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  3. 札幌で創業、東京展開で切り開いた立地の新常識

札幌市に本拠を置く株式会社イーストン(代表/大山泰正)では、8月下旬東京都内に2店舗をほぼ同時にオープンした(「いただきコッコちゃん 五反田店」21日オープン、「ミア・ボッカ グランディオ立川店」23日オープン)。ここに同社の東京圏での事業拡大を積極的に進める姿勢が見て取れる。

同社では札幌、東京に加えて仙台にも展開拠点を擁していて、総店舗数43店舗のうち、札幌22店、仙台9店、東京12店となり、東京圏での比重が大きくなってきている。そこで、同社の創業社長である大山泰正氏に、それぞれのマーケットの動向と東京圏の展望について伺った。

3店目のイタリアンがヒットし企業化へ進む

イーストンの創業は1986年、社長の大山泰正氏と2歳年下の弟、専務の大山敏行氏の二人で札幌の歓楽街すすきのの外れに「アルズバー」を開業したことに始まる。

二人は事業家の両親の下ですすきので育ち、東京の大学を卒業してから将来起業することを視野に入れて、兄はアメリカにわたってレストランやナイトクラブをリサーチ、弟は東京でディスコやレストランを展開する会社に営業担当として入社した。

満を持して「札幌にはないカッコいい店をつくろう」とつくり込んだ二人の店、ダイニングバーの「アルズバー」は、特に社長の大山氏がアメリカで集めた緻密なデータがいかんなく発揮されて、感度の高い札幌の若者から絶賛さる伝説の店となった。

株式会社イーストン、代表取締役社長の大山泰正氏

 

同社が今日のような外食企業の軌道に入ったきっかけは、札幌市内に3号店としてイタリアンを開業したことだ。「銀座で2万円するクオリティを札幌で5000円で提供する」というコンセプトの同店は、そこそこヒットしたものの当初想定したほどではなかった。

そこでナイフとフォークで食事をするという敷居の高いイメージを払拭して「気軽に箸でも食べられる」、イタリアンのセオリーにはない「締めにパスタを食べていいじゃないか」という形にモデルチェンジを進めて、「イタリア居酒屋クッチーナ」(当時)をつくり上げた。

 

この店が画期的に受け止められてヒットした。40坪47席、客単価が昼1000円、夜2500円程度で月に1300万円を売り上げた。夜だけで3回転していた。

 

同店のヒットをきっかけに同社ではそれ以降カジュアルイタリアンを展開していく。「われわれは札幌に居ながら東京のトレンドも知っています。そこで札幌に合わせて翻訳して、札幌のマーケットに最適なポーションと売価をつくり込んでいった」(大山氏)ことが功を奏していき、札幌市内だけで10店舗を超えた。2000年あたりのころである

東京出店に備えて「北海道産」の魅力を整える

起業した当時から、いずれは東京で展開することを目標にしていた。また、チェーンストア理論を学ぶことによって、成長拡大路線に舵を切るために道外へ出店することは必然的なことと考えるようになった。

 

道外への展開に備えて、北海道本社の会社ならでは北海道らしさが伝わるように使用食材を周辺の生産者と一緒に取り組み、産直の仕組みをつくり上げていった。

このような今日に備えた食材を調達する体制は、現在100の生産者とコンソーシアム(共同事業体)を営み、年間220万人のお客さまが利用するイーストンの中で「農林漁業成長産業化貢献」をモデルにスキームを整えていった。このような活動が認められて、今年3月に農林水産省より「優良外食産業表彰」を受賞した。

 

さて、道外への出店は、いきなり東京ではなく、その前哨戦の形で仙台に出店した。2003年4月のことである。現在、物販を含めて9店舗の陣容となった。

仙台の市場性は震災後、「がんばれ仙台」「がんばれ東北」という声援とともに盛り返していった。また、仙台駅の再開発によって商圏が仙台駅に集中する傾向がみられてきている。これは札幌が札幌駅の再開発によって札幌駅に集中するようになったことと同様の現象だ。

仙台市のこのような動向の中で、同社の仙台事業は前年対比103~105%で推移している。「仙台では第二の成長期を感じている」(大山氏)という。

 

東京1号店は2007年9月、小田急線成城学園前駅の近く。繁華街の新宿から急行で15分ほどの距離感である。この立地を選択したのは損益分岐点を抑えることを意図したからだ。

そして翌10月、オフィス街の霞ヶ関に東京進出の旗艦店をオープンした。場所は、官民共同で進めていた霞ヶ関3丁目再開発プロジェクトで誕生した「霞ダイニング」で、ここには外食企業の各社がプレミアムな要素を練り込んだ店を投入している。

