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  3. ディナーレストランで料理を深めて独自のカルチャーを築く

昨年11月東京・代官山に「代官山 LegaRE」(以下、レガーレ)がオープンした。同店はカウンター割烹のイタリア料理版といった趣だ。コース料理が店のお任せで、スモールポーションで品数が10品ほどあり、それが提供されるストーリーを楽しむというものだ。

 

店名のレガーレとは、イタリア語で「結ぶ」「つなぐ」という意味で、「イタリアと日本、食材と食材、料理とワイン」を結ぶ・つなぐ存在であり、同店に訪れるたびに「こんな食材があるんだ」という新しい発見や、「料理とお酒とのペアリングが新鮮」というサプライズのある店を目指しているという。

「レガーレ」は食器をはじめアースカラーで統一されている

メニューは「月替わりのコース料理」5500円(税・サ別、以下同)1コースのみ、これにペアリングワイン6種類4500円を加えた1万円の「ベーシックプラン」が同店のメインであり、プライドともいえる。

こだわりの食材を使用した上級のペアリング

3カ月前の話になるが、筆者はオープンしたばかりの同店を訪ねている。この時のコース料理は以下のとおりだった。

・先付:チーズと米粉の煎餅 柚胡椒香る豚肉のリエット
・冷前菜:本日の鮮魚の昆布〆カルパッチョ 雲丹とシャインマスカット、すだちの泡
・揚物:牡蠣の青海苔フリット フルーツトマトと大葉のケッカソース
・野菜:埼玉県ボンズファームのワイルド野菜の炭火焼 カラスミがけ
・温前菜:黒糖フォアグラブリュレの焙じ茶クレープ包み
・魚料理:宮崎県産 サワラのオーブン焼き 菊芋のポタージュと生しょうゆ糀
・肉料理:埼玉県産 武州和牛イチボの炭火焼ビステッカ 本山葵でさっぱりと
・締め:秋刀魚と茸の小松菜ジェノベーゼ
・甘み:ティラミス&柿のソルベ
・茶請け:カカオハンター使用 レガーレの生チョコ羊羹

筆者はペアリングというものを過去何度か体験したが、このレガーレの場合は最も感動的だった。料理を口に入れてそれに合わせたワインを口に含むと、途端に料理は別物となる。ワインは決して主張をしないが、料理を引き立てる役目を大いに果たしている。月替わりでこれらを楽しむことができるということで、レガーレファンは確実に増えていくことであろう。

ちなみに、同店では「こだわりの食材」として3つを挙げている。

・ボンズファームのワイルド野菜

埼玉県羽生市の大貫伸弘氏が育てる有機野菜。大貫氏は「お酒に合う野菜」を目指していて、それに共感したレガーレが、月替わりでさまざまな野菜とお酒とのペアリングを提案していく。11月では塩分を薄くして炭火焼きした野菜にカラスミをかけて食べることを提案している。

 

こだわりの野菜は見た目にも力強い

・埼玉県産 武州和牛

「武州和牛」とは埼玉県の指定農家で飼育されている黒毛和牛。脂身の甘味と肉の柔らかさから「お箸で食べる」という店のコンセプトにかなうものとして採用した。

 

・カカオハンターのチョコレート

カカオハンター小方真弓氏によるチョコレートを羊羹にして茶漬けに添えている。小方氏は単身コロンビアに渡り、トゥマコ、アルアコ、アラウカ、シエラネバダという4つの地域に根付いたカカオ文化とその生産者たちの生活向上に尽力している。

同店は20坪の中にカウンター10席、テーブル16席、個室1室(4~6人)で構成している。メニューは前述のベーシックプランのほかに、「有機ワインを含む3時間飲み放題プラン7800円(コース料理と飲み放題3時間)、「炭火を堪能 レガーレお試しプラン」3800円(料理4皿:前菜、炭火料理、肉料理、茶漬け)をラインアップしている。客単価は8000円~1万円を想定。店が発信する主張が明確なレストランである。

グローバルダイニングOBが大衆居酒屋で基盤をつくる

同店を経営するのは株式会社Kings Know(以下キングスノウ、本社/東京都渋谷区、代表/山田一希)。代表の山田一希氏は1979年9月生まれ。グローバルダイニングに勤務した後、2008年に独立、運営受託などをした後、2009年12月に1号店となる串カツがメインの居酒屋「串だおれ」を東京・御徒町にオープン。以来、多様な業態で展開していく。スパニッシュイタリアン、中華料理、トラットリア、くずし割烹、ローストビーフという具合である。現在の店舗数は国内16店舗で、海外には別法人で展開している。

 

飲食企業としてはユニークな業容だが、レガーレが放つ特徴がはっきりとしたコンセプトはこのような事業展開の過程で生み出されたものだ。

 

