埼玉県の主に中央部から南部にかけて「秩父ホルモン酒場 まる助」(以下、まる助)という焼肉店がチェーン展開している。経営は株式会社Belief(本社/埼玉県さいたま市、代表/本間亮佑)。現在、この焼肉店はFC2店舗を含めて12店舗。この他に店名通りの業種「ハラミ専門酒場 ハラミちゃん」が大宮に1店舗ある。代表の本間氏(冒頭写真)は1989年8月生まれ、埼玉県秩父市で育った。店名にある「秩父ホルモン」は、家業である「秩父焼肉ホルモン」の焼肉店が由来となっている。

 

居酒屋チェーンで店長経験、経営に目覚める

本間氏が飲食業と出合ったのは20歳の時、居酒屋チェーンの会社の社員になったこと。このタイミングは飲食業の経営者として普通のことのように感じられるが、そこに至るまでの経歴が忙しい。本間氏は母子家庭で育ち、焼肉店で働く母が夜家にいないことからぐれる。3カ月間で二つの高校を中退。美容師見習い、ホスト、スカウトマン、フィリピンパブのボーイ等々、5年間で12回転職した。

 

20歳の成人式の時に“やんちゃ”をしてしまう。その時に母が泣いている姿を見て、方向性の定まらない人生と決別。焼肉店を展開する母の父、つまり祖父に頭を下げて焼肉店で働くことを申し出る。

 

実際に祖父の焼肉店で働く前に外食企業での勤務を経験しようと、居酒屋チェーンの会社に入社。それが20歳の時であった。その会社ではフォーラムを行っていて、従業員の方向性が熱く定まっていた。そのような環境の中で店長に就任。同社では店長の全員にPLとBSを公開していて、経営の在り方の習熟を早めることができた。「これは自分で経営者になった方が絶対に儲かる」と思うようになり、同社を退社して祖父の焼肉店で働くようになった。2013年6月、祖父の店の一つを運営受託で経営し1年間奮闘。2015年1月秩父市の中心部に実質的な1号店となる「まる助」みやのかわ本店をオープンする。

「秩父ホルモン酒場 まる助」大宮一番街店の店頭。思わず店をのぞきたくなる雰囲気が発信されている

ここからは「まる助」の店舗展開を進める。2017年は1月西武秩父駅前店と11月熊谷駅前店、2018年は9月東松山駅前店、2019年は2月川越クレアモール店、3月北浦和店、7月本庄駅前店、11月に初のFC店である指扇駅前店、12月大宮一番街店と5店舗出店。コロナ禍となった2020年以降も出店を続け、2020年は9月坂戸駅前店、12月にFC2号店の蕨駅前店、2022年3月大宮駅西口に新業態の「ハラミ専門酒場  ハラミちゃん」をオープンした。まさに急展開である。とはいえ、出店している場所を見ていくと、既存店の近くで店を開業している。出店エリアを堅実に広げている。

 

Beliefの店を訪ねて感じることは、どこも店の雰囲気が似ているということだ。そこには、各人がそれぞれの成長をたたえ合うといった雰囲気がある。従業員はみな働きがいを感じられるのではないか。社員は約25人だが、うち7割はアルバイトから社員になっているという。

 

「秩父ホルモン」の全国、世界展開を描く

「まる助」がこだわる「秩父ホルモン」とは、秩父市ならではの焼肉文化とのこと。本間氏が祖父からこのように教わっている。

 

今から50年ほど前、秩父の近郊でダム工事が行われて大阪から多くの職人が秩父市にやってきた。その人たちは豚のホルモンを愛好していて、秩父市内の押堀橋(おっぽりばし)近くにホルモン焼き店が軒を連ねるようになった。

 

本間氏の祖父が繁盛店を築き多店化するようになったのは、このホルモン焼きに牛肉の焼肉を融合させたことにある。今、本間氏の母が営む「秩父焼肉ホルモン 一番館」は秩父観光では外せない存在感があり、遠方からのお客が予約をして食事に来る店となっている。本間氏も自分を育ててくれた祖父・母の生業であり、自分が経営者の道を歩む「秩父焼肉ホルモン」には大きな愛情を抱いている。

