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  3. ウナギのファストフード「宇奈とと」が真夏に向けて動き出す

今年も真夏が近づいてきた。真夏の「食」と言えばウナギが一番に連想される。ウナギは滋養強壮の食べ物として古くから親しまれているが、「土用の丑の日にウナギを食べる」という習慣は、江戸時代に鰻屋さんから「夏に売上が落ちる」と相談を受けた蘭学者の平賀源内氏が考えたキャッチコピーがきっかけと言われている。

「土用の丑の日うなぎの日、食すれば夏負けすることなし」

このような看板を立てたところ大層繁盛し、他の鰻屋さんもまねをするようになったという。

 

さて、この『e店舗media』を運営・管理しているG-FACTORYはウナギのファストフード「名代 宇奈とと」(なだい うなとと/以下、宇奈とと)を展開している。そもそもG-FACTORYは創業社長の片平雅之氏が2003年に「宇奈とと」を譲受したことから同社を設立した。当時は、「牛角」「てんや」といった日本の伝統的な業種がFCチェーンとして勢いを増していて、片平氏はこれらに類する可能性を「宇奈とと」に見出した。その後の動向について、同社のコンサルティング事業部名代宇奈とと担当者が語ってくれた。

上野店の店内。リピーターが多く、全店の中でも売上上位となっている

「5分間備長炭で焼き上げる」こだわりの効果

譲受した当初の「宇奈とと」は「ワンコインのうな丼」でアピールしていたが、その後メニュー開発を進めて、今ではグランドメニューが10品となっている。中でもウナギが2枚のった「うな丼ダブル」1000円(税込)が一番の人気商品となっている。

店舗展開も進み、現在は国内14店舗、海外7店舗(香港5、タイ1、ベトナム1)。海外店舗の中でベトナムは現地法人だが、他はライセンス契約となっている。これらの国々では「日本食」への憧れがあり、いずれも繁盛店となっている。

昨年11月、ベトナムのホーチミンに出店した「宇奈とと」。現地のスタッフは日本語検定でN4レベルで接客する

 

ウナギの仕入れは現在の商社に依頼してから安定するようになった。ウナギは中国の業者が成育から加工・調理を日本規格で行っている。特に小骨の処理は厳密に行われていて、肉厚のウナギがふんわりとした食感になるように心掛けている。ここで調理したウナギを冷凍で店舗に配送し、店舗では解凍後、蒸しの作業を行い、お客からオーダーが入ってから備長炭で焼き上げている。

 

店内でうな丼・うな重をつくる工程は、「ご飯を盛る」「ウナギをご飯にのせる」という具合に極めて簡素であるが、この「備長炭で焼き上げる」というこだわりが商品の完成度を高めている。注文してから提供するまで5分間を要するが、これらの工程によって、表面はカリっとして、肉がふっくらとしたクオリティに仕上げている。原価率は40%。

 

また、「たれ」はウナギに合うように厳選した本醸造醤油を使用し、味に深みを持たせながら、砂糖などをバランス良く配合して、米酢を加えることで全体的に味を締めている。

米は、ご飯がウナギのたれとウナギの脂質がからむように、「宇奈とと」のスペックに基づいて米業者が国産米をブレンドしている。ご飯だけで食べると粘り気が弱く、硬いと感じられるようだが、うな丼・うな重としてはベストなご飯となっている。担当者は定期的に試食を行って商品の状態を確認している。

グランドメニューの一部。このほか「ひつまぶし」など、刻んだウナギをのせたメニューがラインアップされている

テイクアウト・デリバリー、キャンペーンが好調

さて、最近の話題として注目したいことは大きく三つある。

それはまず、テイクアウト・デリバリーの需要が増えていること。新型コロナウイルス禍によってイートインの売上は減ったが、テイクアウト・デリバリーはこれまでの倍に跳ね上がった。現在では全体売上の6割を占めている。インバウンド需要が減少した浅草店ではこの分野の売上が増えて7割を占めるようになったという。

また、ウーバーイーツがデリバリーのエリアを拡大するようになり、それに伴ってデリバリーの売上が伸びていった。顕著な例は調布店で、同店はコロナ禍の影響をさほど受けておらず、この4月、5月の売上は前年対比130%となっている。ほかの店の売上も前年をクリアした。

 

