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  3. 飲食の川上から川下まで一貫して行う企業を目指す

自社オリジナルのクラフトビールを武器に展開中の「Vector Beer」はライナ株式会社(本社/東京都新宿区、代表/小川雅弘)の運営である。200以上もの銘柄のビールが出品した「Japan Beer Awards 2019」では、同社のビールの4種類が受賞した。

同社は「Vector Beer」に加え、和食居酒屋、カジュアルイタリアン、焼肉等、都内に計18店舗を運営している。今後は食を中心として、飲食店のみならず、製造等にも積極的に取り組むという同社代表取締役小川雅弘氏に、その考えに至った理由、今後の展望について伺った。

大阪から東京に移住し飲食業界で独立

――飲食店の経営になるきっかけはどのようなことですか?

「独立したい」という思いが学生の頃からありましたが、昔から飲食業界を目指していた訳ではありません。大学卒業後、システムエンジニアとして1年間勤務した後に辞め、どのような業界で独立するか考えました。その中で、飲食業界のキャッシュフローの良さ、当時手づくりのカフェのブームだったこと、また仮に失敗した際にも自身がご飯を食べる分だけは用意できるだろうと考えて、学生時代のアルバイトでしか経験したことがないですが、飲食での独立を決めました。

 

――そこで、どのような業態で出店したのですか?

そして、2004年に大阪にビルを1棟借りし、1階をカフェのフードをテイクアウトで提供する店、2階をステーキハウス、3階を事務所にし、屋上は夏季のみBBQなどのイベントスペースにしました。社会人経験が1年間だけで、ほぼ未経験での独立であったこともあって簡単ではありませんでした。ただ、「ゼロから自分でつくりだす」ということに、とてもやりがいと楽しさを感じていました。

このコンセプトが1年程で軌道にのり、2店舗目も出店しました。しかし、1店舗目の出店から約2年後、3店舗目出店間際にある人に騙され、大阪での事業は全て撤退することとなりました。

そして、大阪で事業を行っていた頃から、ベンチャー企業から東京での出店のお誘いを受けていたこともあって、現金44万円を持って社員2人と共に上京しました。

 

「オーナー制度」「初期投資をかけない店舗展開」で再起を図る

――東京ではどのようにスタートしましたか?

飲食店を出店するためには資金が必要ですが、「44万円」は家を借りるだけでなくなってしまいます。そこで、「オーナー制度」というものをつくりました。

これは、1口40万円でオーナーを募る制度で、今でいうクラウドファンディングのようなものです。自分で出店予定の物件も探し出して、400万円あれば出店できると考えたので、1口40万円で10人を募集しました。特典としては、「この店舗を自分の店だと名乗れる」「ランチは無料」「ディナーではアルコール2杯プレゼント」といった内容にしました。東京で誘ってくれていたベンチャー企業の社員の方々やその他知人等に声をかけ、10人に出資してもらいました。そして、2007年にその400万円で1号店をオープンすることができました。

 

――このような経験から、今に活かしていることはございますか?

「初期投資をかけない店舗展開をする」ということです。東京での1号店は物件取得費、造作費、運転資金を含めて400万円で出店しました。そのためDIYでつくったところもたくさんありました。

この「初期投資をかけない店舗展開」は今でも心掛けています。2店舗目以降も、それぞれ約400万円、約550万円と、初期投資の累計は計850万円です。今でも、基本的には初期投資は1500万円以内に抑えることをモデルとしています。

そこで、良い物件を見つけたらその物件にあわせた業態をつくるという形で店舗展開を進めてきました。こうして現在、和食居酒屋、イタリアン、クラフトビール、焼肉等を運営しています。

 

「製造」「物流」「生産」等、ゼロから一貫して行う企業へ

――今後の業態展開はどのように考えていますか?

2018年にクラフトビールの醸造所を浅草橋につくったこともあり、今後はクラフトビールの店「Vector Beer」より深掘りしていきたい。醸造所建設は大きな投資をしましたし、約15店舗に提供できる生産量があります。現在「Vector Beer」は7店舗ですが、15店舗程まで展開したい。その後は、東京近郊にさらに大きな醸造所を建設しようという野望もあります。

また、今年「Japan Great Beer Awards」で4種の自社ビールが入賞しました。特に「ねこぱんち」という銘柄がネーミング的にも、テースト的にも人気が高まっています。そのため、今後は店舗での提供だけでなく、他のクラフトビールを提供する飲食店への卸しや、瓶や缶での販売等も強化したい。

受賞時のメダルと「ねこぱんち」を両手に持つ

ライナ株式会社代表取締役の小川雅弘氏。

 

――クラフトビールの醸造をなぜ自社で行うことにしたのですか?

クラフトビールを扱う「Vector Beer」の飲食店を出店したことがきっかけで、経営していくうちに自分たちでもつくりたいと考えるようになりました。

いわば川下である飲食店を運営しているので、そこから川上にあがっていきたいという思いを抱くようになりました。現在はクラフトビールの醸造という「製造」の部分を行っていますが、将来的には、川上と川下をつなぐ「流通」や、川上の原点となる麦芽や米から育てる「生産」の部分まで行い、一貫して自社で全部製造したい。やはり、自分でつくったものには愛着と自信を持って提供することができます。これこそビジネスを一貫して行うことの醍醐味だと思います。

 

「一人一人が成長できる会社」として、成長を続ける

――今後のビジョンをどのように描いていますか?

「一人一人が成長できる会社」になることです。私自身が「ゼロからつくる」ことが大好きで、そこで独立し、いろいろと挑戦してきました。そして、今後は社員ともこの楽しさを最大限共有したい。管理されたトップダウンの組織にはしたくない。例えば、各店舗の裁量権を増やして、自由に運営をできるようにしていきたい。

また、飲食店運営に限らず、食を中心に、社員がやりたいと思うことは極力挑戦してほしい。実際に、社員の中にWEBメディアをつくりたいという者がいて、「Brewing Japan」というサイトを開設しました。今後現場でのノウハウを生かして、コンサルやFC展開サポート、物件開発等、挑戦したい社員がいれば、事業としてつくっていく可能性もあります。このように、社員が最大限輝ける環境を提供しながら、食を中心に、飲食店運営のみならず、事業を拡大していきたい。

社員の声を聞く場にもなっているBBQでの一枚

 

――直近で出店予定を教えてください。

「どぶろく」をメインで扱う店を年内にオープンする予定です。物件は新宿御苑の「Vector Beer Factory」の近くです。クラフトビール醸造はここから小規模でスタートしたのですが、今回も初めは小さい規模でどぶろくの製造をスタートします。実際の醸造は免許取得の関係で来年夏頃からになります。ここで、その先の予測がついたらどぶろくの製造の拡大も視野に入れています。

このようにこれからはビールだけでなく、どぶろくや日本酒を始めとして、食の「生産」「物流」「提供」を一貫して行う企業を目指します。

店舗情報

店舗名 Vector Beer
エリア 新宿御苑

運営企業情報

企業名 ライナ株式会社
URL https://www.lifeart-navi.com/

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