 

「まる助」の看板メニューは「鮮度抜群生モツ」528円(税込、以下同)と「ごちゃまぜホルモン」200g1099円。特にごちゃまぜホルモンには、タケノコと呼ばれる心臓付近の大動脈の部分とレバーを組み合わせて絶妙な歯ごたえとお値打ち感を醸し出している。このほか、豚タン、カシラ、ハツ、コブクロといった定番は500円の中心価格帯に集めて注文しやすく構成している。牛肉は「国産牛A4ランク以上のカルビ使用」をうたい、「国産カルビ」1078円、「2色のネギ塩牛タン」1408円、「極上厚切り牛タン」1408円を看板メニューとして、その他1078円のメニューを4種類、牛ホルモンは「極上牛ホルモン」638円、「マルチョウ」748円をラインアップしている。「秩父ホルモン」が主となって、牛肉が加わることによって利用動機の幅を広げている。客単価は3800円。原価率はホルモン(牛・豚)が18%、牛肉が45%、ドリンク12%となっていて、これらで全体が28%となっている。

近いうちに「一般社団法人 秩父ホルモン協会」を立ち上げて、同社が中心となって「秩父ホルモン」の普及に努める

本間氏は近く「一般社団法人 秩父ホルモン協会」を立ち上げる。ここを基軸として「秩父ホルモン」を全国、世界に広げていくという考えだ。そこで、秩父ホルモン伝統の保存方法、カットの仕方、タレなどの定義を確立していく。

 

この3月末にオープンした「ハラミ専門酒場 ハラミちゃん」は、当初「まる助」のオープンを予定していたが、ダクトの容量が不足していたことから煙の出ない業種に計画を変更したもの。グーグルで牛肉を部位別で検索したところ、「牛タン」に次いで多いワードが「ハラミ」だったことから、この部位の料理をメインにした肉バルを想定することにした。

「ハラミ専門酒場 ハラミちゃん」はランチに「ハラミと米」1650円を看板メニューとして、昼・夜ともに盛業している

 

肉の食味をよりおいしくしようと株式会社ミートエポック(本社/神奈川県川崎市、代表/跡部美樹雄)が開発した熟成製造技術である「エイジングシート」を活用、タリアータ、ローストビーフなど熟成ハラミによる多様なメニューをラインアップしている。

 

同店のもう一つの特徴は、地元埼玉食材を活用したメニューを豊富にしていること。野菜は産地を表示。「埼玉名物+〆のごはん」として「鴻巣名物‼鴻巣川幅うどん」748円、「北本名物‼北本トマトカレー」858円、「大宮名物‼大宮ナポリタン」968円をラインアップしている。

「9種の極上ハラミちゃん焼き」1628円は9種類の味付けで食べ比べをする人気定番商品

 

利用客は日増しに安定してきて、客単価3800円、女性客7割と女性客比率が高い。

 

コロナ禍にあっては本部構築を一番に考えた。大宮一番町店と本庄駅前店をモデル店舗に位置付けてアルバイトの全員に至るまで理念浸透を図るように「プロジェクト」として取り組んでいる。これを継続していることによって、会社の中の環境がどんどん良くなっていることを肌感覚で感じ取っているという。これからは社内教育を内製化によって取り組んでいくという。直営店舗の出店ペースは緩めるようにして、FC展開に力を入れていきたいとしている。

 

ちなみに同社のフィロソフィーは「稼げる人を作る」というもの。「稼げる人とは『人に好かれる』人間力を持った人。そして、夢・信念・考える習慣・やり切る力をもってかっこよく生きる人。稼げる人を作り、その人がまた新たな稼げる人を作る。良き人作りの連鎖で、地域、社会に貢献します。」――このようにホームページで訴えている。

 

ざっとBeliefが取り組んでいることを述べたが、今同社は短期間でさまざまなことにチャレンジして企業組織としての緒に就いたばかりという印象を受ける。

 

 

店舗情報

店舗名 ハラミ専門酒場 ハラミちゃん
エリア 大宮
URL https://www.marusuke.biz/

運営企業情報

企業名 株式会社Belief
URL https://www.be1ief.co.jp/company

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