「珈琲文化の創造と発展を通して人を幸せにする」――これがC-United株式会社(本社/東京都港区、代表取締役社長/友成勇樹=冒頭写真)の企業理念である。同社はコーヒーショップを400店舗以上、計7ブランドを展開している。

 

同社の発祥は「珈琲館」である。創業者の真鍋国雄氏が1970年に「珈琲専門店 珈琲館」を立ち上げ、1972年にコーヒーショップチェーンとしては初めてFC展開を開始した。2008年にUCCグループとなった。そして、2018年に珈琲館株式会社として分社独立。7月に現代表の友成氏が着任した。珈琲館の店舗数は約230となっている(うち直営88店舗)。友成氏は大学卒業後、日本マクドナルドに入社、25歳で店長、30歳でスーパーバイザー就任、アメリカ・シカゴ本社でプロフェッサーを務めるなど異例の出世を遂げた。

 

珈琲館は同じくコーヒーショップを展開する株式会社シャノアールと合併することになり2021年4月1日付けでC-Unitedが誕生、冒頭の陣容となった。前述の通り珈琲館は1970年に真鍋氏が創業、シャノアールは1965年に中村脩氏が創業という、それぞれがオーナー会社であった。それぞれが立ち上がった頃は、1964年東京五輪の後、日本万国博覧会の開催に向かっていて、喫茶店の開業にはビジネスチャンスの気運が託されていたようだ。珈琲館はFCが大半を占め、シャノアールは直営のみで展開してきた。「珈琲館」はフルサービスだが、シャノアールではフルサービスの「コーヒーハウス・シャノアール」の一方で、セルフサービスの「カフェ・ベローチェ」も擁している。

 

FCオーナーからの信頼を獲得する

友成氏が珈琲館の代表に着任して真っ先に行ったことは、FCの各オーナーにあいさつをして回ることであった。同チェーンには加盟30年、40年というオーナーが多く、喫茶業に対する愛着と誇りが伝わってきたという。オーナーの中で代替わりをしているところも多い。

 

冒頭の企業理念は3年前に友成氏が代表に着任する際につくったもの。「あえて“珈琲文化”としたのは、それをわれわれの軸足とするため」という。

珈琲館の特徴は、11種類のコーヒー豆を置いていること。中でも、炭火珈琲、蔭干し珈琲、完熟珈琲の3種類は珈琲館オリジナルである。注文をいただいてから一杯ずつコーヒー豆を挽いて、ハンドドリップの店はハンドドリップで、サイフォンの店はサイフォンで一杯ずつ丁寧に淹れる。「このようなことを愚直に行っている全国コーヒーチェーンは珈琲館だけ」ということを自負し、珈琲館ならではの価値創造を目指している。

「珈琲館」はコーヒー豆11種類をラインアップするなど“珈琲文化”を伝統的に培ってきた

友成氏が代表に着任した当時、FCオーナーの中には本部が指定している以外のメニューを入れているところもあった。そのようなオーナーにメニュー変更を申し出ると「それじゃ売上はつくれない」と反対されることもあった。しかしながら、「とにかく珈琲館という店名で商売をしていますので、一度統一させてください」とお願いして理解をしてもらった。こうしてメニューのブラッシュアップに着手した。

 

チェーン店としてクオリティの均一化を図ると店内調理の簡略化を検討するようになる。そのために、調理済み商品を多くするとメニューのクオリティは低下してしまう。このような問題を解決するためにメニュー設計はテスト段階でFCオーナーにも参加してもらい、可能な限り店内手づくりで行うものにした。こうしてメニューの全体を完成させるまでにマーケットテストを4回重ねた。

 

今日カフェで人気定番商品となっているホットケーキもブラッシュアップした。これはトレンドのスフレではなく昔ながらのホットケーキにこだわった。これを綺麗に焼き上げるためには数十万円かかる銅板の焼成機が必要となるが、これを「珈琲館」の看板メニューとするためにFCオーナーに理解をしていただき、ほとんどの店が導入するようになった。これは「トラディショナル・ホットケーキ」ホイップクリーム付き1枚450円、2枚560円(税込)として、定着するようになった(メニューはほかにバリエーションがある)。

