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  3. 「夜の営業に強い」ことを武器にカフェの展開にシフト
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東京の都心部では至るところで再開発が進み、日々新しい商業施設がオープンしている。最近の話題は7月19日にオープンした「キュープラザ池袋」である。「池袋東口エリア」と呼ばれる場所にあり、首都高速5号池袋線とサンシャイン通りに面している。筆者にとって灯りが乏しい街のイメージがあったが、訪ねてみると昼夜関係なく人がわさわさと歩いている。

同商業施設の最大の話題は“都内最大”を標榜するシネマコンプレックスだ。そして、低層階には飲食店が集められているが、その中でも異彩を放っているのは2階に出店している「EDW」である。同店は愛知県一宮市に本拠を置く株式会社DREAM ON(代表/赤塚元気、以下ドラエモン)の最新店。60坪100席でオープンキッチンを大胆にレイアウトしていて解放感が満ちている。

時間を経るにつれて成長し洗練されていく

筆者が赤塚元気氏に初めて会ったのは2005年8月の熱い日、東京・渋谷の「てっぺん女道場」であった。取材の趣旨は「居酒屋甲子園プロジェクト始動」――「居酒屋日本一」を決めるイベントを毎年開催して、「居酒屋から日本を元気する」という活動をこれから展開していこうという若者4人の座談会であった。その中に赤塚氏がいた。笑顔を絶やさない振る舞いが印象深かった。赤塚氏は1976年11月生まれで、この時28歳であった。

株式会社DREAM ON 代表取締役社長の赤塚元気氏

その居酒屋甲子園の第1回は、翌年2006年の2月9日に開催された。そこで、赤塚氏が率いる「寅゛衛門」(ドラエモン)ファイナリストとしてのプレゼンテーションするのであるが、それが実に圧倒的であった。まず、VTRで紹介された同社の店が行う「バースディ」のシーン、従業員がテーブルの上に立って歌いながらパフォーマンスをしていた。ステージ上にはスーツ姿の従業員が横一列に勢ぞろいして、大きな声であいさつの声を掛け合った。お客様をもてなす“熱さ”と求心力の強さが伝わってきた。

そして同社は翌年2007年3月に開催された第2回居酒屋甲子園で優勝した。筆者はその時のチーム店舗「いなせ寅“衛門」に取材で赴いて、クオリティの高さに驚いた。同店は高級和食店のディフュージョン版と言える店だが、料理人の手によるきちんとした料理が礼儀正しくも慇懃無礼ではない接客によって提供されていた。同店は、居酒屋甲子園を目指す店のクオリティを引き上げた存在であると認識している。

2012年11月に東京に進出してから、同社がオープンしていく店のつくり込みは目を見張るものがあった。居酒屋甲子園の本領である「従業員の元気のよさ」を基調にしつつ、常にフードサービスの繁盛トレンドを追求してきた。それはバルであり、イタリアンであり、メキシカンであり、そして今日「カフェの会社」と称されるほどの、目標とされる店を示すようになっている。

では、居酒屋から始まったドラエモンの新店がなぜ「カフェ」にシフトしていくのであろうか。赤塚氏はこう語る。
「私の感覚では、これまでのカフェは空間があれば事足りるという感覚があり、居酒屋の業界よりも15年から20年くらい遅れています。15年前20年前の居酒屋は個人店に対してチェーン店が人気を博するようになり、その後デザイン性が優れ、そして専門店化していき、そして料理はどんどんおいしくなっていきました。カフェは今まさしくそのような状況にあります。当社の場合、夜の商売からスタートしていて、夜が得意で、カフェの営業もできる。当社がこれまで積み上げてきていることが、今日待望される業態となっていると言えるかもしれません」

店を継続的に強くする「三つの特徴」

池袋の「EDW」の特徴は大きく三つ。
まず、カフェのメニューでキラーコンテンツをつくり上げていること。「トリュフのオムレツ」(1300円/税別、以下同)と「パンケーキ」(プレーンが1280円)がそれで、同社既存のカフェで人気メニューとして定着しているものだ。特にトリュフのオムレツは既存店の人気メニュー「牛フィレとフォアグラのロッシーニ」のソースを使用してライトなオムレツに重厚感を加えた。これが全時間帯で売れる商品となり、現在1日70食程度を販売している。

