9月20日JR横浜駅近くの飲食店街「鶴屋町」に「亀戸ホルモン」がオープンした。同店は焼肉店やカジュアルイタリアンを展開するテイクファイブ(本社/東京都渋谷区、代表取締役/遠山和輝)の経営で、これまで恵比寿、神楽坂(FC)、有楽町、五反田、目黒権之助坂とサラリーマンの憩いとなり、また住宅街を背景にした場所に出店してきた。

 

同店の特徴は、ホルモンの仕込みが徹底していて臭みがない、手切りで部位ごとに最もおいしい大きさにカットされた肉を炭火でふっくらと焼き上げる、自家製秘伝の塩だれ、初心者には焼き方を従業員がアドバイス、ということで「亀ホル」の略称で愛されている。この度横浜鶴屋町店・期間限定メニューとして「塩ホルモン五点盛り」1780円(税込)をラインアップ。これはハツ(牛の心臓)、豚タン、上ミノ(豚の胃袋)、テッポー(豚の直腸)、塩ホルモン(牛の小腸)の盛り合わせで、これが食べる順番となり初心者におすすめの一品。

鶴屋町期間限定「塩ホルモン五点盛り」は食べる順番にホルモンが並べられている

 

「亀戸ホルモン」を展開することになったのは、JR亀戸駅北口にある亀戸ホルモン本店が恵比寿に出店して以来、その箱を同社に譲渡するという話があったことから。代表の遠山氏がその店で食事をしたところ「うちの味と一緒じゃないか」と感銘を受けて、箱を譲受するのではなく「亀戸ホルモン恵比寿店」の営業を継承し、2018年11月にマスターフランチャイズ契約を締結した。そして同店は2020年から3年連続で「食べログ焼肉百名店」に選出されている。

テイクファイブが「亀戸ホルモン」を多店化するきっかけとなった恵比寿店

 

総合商社内定と同時に会社を設立

ここでテイクファイブの成り立ちを紹介しよう。代表の遠山氏は1968年生まれ東京の出身。実業家の一族で、正月に一族が集まると「今どんな事業に取り組んでいるのか」ということを話し合う環境の中で育った。遠山氏にとって焼肉店はファミリーの祖業で、祖母が東京・勝どきで「まんぷく苑」を営んでいたことにさかのぼる。同店はそれまでたれ味が主流だった焼肉業界において、「ねぎタン塩」を初めて商品化した店として知られている。

 

遠山氏が飲食業に親しむようになったのは、遠山氏の母が東京・自由が丘にあった焼肉店を手伝っていて、遠山氏が学生時代に部活動の練習が終わってからそれを手伝うようになったこと。23時になると母は家に帰ることから、その後の深夜の時間を自分の好きな営業スタイルで自分がおいしいと思うものにこだわって営業していたという。

 

そのうちにお客が大層喜んでたくさん付くようになり「あなたがいるから店に来るのよ」と言われるようになった。このようなことを経験しているうちに、自分は性格的に人に喜んでもらうことが好きだと思うようになり本格的に飲食業に進むことを志すようになった。

 

慶應義塾大学で学び卒業後は総合商社に進んだ。しかしながら内定を受けたと同時に仲間と飲食業の開業準備を始めた。退社して1993年5月に会社を設立し、東京・表参道にカジュアルイタリアンの「レッドペッパー」をオープンした。

 

会社創業時から海外進出の夢を描いていて、米国ロサンゼルスでモールを営んでいる先輩から「焼肉店が抜けたので、やってみないか」と声を掛けられたことがきっかけとなり1998年6月同所に焼肉店「MANPUKU」をオープン。日本で焼肉店を展開し、また世界の飲食の状況を体験して「焼肉は世界商材だ」と確信を得るようになる。「日本人が世界に広げていく飲食業ということでは理にかなっている」(遠山氏)という。これがきっかけとなって米国では現在7店舗展開している。

 

米国で飲食業を展開していることから、日本の飲食業界事情を客観的に捉えることができるようになった。それは例えば、これからの人口減少を捉えて飲食業の存在意義をどのように追究していくか。それが「亀戸ホルモン」展開のヒントになったことであろう。また同社の海外展開では、同社で勤務していたミャンマー人が現地で2店舗を展開している事例もある。

テイクファイブが焼肉店を手掛けたのは1995年5月、自由が丘にオープンした「まんぷく」から。以来、代々木上原、青山、二子玉川といった住宅地を背景にした立地で展開。地域密着で地元家族客から代々愛される店を心掛けてきた。遠山氏は「家族で焼肉を楽しむ」ことにこだわりがあり「小さなお子さんには上質の外食体験をしてほしいので、お子さんが店に行くのを楽しみとする環境のいい店づくりを心掛けている」と語る。

 

同社が「亀戸ホルモン」を展開するようになった経緯は冒頭で述べた通り。焼肉店の箱を譲受するのではなく「亀戸ホルモン」という業態そのもののマスターフランチャイズをしようと決断したのは、焼肉店のビジネスに新しい領域を見出したからだろう。「亀戸ホルモン」のことを「亀ホル」と呼ぶ根強いファンが存在する。遠山氏はこう語る。

 

「地元家族客がご利用される『まんぷく』に対して、『亀ホル』は大人がやってきて日々の生活の中で活力となるホルモン店ということに共感した。そこで“ホルモンはBLUESだ”ということを宣言している」

名物の「まんが盛り」は本店由来の定番商品

 

「亀戸ホルモン」では「ステートメントコピー」として次のような文言を掲げている。

「今日という日を振り返ってみる。ベストを尽くしたか? 今日の自分はイケていたか? 友達に感謝できたか? 家族を大切にしているか? あの人とうまくやっているか? 今日という日を悔んでいないか? さあ、明日も自分らしく生きようぜ!」

 

ファミリーとは異なる、大人の個人に迫るメッセージである。

客単価は「まんぷく」が7000円あたり「亀戸ホルモン」は4500円ということで客層や利用動機も異なる。「まんぷく」の常連客がテイクファイブで「亀戸ホルモン」を営業していること知り、同店を訪ねてみてはその“意外性”を楽しんでいる。

 

同社における「亀戸ホルモン」の存在意義について遠山氏はこう語る。

「亀ホルでお一人で食事をしているお客様は本当に楽しそう。自分へのご褒美なんですね。そして品質とサービスにおいて、ご褒美になるようなホルモンにしていかないと」

「装置ではなく『商品』を選んで店に入ってきてほしい。そこに店があるからという動機では店は続かない。『どこにいく?あすこにいこう!』といった感覚でお客様に認知されないと」

新鮮なホルモンにこだわりを持つ「亀戸ホルモン」メニューのイメージ

 

飲食業の運営の在り方でDXやロボットが語られる今日、改めて店を磨くことと、顧客との結びつきについて考えさせられる。「亀戸ホルモン」の展開に際してこれからはFCにも取り組んでいく意向という。飲食業の事業展開に多様性と独自性が感じられる。

店舗情報

店舗名 亀戸ホルモン
URL https://kamehoru.studio.site/

運営企業情報

企業名 株式会社テイクファイブ
URL https://take-5.co.jp/

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