このように新メニューは完成するまで2年の時間を費やして、この7月より全店で導入されている。現在FCオーナー、お客ともども好評を得ている。

一杯ずつ丁寧に淹れられたコーヒーと、この度ブラッシュアップして定番商品となった「トラディショナル・ホットケーキ」の組み合わせは人気が高い

合併によって事業ポートフォリオが拡大

珈琲館はこの4月にシャノアールと合併してC-Unitedとなり、店舗数は400店舗を超えるようになった。これによってバイイングパワーが付いたと同時に事業ポートフォリオ(=資産構成)が拡大した。

 

まず、立地別に見ると「珈琲館」は住宅街を背景とした駅前ないし駅近くを得意とする。「カフェ・ベローチェ」は都市型、繁華街、観光地となる。これらが合併したことで営業のエリアが拡大した。

 

「カフェ・ベローチェ」はいわゆる低価格型セルフサービスカフェでメインターゲットは20代から40代。同店のサンドイッチやコーヒーゼリーは創業以来店内手づくりで、リピーターはこれらの商品にロイヤリティを抱いている。これらが「手づくり」であることを一般に改めてアピールしたところ売上が目標数値を上回った。友成氏はこう語る。

「カフェ・ベローチェ」は「ファーストプレイス」ないし「セカンドプレイス」として消費者の日常の中で親しまれている

「カフェ・ベローチェは同じ業態であるスターバックスの対局にあります。スターバックスは『サードプレイス(※)』ですが、ベローチェは『ファーストプレイス』ないし『セカンドプレイス』です。具体的には、次に移動する時に“ちょっと立ち寄る”といい場所。つまり、目的来店でなくても、自分の生活の一部として存在して、何気なく毎日を支えている存在」

 

「珈琲館」のターゲットは「永遠の40歳」という。

「『珈琲館』は若い人を対象にしたブランドではない。とはいえ年配の方だけを相手にするブランドでもなく、40歳くらいになってものが分かるようになった方々が、600円を出して珈琲を飲むこと、そのような時間をとることもいいものだな、と思っていただくような存在」

 

前述の企業理念に続いて、経営ポリシーは「シャノアール」が「心地よい日常を文化にする。」。「珈琲館」では「一杯のコーヒーに心をこめて。」としている。同じ業種が合併して、それぞれの経営ポリシーを明確にして進むべき方向性を明らかにしている。

 

(※)編集部注:ファーストプレイスとは生活の基本となる自宅、セカンドプレイスは日常生活で長時間過ごす職場や学校などのこと。サードプレイスはそれ以外でストレスのない居心地の良い場所を指す。

 

合併のシナジーが新しい成長の形を示す

さて、コロナ禍でC-United全体の業績は、2019年比で8割以上に回復してきた。テイクアウト・デリバリーにも着手していて、売上を2%程度押し上げている。ブランド別では「珈琲館」の落ち込みは軽微とのこと。それは、店が住宅街にあることから、コロナ禍で巣ごもり生活を強いられていても、気分転換で利用するパターンがあったことが要因にあるようだ。

 

今後の店舗展開は「珈琲館」をメインに想定している。今年は東京・用賀と神奈川・新百合ヶ丘に出店しそれぞれ好調なスタートを切っている。また、通常のFC契約とは別にBFL(ビジネス・ファシリティー・リース)という既存の直営店をリースするプランも設けている。このような形で業容の拡大とともにFCの活性化も図っている。

 

「コーヒーハウス・シャノアール」は「珈琲館」と同様フルサービスである。標準店の規模に差があるが、ブランドを相互に転換することによって活性化につなげるポテンシャルもある。

「コーヒーハウス・シャノアール」は「珈琲館」と同じフルサービスの店でブランドを相互に転換することによっての活性化も想定される

社内的には「旧珈琲館社」と「旧シャノアール社」の間で人事交流を行っている。店長、SVなどの各ポジションの異動を通じて、これまで関わってきた業態の視点からの改善提案も挙がる。

 

友成氏が「珈琲館」の再生に着手して3年がたち、今年「新生・珈琲館」がスタートした。そしてシャノアールが加わりこれまでにないコーヒーショップ企業が動き出している。コロナ禍によって消費者の生活様式が変わりつつある中で、C-Unitedの事業ポートフォリオが生み出すシナジーは、飲食業界にとって新しい成長の在り方を示すことであろう。

店舗情報

店舗名 珈琲館
エリア 全国
URL https://www.kohikan.jp/shop/

運営企業情報

企業名 C-United株式会社
URL https://chatnoir-company.com/chatnoir/html/index.html