「トリュフのオムレツ」1300円(税別)は1日70食程度を販売
「プレーンパンケーキ」1280円(税別)の他、パンケーキはバラエティが豊富

次に、店の主体性を打ち出していること。「17時以降はサービス料を7%いただく」ということと、デザートを含めたフードメニューをオーダーする際はワンドリンク制を採用している(ドリンクもオーダーしてもらう)。これによって、フードサービス業としてのプライドをアピールしていると同時に客単価を確保している。これらで客単価は現在2500円で推移している。

さらに、オリジナルのパン「100(ONE HUNDRED)」を販売するベーカリーを付帯していること。これまでのパンづくりでは小麦100対して水分は70程度しか入れることができないと言われてきたことに対して、同社では小麦100に対して水分100を入れることに成功、そこでこのパンをこのように呼んでいる。これによってとても柔らかいパンとなり、パンの自重で潰れないように一般的な食パンより二回りほど小さくしている。店内の窯で1回に35個程度が焼き上げ、これを1日5回に分けて提供している。価格は2斤600円。

「100(ONE HUNDRED)」のパンで物販を強化している

これらによってオープンしてたちまちクオリティの高い店として話題になり行列の絶えない店となっている。赤塚氏は「今後、ベーカリーショップを想定できるとか、店舗展開のアイデアが生まれた」と語る。

さらに、「カフェ」というネーミングは求人活動を有利に進めるという。今回の「EDW」の求人では500人の応募があり、その中から30人を採用した。
2019年度(2018年10月から2019年9月)は直営4店舗、次年度も同じ出店数が見えている。次年度の出店を加えると、愛知・一宮エリアに10店舗、東京圏に12店舗となる。
新卒生は2019年4月入社より手掛けて20人が入社、2020年4月入社では2019年5月の段階で内定者が決まった。

「カフェ」は働きたい店として応募者が多い

さて、2018年度の新規出店の中で池袋の「EDW」の他に、愛知・一宮で行ったユニークな事例を紹介しよう。
それは、「串カツ田中」の加盟店となったことと、その店名に模した「串やき木村」を開発し同じビルの1・2階に同時オープンした。

この発端について赤塚氏はこう語る。
「これまで尾張一宮駅前には7店舗を営業していて、このエリアにそろそろ『串カツ田中』がやってくるころだなと思っていて、実際にオープンしたら繁盛するだろう。そうなると多少なりにも当社の既存店は影響を受けるだろうな、と思っていました。じゃあ、『串カツ田中が一宮にやってくるのであれば、当社で営業した方が話が早い、と考えるようになりました』

そして、尾張一宮駅近くにビルの1・2階を同時に貸し出すという物件情報を入手した。そこで、知名度の高いことから立ち上がりが早いと予想する「串カツ田中」を2階に出店し、1階に「串やき木村」を出店した。店長には実際の「木村」姓、木村たけし氏を店長に据えた。

この作戦は吉となり、ドラエモンの「串カツ田中」(40坪)は6月度に月商1500万円を売り上げて、坪売上高が「串カツ田中」全店の中で2位となった。「串やき木村」の方もその繁盛の余波を受けている。

飲食業界で流布している隠語に「TTP」というものがある。「環太平洋パートナーシップ協定」の「TPP」になぞらえたもので「徹底的にパクる」を略したもの。要するに先行する繁盛業態の物まねをするということだ。このような店は開業しても主体性に欠けて、業態力を発揮することができない。「所詮物まね」という言われ方をされる。そういう点では、ドラエモンが一宮で加盟店となったということは正しい選択である。

赤塚氏はこう語る。
「私は『東京と一宮の商売は違うもの』という発想をしている。具体的には、東京では『串カツ田中』を経営しません。オリジナルの業態によって、常に少し先を見据えた新しい提案を行い、このような店をつくり続けていく。『ドラエモンが運営しているからいい店だよね』という会社としてもブランディングをしていく。一方の一宮の場合は『地域密着』です。地元の人に喜ばれて、当社のビジネスがうまく進んでいくということが重要です。これを守るために、こだわりはありません」

これらを例えて述べると、「東京」は挑戦する経営、「一宮」は守りの経営という言い方ができるのではないか。このように同社が複眼的な視点を持っていることによって、ビジョンのバランスを保つ力となっているのではないだろうか。

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店舗情報

店舗名 EDW
エリア 池袋
URL https://dream-on-company.com

運営企業情報

企業名 株式会社DREAM ON
URL https://dream-on-company.com

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