代で元気な人たち」という。BGMもこの世代を想定したものにしている。サザンオールスターズの初期の楽曲が聞こえてきたりして、主要客層には懐かしさがある。

このような地元密着の雰囲気を大切にして、今後の店舗はマルチコンセプトの店をドミナントで展開していきたいという。

作品は店内に展示して雰囲気を和ませる

 

チェーン展開を志してから揚げに着眼

さて、「ハイカラ」を店舗展開する構想は2011年から抱いていたわけだが、着眼したのは唐揚げという商品がチェーン化することにふさわしいと考えたからだ。大野氏が飲食業の経営者が集まる勉強会に参加している中で、単一業態によって数百のチェーンを展開しているメンバーから刺激を受けた。専門業態を極めていくことでオペレーションはシンプルになり、立地的にも左右されない。このようなことを背景に「から揚げ」と「ハイボール」という商品の組み合わせが生まれた。

 

2011年の当時は空前の唐揚げブームとなり、「本場」を名乗る大分からも東京に出店する事例がみられた。

から揚げが今日国民食となっているゆえんは、家庭でもつくることができるという手軽さがポイントである。では家庭ではなかなかつくることができないから揚げを提供しよう、ということで「ハイカラ名物 半身揚げ」を考えた。

「金賞受賞」のシールを張ることで、マヨネーズに特別感が生まれる

 

半身揚げの鶏肉は業者に委託して海外産のものを使用している。理由は、国産のひな鶏は、大野氏が想定する商品に対して大き過ぎるからだ。

国産のブロイラーのひな鶏は1.2~1.4㎏、それが半身揚げとなっても600~700gとなる。このサイズでは1人で完食するのは難しい。また、半身で880円という価格設定にすることができない。当初、国産で商品化していたが1食が1380円の値付けになった。また、ポーションが大きいこともあり、お客さまはそれを持て余すことが多々あった。

 

このような不都合を何とか解決しようとしてたどり着いたものが「外国産の小ひな」であった。1匹で700g、半身で350gとなり、価格も1000円以内で提供することができる。

 

「ハイカラ名物 半身揚げ」でライセンスビジネスを想定

「ハイカラ」のチェーン化構想とは、飲食店の展開にこだわらずに、半身揚げをテークアウト専門店を始めとして販売チャネルを広く想定している。現状、真空で冷凍する技術も出来上がっていることからネット上での販売も可能だ。

 

半身揚げの可能性について、KFCの発祥から成長の軌道に乗った経緯になぞらえている。それを象徴する考え方は「一つの店でたくさん販売する」ということではなく「たくさんの店に販売してもらう」ということだ。「ハイカラ名物 半身揚げ」という商品が、他の飲食店でメニュー化されたり、小売店の商品に加わることを想定している。大野氏はこう語る。

 

「看板商品とは自社で開発しなければならないという呪縛が存在していました。だからパクリというものが横行したしたわけです。しかし、外にある人気商品を取り入れることによって、このようなことをする必要が全くなくなります」

 

「このようなセレクトショップとしての飲食店があっていいのではないか。いろいろなところにあるおいしいものをピックアップしてグランドメニューをつくり、これによって仕込み時間が極限までなくなり、こうすることによって出来上がった時間を接客に費やすのです」

 

「これまでの飲食業界では、このようなことを恥ずかしくて言えなかった。『自分で売り物ができないから、他の店から売り物を持ってきているんじゃないか』というわけです。それを振り切って、セレクトショップとして腰を据えることによって、その存在が認められます」

 

この構想通りに「ハイカラ名物 半身揚げ」を商品化している店が徐々に増えてきている。

この取り組みはライセンスによる新しい飲食のビジネスを切り開いていくものだ。それは、本部ががんじがらめに管理するのではなくライセンシーにとって自由度の高い世界である。本部が提供するものは、鶏肉の仕入れルート、レシピ、調理技術指導などだ。これらのパッケージを今期中にスタートさせたいと考えている。

どの時間帯ともお客さまとの一体感がある

店舗情報

店舗名 ハイカラ
エリア 新小岩

運営企業情報

企業名 株式会社ハイカラ

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