この要因として、担当者はこう分析している。

「『宇奈とと』のウーバーイーツ対応の商品は、うな丼ダブル・味噌汁・お新香がついたセットメニューで1375円(税込)です。この価格設定はイートインの場合とほとんど変わらず、他の店のデリバリー対応の商品と比べて価格の優位性があったと思われます。また、一度オーダーした人のリピーターが多いことも、この実績をもたらしました」

 

次に、キャンペーン商品の「ギガ盛り+(プラス)」1100円(税込)がすこぶる好調だった。これは丼のご飯の上に刻んだウナギをのせ、さらに刻んだノリをちりばめているもので、4年前から夏の終わりから秋にかけて投入してきた。夏は新規のお客が多く、そのようなお客が秋口に来店すると冬にもリピートしてくれるというパターンが見られたことから、それを定着させることを目的に始めたという。

「鰻4倍」のインパクトがさえたキャンペーン商品

 

当初は、このキャンペーンにウナギの天婦羅などの調理品を充てていたが、「『宇奈とと』に来ているお客さまはウナギを食べることを目的に来店しているのだから」と「ウナギの増量」に絞った。ウナギの増量は昨年までは3倍だったが、今年は4倍にした。まず、4月1日から19日まで行ったが、非常事態宣言が発出されたこともありインパクトはさほど現れなかった。そこで、「明けてから、もう一度やろう」と5月25日から再開、6月7日までの2週間で1万食を販売した。店舗当たり1日平均50食ほどを販売したことになる。

キャンペーン中は、店舗平均で1日50食を販売した

「宇奈とと」のライセンス販売を展開

さらに、「宇奈とと」のライセンス販売を行うことを6月5日リリースした。これは契約者に「宇奈とと」で使用している商材(ウナギ、米、たれ)と「宇奈とと」のロゴが入った販促物などを納品し、「宇奈とと」の商品を販売してもらうということだ。

 

このライセンス販売で想定する飲食業者は、「既存店から業態変更を検討している人」「新たな業態を展開したい人」に加えて、「ニューノーマルに合わせて、テイクアウトやデリバリーによって収益拡大を検討している人」「夜間のみ営業している居酒屋がランチの時間帯を有効に活用したいと考えている人」「既存のリソースをベースに売上アップを実現したい人」等としている。

 

ウナギの商品は夏が需要期で、新メニューとしてラインアップすると即戦力となる。ライセンス契約者には、「宇奈とと」直営店と同じ価格で販売してもらい、これ以外については、契約者のオリジナルな商品を一緒に販売して構わない。テイクアウト・デリバリーだけでなくイートインでも同様だ。

これらの商材は「宇奈とと」で万全に整っていることから、ライセンス契約を結ぶことによってすぐに納品することができる。

 

契約者は、焼鳥店を営んでいるなど炭火を扱うことに習熟している人が有利だが、その経験がなくても「宇奈とと」が研修期間を設けてくれる。

また、希望者には「zoom」によるweb説明会を開催して、顧客ターゲット、メニュー構成、原価率をはじめとした出店を検討する際に必須となる情報について伝えていく。

 

飲食業を営むことが「提案」のリアリティを高める

ちなみに、G-FACTORYの中で「宇奈とと」はコンサルティング事業部の事業で、同社売上高39億円(2019年12月期)の約4分の1を占めている。

冒頭で、同社は「宇奈とと」を譲受したことが会社設立のはじまりと述べたが、現在の事業とする「物件情報」「内装設備」「メンテナンス」「退店・M&A」「海外出店」などのさまざまなサポートは、自社で飲食業を営んでいることが大いに役立っている。

担当者はこう語る。

「当社は飲食業をはじめとした経営コンサルタント会社です。そこでこれらを自社で営んでいないとこれらの経営課題が見えずに、相手先への提案にリアリティが持てなくなる。一方で、この事業部の人材は飲食業の現場に立つことによってコンサルティングスキルが身に付く。そこで当社は、飲食業におけるトレンドに1歩先に踏み出して、そこで経験したことを提案に結び付けていきます」

 

それだけに、「宇奈とと」のライセンス販売が広がることは、G-FACTORYの提案先となる飲食事業者との結びつきが広がることとなり、「宇奈とと」ブランドの認知度が高まることとの相乗効果をもたらすものとして、同社では期待を寄せている。

「宇奈とと」のキャラクターが活躍している(ベトナムの店内)

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