 

これ以降、同社の東京圏展開は、東京中心地ではなく周辺部で行われていく。同社のチェーン化業態はイタリアンの「ミア・ボッカ」と焼き鳥居酒屋の「いただきコッコちゃん」の二本柱となっていて、イタリアンは武蔵境(東京都武蔵野市)、石神井公園(東京都練馬区)、さいたま新都心(埼玉県さいたま市)、京王調布(東京都調布市)、所沢(埼玉県所沢市)、武蔵小金井(東京都小金井市)、立川(東京都立川市)と展開。焼き鳥居酒屋は、亀戸(東京都江東区)、西葛西(東京都江戸川区)、浦和(埼玉県さいたま市)、五反田(東京都品川区)と展開している。このように、東京中心部をあえて外して、郊外の駅ビルないし駅から至近の立地に出店している。

「いただきコッコちゃん」はキャラクターが定着している
五反田店は駅至近の飲食ビルに出店

山手線の外側で展開する「レールサイド」戦略

イーストンではこの出店戦略を「レールサイド」と呼んでいる。1970年代80年代にファミリーレストラン、ファストフードの急速な隆盛を支えた「ロードサイド」と対極をなす立地の名称である。

 

なぜ同社はレールサイドを目指すのか、大山氏はこう語る。

「われわれは札幌で事業を起こす前に六本木や西麻布でビジネスをしていましたから、これらの魅力は十分に分かっていますが、ここでは経営面でのハードルが高くて現実的ではない」

 

「その狙いはずばり『人材』です。仕事にロイヤリティを感じていただける人、またそのような人に育てていくことができる人を採用しようと考えると、山手線の外側のレールサイドとなっていきました。また、お客さまの動向をみると一番のボリュームゾーンは団塊の世代ですが、これらの層は車で移動することは少ない。次のボリュームゾーンの団塊ジュニアの場合、これらの層は車を所有しない人が増えてきていている」

 

この出店基準には、駅の乗降客数も存在し、人材が採用しやすいことと潜在的な市場性も検討される。そして、レールサイド戦略は鉄道でつながっていることから、既存店の成功を同じ沿線でつなげやすい。同社の動向を見ると、西武池袋線の石神井公園駅と同じ沿線の所沢駅、JR中央線の武蔵境駅と同じ沿線の立川駅、という具合である。このようにレールサイドにおけるブランディングをノウハウとして蓄積してきている。

 

これからの東京圏での出店の基本は既存店のあるレールサイドで、年間1店舗以上のペースで出店したいとしている。

 

大山氏はこれからの事業拡大に向けた基軸を「質の追求」に置いている。店舗数を先に考えると予定していた求人費を超えることが想定され、また既存店の売上が減少するリスクもある。レールサイド展開は、これらのさまざまな要素に基づいて築かれた路線なのである。

「ミア・ボッカ グランディオ立川店」は飲食フロアの人気店として定着

「軽さ」をキーワードとする新業態開発

一方で、新業態の構想も進められている。その開発に向けたキーワードを挙げていくと以下のようになる。

「主要業態の一つであるイタリアンの気軽さがベースとなったもの」

「活発に行っている北海道のPRをさらに継続していく」

「アルコール消費はこれから減少していく」

「朝から晩まで。お一人さまがさっと入ってさっと食事をすることができる」

これらのような要素を組み立てることによって「北海道産の良質の小麦粉を使用した自家製麺を使用し、素材がアピールされたパスタ専門店」を想定している。

 

焼き鳥居酒屋については、既存の業態は40坪で社員3人体制を標準としているが、近年はこの規模の物件を獲得することが困難になってきていて、運営も重くなっていることから、現状よりもコンパクトで立ち飲みも想定した業態が検討されている。

 

営業時間の傾向を見ると、深夜営業の需要が減少してきていて、従業員も集まりにくい。そこで営業時間の終了を前倒しして、営業時間中はテークアウト販売を積極的に行い「密度の濃い営業」(大山氏)を心がける必要がある。

 

さらに、FCパッケージ化も想定されている。キーワードは「軽さ」。お客さまの利用動機も、オペレーションも、オーナーの投資も「軽い」ということから組み立てていく。

 

札幌で創業してからそろそろ35周年のイーストンは、外食企業としての風格持ちわせるようになった。次の成長ステージとして大商圏「東京」に加えて業態再構築が待望されている。

 

 

店舗情報

店舗名 ミア・ボッカ グランディオ
エリア 立川

運営企業情報

企業名 株式会社イーストン
URL http://www.eastone.co.jp

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