
ここ数年、日本のカレー業界に新たなトレンドが生まれています。それがスリランカカレーです。関西圏から徐々に火が付き、今や東京でも有名店や人気店が増え始めています。
今回紹介するのは、そのスリランカカレーを提供する「スパイスカレー食堂」(運営/株式会社ANCHOR GROUND、代表/佐々木証氏)です。運営企業のANCHOR GROUNDは、こだわりのもつ煮込みを提供する居酒屋「もつ煮込み専門店 沼田」などを運営する有限会社珈琲新鮮館(代表取締役/沼田慎一郎氏)の独立支援企業で、沼田氏のもとで幹部として経験を積んだ佐々木氏が代表を務めています。

同店はコロナ禍である2021年2月11日、スリランカカレーの専門店として東京・四ツ谷にオープンしました。スリランカ最大都市・コロンボ郊外のキリバスゴダにある「スパイスカレー食堂LABO」「緒里美日本語学院」とのタイアップ店で、スリランカ航空子会社の「スリランカケータリング」専属シェフが監修したカレーを、1日100食限定で提供しています。客席は6席ですが、テイクアウトにも対応しているため、近隣のオフィスや住宅を中心に早くも話題を集めています。
さまざまな航空会社の機内食の生産や空港でレストラン運営を行い、その味は世界的に定評のあるスリランカケータリングの専属シェフから学んだ完成度の高いカレーは、ワンプレートにチキンやポークカレー、野菜系のカレーなど3種に加え、紫キャベツピクルスやサラダといった彩豊かな4種の副菜が盛り付けられています。見た目に食欲をそそるだけでなく、そのフォトジェニックな盛り付けが来店客から人気を集めるポイントです。
スリランカカレーにこだわったのは、代表の佐々木氏がスリランカに行った際に食べたカレーに感動し、日本でも提供したいという思いから。複数のカレーに加え、ヘルシーな副菜を一皿に盛り付けるスリランカカレーは、カレーが国民食と言われるほど人気の日本で、新しい潮流を生むのではないかと考えました。
そもそもスリランカカレーとは、さまざまなスパイスを使うという点ではインドカレーと似ていますが、その見た目や調理方法は異なるスリランカ独自のカレーです。インドカレーよりも調理過程で使用する脂の量が格段に少ないことに加え、使うスパイスは食べる漢方と形容されるものばかり。例えば、ターメリックは肝機能強化、クミンは解毒作用、カルダモンは整腸作用などに効果が期待できると言われています。
最大の特徴は一皿にカレー、ご飯、副菜が盛り付けられること。カレーは肉や魚といった主食系の食材を使ったもの、野菜や豆系といったヘルシーなものなど複数種盛り付けるのが一般的です。野菜炒めやサラダといった副菜も添えられるので、それらを混ぜながらいただきます。
まずはカレーとご飯だけで、次に副菜を混ぜ加えてというように、自分の好みに合わせてテイストを変化させながら食べていきます。混ぜることで、一口ごとに味わいや風味が変わるのを楽しめるユニークさが、日本人の心を捉えはじめているのでしょう。

人生100年時代と言われ、ますますヘルシー志向が進む日本。野菜をたっぷりいただけるヘルシーなスリランカカレーは、すでに国内で定番メニューとなっているインドやタイカレーのように、間もなくその地位を確立しそうです。
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