キングスノウの沿革と方向性について同社取締役Executive Vice President CFOの河野浩和氏が解説してくれた。

河野氏は1971年生まれ。学生時代からレストランバーでアルバイトをして飲食業に親しみ、卒業後はロッジやホテルを事業とする会社に入社、飲食事業の統括となってから外食企業に転籍。実績を重ねて2006年にグローバルダイニングに入社する。同社では営業サポートを担当するが、ここで当時執行役であった山田氏と出会う。山田氏が独立するに際して、一緒に事業を手掛けようと誘われたが、河野氏は新興の外食企業に転職して取締役として活躍した。2014年にキングスノウに入社。2017年に取締役副社長に就任、2019年11月から取締役Executive Vice President CFOに就任した。

キングスノウ、取締役Executive Vice President CFOの河野浩和氏

キングスノウの原点となる大衆居酒屋「串だおれ」の新橋の店を訪ねた。1本50円(豚バラ)をはじめとした約40種類の串カツ、串焼き、おでんといったおなじみのメニューのほかに「冬野菜フェア」という季節商品をアピールしていた。これは「長芋とモッツァレラチーズの鉄板焼き」680円、「アンチョビオリーブ&カニカマフライ」350円、「自家製芋けんぴ ハニークリームチーズ添え」390円、「冬の定番‼カキフライ アボカドソースかけ」580円、「芽キャベツのわさび漬け」420円という内容。この中でカキフライにアボカドソースを載せるというセンスに感動した。大衆居酒屋にあって、一般的な季節メニューに同社が持つ料理のカルチャーを発信している。

ディナーレストランは会社を「深めていく業態」

河野氏は、同社のメニュー設計についてこう語る。

「当社では商品企画会議を月1回開催しています。ここでは熟練の料理人4人が企画を担当していますが、経営陣と料理開発担当者との温度感が近づいてきていると感じていて、ほぼ任せています」

 

同社では「串だおれ」によって会社が安定するようになり、2012年11月恵比寿に「Trattoria Godereccio」(以下、ゴデレッチョ)をオープンしている。「串だおれ」は客単価2400円、ゴデレッチョは5000~6000円のカジュアルレストランである。これによって同社全体の料理のクリエイティビティが磨かれていくのだが、今回のレガーレによってその趣旨がさらに深くなっていく。ディナーレストランの運営は効率的ではないが料理に膨らみが生まれて、その存在価値は大きい。

大衆居酒屋チェーンの展開が創業当時の基盤をつくった

 

これからの展開は、現状2店舗を展開している大衆すし居酒屋「カドハチ」(客単価2800~3000円)を、現状10店舗の「串だおれ」と同等の規模に育てていきたいとしている。

「串だおれ」ではライセンスの店が2店舗ある。メニューも多く用意していることから、それぞれの店舗が立地に応じて営業できるようにしている。「かどはち」もこの形態で多店化していきたいとしている。

「串だおれ」は多様なメニューで地域に密着した営業を行う

ベトナムでの展開で日本とのつながりを強くする

キングスノウでは海外展開にも力を入れている。ベトナム・ホーチミンに子会社を設立して昨年12月に「炭焼きや和食かどはち」を現地にオープンした。メインのメニューは串焼き、釜飯、ロール寿司だ。ぶ厚く、クリアな写真で構成した重厚感のあるメニューブックが特徴的だ。

同社では日本でベトナム人の採用を4~5年前から積極的に行っていて、現在全アルバイトの3分の2に相当する100人ほどがベトナム人となっている。

しかしながら、彼らは日本の学校を卒業すると皆ベトナムに帰国してしまう。そこで、ベトナムに店を構えて日本の店舗で働いた人たちに現地の店舗で就労してもらうことを考えていた。さらに、今年から活発になっていくであろう特定技能ビザの試験を受けることを積極的に働きかけていこうとしている。

ベトナムの店の立ち上がりが好調で良く繁盛していることから、早期に多店化をしていきたいという。メニューコンセプトはベトナム現地の人に利用してもらうことを念頭に置いている。主要な食材であるジャポニカ種のコメも現地で生産されていて、物流も進んできていることから、店舗展開のビジョンは広がっていくという。

ベトナムで展開するレストランのメニューの一例

 

キングスノウのスローガンは「世界のテーブルを笑顔に」である。海外展開は東南アジアに限らず、北米やヨーロッパも検討している。このような展望が業態のそれぞれを強くしていく原動力となっていくのであろう。

店舗情報

店舗名 代官山LegaRE
エリア 代官山
URL legare-daikanyama.com

運営企業情報

企業名 株式会社キングスノウ
URL www.kings-know.com

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